新規接客のネガと、その裏にある本音

このブログの概要|読了目安:約8分
新規接客で、クロージングになって初めて「親に相談しないと」「他も見てから決めたい」と言われたことはないでしょうか。弊社の新規接客の研修では、こうしたネガ(気になる点・懸念)を、クロージングで出てから切り返すものとしては扱いません。ネガはヒアリングで先に聞いておき、会場案内のあいだに払拭しておくものとして教えています。
その理由は、クロージングで初めて出るネガが、ヒアリングで聞けていなかったネガだからです。研修のトークスクリプトでは、ヒアリングの段階でネガの7割を払拭し、残りの3割を会場案内で払拭するとしています。そして、プレクロージングの時点で、新郎新婦にネガや不安がない状態にしておくことが最も良いとしています。
弊社は2026年10月13日のブログ「新規接客のヒアリング〜聴けていない本音」で、新郎新婦が口にしない前提を聴く質問を書きました。なぜなら、言うと不利になると感じている前提は、聞き方を変えないと出てこないからです。そして今回はその先として、新規接客で出やすい6つのネガについて、それぞれの裏にある本音をヒアリングで何と聞き、会場案内でどう払拭するかをお伝えします。
■ このブログでわかること
- クロージングで初めて出るネガが、ヒアリングで聞けていなかったネガである理由
- 新規接客で出やすい6つのネガと、それぞれの裏にある本音
- ヒアリングと会場案内で、6つのネガをどう払拭するか
- 新郎新婦がその場で決めるときにそろっている4つの条件
- プレクロージングで、残ったネガをどう確かめるか
クロージングで初めて出るネガはヒアリングで聞けていなかったネガ
クロージングで出るネガの多くは、新郎新婦が来館したときから持っていたものです。親御様の意向も、ほかに検討している会場も、予算の考え方も、見学の途中で急に生まれるものではありません。つまり、クロージングで初めて聞くことになるのは、ヒアリングで聞けていなかったからです。
そして、クロージングで出てから切り返すのは、新郎新婦にとっても担当者にとっても負担が大きいやり方です。新郎新婦は、気になる点を抱えたまま会場を見ることになります。担当者は、その気になる点を知らないまま案内することになります。だから、弊社の研修では、ヒアリングで6つのネガを先に聞き、会場案内で一つずつ払拭していく流れにしています。
2026年1月6日のブログ「新規接客は「RPG」!」でも、会場の弱いところは先に伝え、案内の途中で出た不安はその場で対応すると書きました。なぜなら、放っておいた不安は案内のあいだに積み重なり、最後にまとめて決められない理由になるからです。
新規接客で出やすいネガは6つ
弊社の研修では、新規接客で出やすいネガを次の6つに分けています。それぞれのネガには、口にされる言葉の裏に、確かめておきたい本音があります。
| ネガ | 口に |
裏に |
|---|---|---|
| 初見ネガ | 「まだ |
1件目で |
| 他社ネガ | 「他も |
ほかの |
| 親御様ネガ | 「親に |
親御様の |
| 日程ネガ | 「その |
その |
| 予算ネガ | 「思ったより |
総額で |
| その |
「今日は |
決める |
この6つは、ヒアリングの中で一つずつ確かめておきます。そうすれば、会場案内のあいだに、どのネガをどこで払拭するかを決めて案内できます。
ウエディングプランナー経験のある方へもう一度、結婚式の仕事をしてみませんか土日だけOK月2日からブランクがあっても相談できます個別相談会に申し込む →初見ネガと他社ネガは会場の違いで払拭する
初見ネガと他社ネガは、どちらも「ほかと比べていない」「ほかと比べたい」という気持ちから出るネガです。研修では、この2つを、ほかの会場にはない違いを伝えることで払拭するとしています。
初見ネガの裏にあるのは、1件目で決めて後悔しないかという不安です。ですから、この会場にしかない価値(貸切・立地・建物など)を、新郎新婦のこだわりと結びつけて案内します。あわせて、研修では、担当者その人を信頼していただくことも大切だとしています。なぜなら、「この人に任せたい」と思っていただければ、その日に決めない場合でも、再来館での成約につながりやすいからです。
他社ネガで大切なのは、ほかの会場を悪く言うのではなく、比べていただくことです。そのため、ヒアリングでは、ほかの会場の良かった点と、気になった点の両方を聞きます。ほかの会場で気になった点がわかれば、会場案内でその点がこの会場にはないことを見ていただけるからです。また、検討している会場が複数ある場合は、いちばん強い会場に絞って比べていただくほうが、新郎新婦も判断しやすくなります。
親御様ネガは意向の強さを聞いてから進め方を決める
親御様ネガは、親御様の意向がどのくらい強いのかと、お二人がそれをどこまで尊重したいのかの両方を聞きます。研修では、この2つの温度感を図ることを、親御様ネガの払拭の中心にしています。
まず確かめるのは、すでに親御様に相談しているかどうかです。相談していて、親御様の意向が強い場合は、お二人の考えと親御様の考えが違ったときにどちらを優先したいのかを聞きます。そのうえで、親御様の相談や承諾がどうしても欠かせない場合は、その日の成約を無理に勧めないことも大切です。
一方で、ご結婚のご挨拶は済んでいて、会場選びまでは相談していない場合もあります。この場合は、会場と日程を決めてから親御様に報告する新郎新婦が多いことを伝えると、安心していただけます。
なお、株式会社リクルートの「ゼクシィ結婚トレンド調査2024」によると、挙式、披露宴の費用面で親・親族からの援助があった人は74.2%です。つまり、親御様ネガの裏には、お金の事情が関わっていることも多くあります。だから、援助の予定があるかどうかも、予算の話の中で聞いておきます。
日程ネガと予算ネガは事実を伝えて本人に判断してもらう
日程ネガと予算ネガは、新郎新婦が会場側の事情を知らないことから出るネガです。研修では、どちらも事実をきちんと伝え、新郎新婦に自分で判断していただくことで払拭するとしています。
日程について、新郎新婦は会場の空き状況や、日程が埋まる速さを知りません。そのため、空き状況の事実を伝えます。ただし、焦らせるのではなく、事実を知った新郎新婦が自分で「早く押さえたい」と感じていただくことが大切です。また、その日に特別な想いがあるのか、時期の幅が広いのかによって、伝え方を変えます。とくに希望の日がない新郎新婦とは、記念日にできる日を一緒に探します。
予算は、とても繊細な話題です。だから、ヒアリングの最初の段階では、深く聞きすぎず、やさしく聞くにとどめます。そのうえで、多くの新郎新婦は総額のすべてを自己負担するのではなく、ご祝儀を考えて予算を組んでいることを伝えます。総額だけを見て「高い」と感じている新郎新婦は、自己負担で考え直すと安心できることがあるからです。
その場成約ネガは4つがそろっているかで聞く
その場成約ネガで、研修がまず前提にしているのは、その日に決めない新郎新婦のほうが普通だということです。結婚式は一生に一度で、費用も高く、親御様の意向もあり、決めない理由はいくつもあります。
それでも新郎新婦がその場で決めるのは、次の4つがそろったときです。
ですから、「今日は決めるつもりはない」と言われたら、説得するのではなく、4つのうち何がそろっていないのかを確かめます。会場が気に入っていても日程が合わなければ決められませんし、日程が合っても予算が合わなければ決められないからです。反対に、4つがそろっているのにその日に決めないと、日程や予算の条件をあとで妥協することになりかねません。研修では、その点を伝えることも担当者の役割だとしています。
プレクロージングで残ったネガを確かめる
ヒアリングと会場案内でネガを払拭してきたら、プレクロージングで残ったネガがないかを確かめます。弊社のトークスクリプトでは、次のように聞きます。
- 良かった点
- 逆に、気になった点
- その気になる点は、ほかの会場と比べてどうか
- いま、どのくらいこの会場で結婚式を挙げたいか
ここで新しいネガが出てきたら、それはヒアリングで聞けていなかったネガです。その場で答えられるものは答え、答えられないものは、いつまでに決められそうか、どの日程なら考えられるか、予算は合っているかを確かめます。そのうえで、再来館の約束やお電話の約束につなげます。
また、研修では、この段階の新郎新婦を「決めようと思っている」「悩んでいる」「まったく思っていない」の3つに分け、中心は「悩んでいる」新郎新婦だとしています。悩んでいるのは普通のことなので、担当者は焦らず、何に迷っているのか、何が心配なのかを聞きます。2026年8月28日のブログ「読解・ブライダル市場⑦〜ヒューマンスキル」でも、決められないサインが出たら、押さずにまず理由を確かめると書きました。
! 本音は決断を迫る材料に使わない
- 聞き出した本音を、期限つきの特典や担当者の態度で決断を迫る材料に使わない
- 納得したうえでその日に決めていただくのは良い即決で、避けたいのは納得がないまま決めさせること
まとめ
今回は、新規接客のネガと、その裏にある本音を、ヒアリングから会場案内、プレクロージングまでの流れでお伝えしました。クロージングで初めて出るネガは、ヒアリングで聞けていなかったネガです。だから、ネガは出てから切り返すのではなく、ヒアリングで先に聞き、会場案内で払拭しておきます。
要点は、次のとおりです。
■ この章のまとめ
- ネガはヒアリングで7割、会場案内で残り3割を払拭し、プレクロージングの時点でネガがない状態をめざす
- 新規接客で出やすいネガは、初見・他社・親御様・日程・予算・その場成約の6つ
- 初見ネガと他社ネガは、ほかの会場にはない違いで払拭する
- 親御様ネガは、意向の強さと、お二人がどこまで尊重したいかを聞いてから進め方を決める
- 日程ネガと予算ネガは、事実を伝えて新郎新婦に判断してもらう
- その場成約ネガは、会場・日程・予算・人の4つのうち何がそろっていないかを聞く
☑ 次にすること
- 次の新規接客で、6つのネガをヒアリングの段階で一つずつ聞く
- 決まらなかった接客を振り返り、クロージングで出たネガをヒアリングで聞けていたかを確かめる
ネガを払拭できるかどうかは、クロージングの切り返しより先に、ヒアリングで何を聞いたかで決まります。まずは、次の新規接客のヒアリングから、6つのネガを聞いてみてください。
用語解説
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 新規接客 | 式場見学や |
| ネガ | 新郎新婦が |
| ネガの |
新郎新婦の |
| ヒアリング | 新郎新婦の |
| プレクロージング | 見学の |
| クロージング | 日程と |
| 初見ネガ | 1件目の |
| 他社ネガ | ほかに |
| 親御様ネガ | 親御様の |
| その |
来館した |
| 再来館 | 一度 |
出典一覧
- 株式会社リクルート「ゼクシィ結婚トレンド調査2024」(2024年10月25日)10ページ https://souken.zexy.net/data/trend2024/XY_MT24_report.pdf
※ このブログは、弊社の新規接客研修で使っている資料・研修動画と、2026年10月30日時点で公開している弊社のブログに基づいています。ネガの聞き方は、会場や新郎新婦の様子に合わせて変えてかまいません。

執筆者
株式会社永光 代表取締役 高橋 龍一
婚礼の現場とフリーのウエディングプランナーを経て、2018年からウエディングプランナーの業務委託サービス「プラスワン・プランナー」を運営しています。
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