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箱貸しを取り入れる2つの条件

生成りの背景に淡い緑の斜めの色面と金の枠、左に「箱貸しを取り入れる2つの条件」の題字と「値引きと人件費を数字で確かめる」、右に「持ち込みで手数料は減る」「値引きをやめて粗利を保つ」「社員と委託の分かれ目の計算」の3項目、右下にプラスワン・プランナーのロゴ

このブログの概要|読了目安:約13分

「箱貸し」という、弊社が考える結婚式場の事業モデルがあります。次のように、会場が受注するものと、新郎新婦が外部から自由に持ち込めるものを分ける事業モデルです。

  • 会場使用料や料理・ドリンク、挙式・司会・音響は、会場が受注する
  • 衣裳や写真、装花といったアイテムは、新郎新婦が外部から自由に持ち込める

弊社は2025年9月1日のブログ「結婚式場の「箱貸し」収益構造を考える」で、このモデルが収益の面で成り立つかどうかを試算しました。その結論は、アイテムをすべて持ち込みにしても、フリープランナーの紹介料と組み合わせれば、従来のモデルとほぼ同じ粗利を確保でき、財務的にも十分に成り立つというものでした。

この試算の中身をもう一歩読み解くと、実際に箱貸しを取り入れるときに押さえておくべき条件が2つ見えてきます。

1つ目は、会場使用料などの値引きをやめることです。そのブログの試算では、新郎新婦が提携先のアイテムを使う割合を次の3つのパターンに分けて、1組あたりの粗利を計算しました。

  • 100%
  • 50%
  • 0%(すべて持ち込み)

このうち、すべて持ち込みのパターンは、表の割引率を「-」とし、会場使用料や挙式・司会・音響を値引きしない前提で計算しています。つまり、すべて持ち込みでも従来のモデル並みの粗利を確保できたのは、値引きをしなかったからです。言い換えれば、試算の粗利は、持ち込みの量そのものではなく、会場に入る手数料と値引きの組み合わせで決まっているわけです。

2つ目は、ウエディングプランナーの契約形態を見直すことです。なぜなら、そのブログの試算は、固定費を従来のモデルと同じ9,350万円に置いて粗利を比べたものであり、人件費を比べることは試算の範囲に入っていないからです。

このブログでは、そのブログの試算をもとに、箱貸しを取り入れるときのこの2つの条件を、次の3つの計算で確かめます。

  • 粗利
  • 損益分岐点
  • 社員と業務委託の分かれ目

■ このブログでわかること

  • 箱貸しでは、アイテムは手数料だけを売上に計上するため、持ち込みが増えるほど手数料は減ること
  • すべて持ち込みでも従来並みの粗利を保てるのは、値引きをやめているからであること
  • 手数料が減ったのに値引きを続けると、粗利が最も低くなること
  • そのブログの試算は粗利の比較であり、人件費の比較はその続きとして計算が必要なこと
  • 社員と業務委託のどちらが安いかを決める分かれ目の計算

2025年9月1日のブログ「結婚式場の「箱貸し」収益構造を考える」の試算の前提

このブログの計算は、すべて2025年9月1日のブログ「結婚式場の「箱貸し」収益構造を考える」の試算モデルを土台にしています。そのため、最初にその前提を確認しておきます。

モデルの結婚式は55名で、割引前の見積は352.5万円です。そこから15%の値引きをして、受注額を300万円としています。

そのほかに、1組の当日にかかるアルバイトなどの変動費を10万円、1バンケットの年間の固定費を9,350万円と置いています。なお、この固定費には、次の3つが含まれています。

  • 支配人やウエディングプランナー、キッチンなどの社員の人件費
  • 広告費
  • 建物の維持費

そのうえで、そのブログの試算には、従来のモデルと大きく違う前提が1つあります。それは、箱貸しでは、衣裳や写真などのアイテムを総額ではなく、提携先から受け取る手数料だけを売上に計上するという点です。

そのブログは、その理由を、持ち込みと会場推薦の提携先を使う場合とで「売上が大きく異なってしまう」ためと説明しています。この前提で4つのパターンを比べると、粗利は次のようになります。

パターン アイテムの扱い 受注額 1組の粗利
従来モデル すべて会場が受注 300万円 164.55万円
箱貸し① 提携先で100%受注 300万円 153.55万円
箱貸し② 提携先で50%受注 230.05万円 139.425万円
箱貸し③ すべて持ち込み+紹介料 193万円 162.2万円

※受注額と粗利は「結婚式場の『箱貸し』収益構造を考える」の表の値です。箱貸し③の粗利には、フリープランナー紹介料の4万円が含まれています。

✔ ここがポイント

  • 試算モデルは55名・受注額300万円・当日変動費10万円・固定費9,350万円です
  • 箱貸しでは、アイテムは手数料だけを売上に計上します

箱貸しの値引きと手数料

では、1つ目の条件から確かめます。表を提携先の受注率の順に見ると、提携先の受注が100%の箱貸し①でも、粗利は従来のモデルより11万円少なくなっています。2025年9月1日のブログ「結婚式場の「箱貸し」収益構造を考える」は、箱貸しでは「提携パートナーの手数料率は従来よりも低くなる前提で計算します」としており、その理由を、従来のモデルより提携先への紹介率が低くなるためと説明しています。

さらに、提携先の受注が50%の箱貸し②では、粗利は139.425万円まで下がります。持ち込みが増えたぶん、会場に入る手数料が減るからです。

ところが、すべて持ち込みの箱貸し③では、粗利は162.2万円と、従来のモデルに近い水準を確保しています。では、手数料がまったく入らないのに、なぜ粗利を確保できるのでしょうか。

その理由は、そのブログの試算での値引きの置き方にあります。そのブログは、箱貸し①について、提携先の受注率が100%なら粗利を確保しやすくなるため、「会場使用料を100%ディスカウントできる余地が生まれた」としています。つまり、提携先から入る手数料を、値引きに回すという考え方です。

箱貸し②についても、新郎新婦の支払総額を従来の300万円にほぼ合わせるように、割引率で調整しています。これに対して、箱貸し③は、表の割引率が「-」で、会場使用料・挙式・司会・音響を値引きしていません。

手数料が入らない以上、値引きに回す原資もないと理解できます。そのうえ、箱貸し③には、フリープランナーの紹介料が加わります。

従来モデルから箱貸し③へ、粗利の入れ替わり164.6万円従来モデル−33.9万円付帯の粗利+27.5万円値引きなし+4.0万円紹介料162.2万円箱貸し③衣裳・写真ほか7品目会場使用料・挙式・司会・音響フリープランナー箱貸し③の粗利は、従来なら値引きしていた27.5万円を値引きしないことで保たれています試算の前提:55名・割引前の見積352.5万円・当日変動費10万円/組・固定費9,350万円/年
従来モデルから箱貸し③へ、粗利の入れ替わり従来モデル164.6万円付帯の粗利衣裳・写真ほか7品目−33.9万円値引きなし会場使用料・挙式・司会・音響+27.5万円紹介料フリープランナー+4.0万円箱貸し③162.2万円箱貸し③の粗利は、従来なら値引きしていた27.5万円を値引きしないことで保たれています試算の前提:55名・割引前の見積352.5万円・当日変動費10万円/組・固定費9,350万円/年
図1 従来モデルから箱貸し③へ、粗利の入れ替わり

このことは、従来のモデルと箱貸し③を品目ごとに比べると、数字で確かめられます。従来のモデルでアイテムから得ていた粗利は、次のとおり合計33.85万円です。

品目粗利
装花5万円
衣裳6万円
美容2万円
写真6万円
映像6万円
引出物5.85万円
演出3万円
合計33.85万円

箱貸し③では、この粗利がなくなります。その代わりに、従来のモデルで値引きしていた次の項目、合計27.5万円を値引きしていません。

項目値引きしていた額
会場使用料18万円
挙式2万円
司会4.2万円
音響3.3万円
合計27.5万円

そして、紹介料の4万円が加わります。

つまり、粗利を決めているのは、持ち込みの量そのものではなく、会場に入る手数料と、続けている値引きの組み合わせなのです。だからこそ、最も粗利が低くなるのは、手数料が半分に減ったのに、値引きを続けている箱貸し②です。実際に、箱貸し②では、会場使用料を50万円から20万円も値引きしています。

この差は、損益分岐点に直すとさらにはっきりします。損益分岐点は、固定費を1組あたりの限界利益(粗利から当日の変動費を引いた額)で割って求めます。

固定費9,350万円を各パターンの限界利益で割ると、従来のモデルは60.5組、箱貸し①は65.1組、箱貸し②は72.2組、箱貸し③は61.4組になります。したがって、箱貸し②は、従来のモデルより年間で約11.7組多く施行しなければ、赤字を抜けられません。

パターン損益分岐点
従来モデル60.5組
箱貸し①65.1組
箱貸し②72.2組
箱貸し③61.4組
持ち込みの割合と1組あたりの粗利50100150万円164.6万円従来モデル持ち込みなし損益分岐点 60.5組153.6万円箱貸し①提携100%損益分岐点 65.1組139.4万円箱貸し②提携50%損益分岐点 72.2組162.2万円箱貸し③提携0%+紹介料損益分岐点 61.4組提携の受注が半分の②が最も低く、損益分岐点は従来モデルより約11.7組多くなります試算の前提:55名・割引前の見積352.5万円・当日変動費10万円/組・固定費9,350万円/年
持ち込みの割合と1組あたりの粗利従来モデル持ち込みなし164.6万円損益分岐点 60.5組箱貸し①提携100%153.6万円損益分岐点 65.1組箱貸し②提携50%139.4万円損益分岐点 72.2組箱貸し③提携0%+紹介料162.2万円損益分岐点 61.4組50100150万円提携の受注が半分の②が最も低く、損益分岐点は従来モデルより約11.7組多くなります試算の前提:55名・割引前の見積352.5万円・当日変動費10万円/組・固定費9,350万円/年
図2 持ち込みの割合と1組あたりの粗利

したがって、箱貸しを取り入れるのであれば、持ち込みを認める範囲と値引きの方針を、あわせて決めておく必要があります。持ち込みだけを認めて値引きを従来のまま続けると、箱貸し②の状態になってしまうからです。

そして、値引きをしない以上、新規接客では、会場使用料を値引きせずに成約を取る説明が必要になります。ただし、値引きをしないことが成約率にどう影響するかは、そのブログの試算では計算していません。そのため、自社の値引き額と成約率の関係を、過去の実績で確かめておくことが大切です。

! 手数料が減ったのに値引きを続けると、粗利が最も下がります

  • 箱貸し③の粗利は、値引きをやめた27.5万円と紹介料4万円で保たれています
  • 箱貸し②の損益分岐点は72.2組で、従来のモデルの60.5組より約11.7組多くなります
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試算に入っていない人件費

次に、2つ目の条件を確かめます。2025年9月1日のブログ「結婚式場の「箱貸し」収益構造を考える」の「6. 損益分岐点と営業利益10パーセントラインの比較」では、従来のモデルも箱貸し③も、固定費を同じ9,350万円に置いて計算しています。つまり、固定費に含まれる社員のウエディングプランナーの人件費をどうするかは、そのブログの試算では扱っていません。

この点について、弊社は「箱貸し&業務委託化〜ダメな例と良い例〜」で、箱貸しと業務委託化を組み合わせて導入する必要があると書いてきました。そこでここからは、2025年9月1日のブログ「結婚式場の「箱貸し」収益構造を考える」の試算の続きとして、ウエディングプランナーの契約形態を変えたときの数字を計算します。

では、契約形態はどう見直せばよいのでしょうか。ここでは、そのブログの試算で置いた業務委託1件13万円と、フリープランナー紹介料4万円(プロデュース料20万円の20%)をそのまま使い、4つの選択肢を比べます。

また、社員のウエディングプランナーの担当を外に出すことで、固定費から外せる年間の人件費をXと置きます。Xは会場ごとに違うため、ここでは記号のまま扱います。

選択肢 付帯収入 1組の限界利益 年間の固定費
A 従来+社員 残る 154.55万円 9,350万円
B 従来+業務委託 残る 141.55万円 9,350万円−X
C 従来+超過分だけ委託 残る 社員分154.55万円/委託分141.55万円 9,350万円
D 箱貸し③+紹介 なくなる 152.2万円 9,350万円−X

選択肢Aは、いまの体制のままです。

選択肢Bは、ウエディングプランナーの担当をすべて業務委託に移す選択肢です。会場が衣裳や写真を受注する仕組みはそのままなので、付帯収入は残ります。その代わり、1組ごとに委託費の13万円がかかるため、限界利益は154.55万円から141.55万円に下がります。

選択肢Cは、社員の体制は保ったまま、社員が担当しきれない組だけを業務委託に回す選択肢です。弊社は「繁忙期に向けた業務委託活用」で、結婚式場の施行件数には毎年同じ時期に山と谷がある一方で、社員の人数はほとんど変わらないことを整理しました。選択肢Cは、その山の部分だけを業務委託で受ける考え方です。

選択肢Dは、箱貸し③にしたうえで、ウエディングプランナーの担当を新郎新婦へのフリープランナーの紹介に移す選択肢です。社員の人件費を固定費から外せるうえに紹介料が入るため、限界利益は152.2万円と、選択肢Bより1組あたり10.65万円高くなります。

ただし、この数字は、1つ目の条件のとおり、値引きをやめた場合にだけ成り立ちます。仮に値引きを続けたまま持ち込みを半分認めれば、限界利益は箱貸し②の129.425万円まで下がり、選択肢Bを下回ってしまいます。

! 注意

  • 選択肢Dの限界利益152.2万円は、値引きをやめた箱貸し③の数字です
  • 値引きを続けたまま持ち込みを半分認めれば、限界利益は箱貸し②の129.425万円まで下がります

社員と業務委託の分かれ目

このように、選択肢Dに進めない場合でも、人件費を下げる選択肢として、BとCがあります。では、社員のままの選択肢Aと、業務委託に移す選択肢Bは、どちらが得なのでしょうか。年間の施行組数をN組とすると、両者の利益は次のように表せます。

  • 選択肢Aの利益=154.55万円×N−9,350万円
  • 選択肢Bの利益=141.55万円×N−(9,350万円−X)
  • 選択肢Bのほうが得になる条件=X>13万円×N

つまり、外に出せる人件費Xが、委託費13万円に組数を掛けた額を上回れば、業務委託のほうが得になります。

この関係を社員1人に当てはめると、さらに分かりやすくなります。社員1人の年間の人件費を、その人が1年間に担当した組数で割ると、社員の1組あたりの人件費が出ます。この額が委託費を上回っていれば、その分の担当は業務委託のほうが安くなるわけです。

社員と業務委託の分かれ目(委託費1組13万円の場合)200400600800年間人件費(万円)10組20組30組40組50組60組社員1人が年間に担当する組数260万円390万円520万円650万円線より上:1組あたりは業務委託のほうが安い線より下:1組あたりは社員のほうが安い分かれ目の年間人件費は委託費13万円×担当組数で、会社負担の社会保険料などを含めた額で比べます委託費13万円は試算上の例です。自社の契約単価に置き換えて使います
社員と業務委託の分かれ目(委託費1組13万円の場合)年間人件費(万円)20040060080010組20組30組40組50組60組260万円390万円520万円650万円社員1人が年間に担当する組数線より上:1組あたりは業務委託のほうが安い線より下:1組あたりは社員のほうが安い分かれ目の年間人件費は委託費13万円×担当組数で、会社負担の社会保険料などを含めた額で比べます委託費13万円は試算上の例です。自社の契約単価に置き換えて使います
図3 社員と業務委託の分かれ目

図3の直線は、委託費13万円に担当組数を掛けた値です。たとえば、社員1人が年間に30組を担当しているなら、分かれ目は390万円です。

会社が負担する人件費がこれを超えていれば、1組あたりは業務委託のほうが安くなります。同じように、分かれ目は次のようになります。

  • 20組なら260万円
  • 40組なら520万円
  • 50組なら650万円

ただし、ここで比べる人件費は、給与の額ではありません。日本年金機構の「厚生年金保険の保険料」によると、厚生年金の保険料率は18.3%で、事業主と被保険者が半分ずつ負担します。

さらに会社は、健康保険や雇用保険の保険料も負担しています。そのため、給与だけで比べると、社員の1組あたりの人件費を低く見積もってしまいます。

また、固定費の側から分かれ目を見ることもできます。選択肢Bの損益分岐点が選択肢Aと同じ60.5組になるのは、Xが約786.5万円のときです。

これは、固定費9,350万円に、委託費13万円を選択肢Aの限界利益154.55万円で割った割合を掛けて求めました。したがって、業務委託に切り替えて固定費から外せる人件費が約786.5万円を超えれば、損益分岐点は今より下がります。

✔ ここがポイント

  • 社員1人の年間の人件費÷担当組数が、社員の1組あたりの人件費です
  • これが委託費を上回れば、その担当は業務委託のほうが安くなります
  • 人件費は、会社負担の社会保険料を含めた額で比べます

打ち手を選ぶ順番

ここまでの2つの条件を踏まえると、打ち手は決まった順番で選ぶと、判断を誤りにくくなります。まず決めるべきなのは、人件費ではなく、値引きをやめて箱貸し③まで進むかどうかです。なぜなら、値引きの方針によって、粗利の構造も、新規接客の進め方も変わるからです。

人件費の打ち手を選ぶ順番持ち込みを広く認め、値引きをやめられるかはい箱貸し③+フリープランナー紹介付帯を手放し、値引きをしないいいえ(付帯収入を残す)社員の1組あたり人件費が委託費を上回っているかはい従来モデル+業務委託担当を委託に移し、固定費から外すいいえ繁忙期に、社員の担当できる組数を超えているかはい従来モデル+超えた分だけ委託社員は増やさず、繁忙期を委託で受けるいいえ従来モデル+社員(いまの体制を保つ)避けたいのは、持ち込みを半分認め値引きも続ける箱貸し②の状態上から順に確かめると、付帯収入を手放すかどうかを先に決めてから、契約形態を選べます
人件費の打ち手を選ぶ順番持ち込みを広く認め、値引きをやめられるかはい箱貸し③+フリープランナー紹介付帯を手放し、値引きをしないいいえ(付帯収入を残す)社員の1組あたり人件費が委託費を上回っているかはい従来モデル+業務委託担当を委託に移し、固定費から外すいいえ繁忙期に、社員の担当できる組数を超えているかはい従来モデル+超えた分だけ委託社員は増やさず、繁忙期を委託で受けるいいえ従来モデル+社員(いまの体制を保つ)避けたいのは、持ち込みを半分認め値引きも続ける箱貸し②の状態上から順に確かめると、付帯収入を手放すかどうかを先に決めてから、契約形態を選べます
図4 人件費の打ち手を選ぶ順番

具体的には、次の順番で選びます。

  1. 持ち込みを広く認めて値引きもやめられるなら、箱貸し③にフリープランナーの紹介を組み合わせる選択肢Dに進めます。
  2. そうでなければ、従来のモデルのまま、社員の1組あたりの人件費と委託費を比べます。
  3. そして、社員のほうが高ければ、選択肢Bを選びます。
  4. 反対に、社員のほうが安くても、繁忙期に社員が担当しきれない組があるなら、選択肢Cが候補になります。

ただし、選択肢BやCを選んだからといって、付帯収入が自動的に守られるわけではありません。というのも、業務委託のフリープランナーが提携先のアイテムを案内しなければ、持ち込みが増えて、付帯収入は減っていくからです。

そのため、発注の時点で、提携先のアイテムの案内を業務の範囲に入れておく必要があります。発注の段取りは、「「丸投げ」にならない業務委託の発注手順」で5つの段階に分けて整理しています。

☑ 明日確かめる6つの数字

  • 過去1年の施行組数と、そのうち持ち込みがあった組数
  • 衣裳・写真・映像など、品目ごとの提携先の受注率
  • 会場使用料・挙式・司会・音響の値引き額の平均
  • 社員のウエディングプランナー1人ごとの年間の担当組数
  • 会社負担の社会保険料を含めた、社員1人あたりの年間の人件費
  • 業務委託で発注する場合の、1組あたりの委託費

よくある質問

Q箱貸しにすれば、人件費は下がりますか。

A箱貸しにしただけでは、人件費は下がりません。なぜなら、人件費は固定費に含まれており、ウエディングプランナーの契約形態を変えない限り、その額は変わらないからです。

  • 2025年9月1日のブログ「結婚式場の「箱貸し」収益構造を考える」の試算でも、固定費は従来のモデルと同じ9,350万円で計算しています。
  • 人件費を下げるには、ウエディングプランナーの担当を、業務委託や紹介という契約形態に移す必要があります。

Q業務委託にすると、付帯収入は減りますか。

A会場が衣裳や写真を受注する仕組みを保っていれば、業務委託に変えても付帯収入は会場に残ります。

  • ただし、委託先のフリープランナーが提携先のアイテムを案内しなければ、持ち込みが増えて付帯収入は減っていきます。
  • そのため、提携先のアイテムの案内を、発注する業務の範囲に入れておくことが大切です。

Q箱貸し③にすると、新郎新婦の支払総額は上がりますか。

Aそのブログでは、箱貸し③の支払総額は、新郎新婦が選ぶアイテムの価格によるため、算出していません。そのうえで、外部のアイテムは価格の幅が広いため、手ごろなアイテムを選べば総額を抑えられるとしています。

Q委託費13万円は、相場として使えますか。

A13万円は、そのブログの試算モデルで例として置いた金額であり、相場を示すものではありません。

  • 実際の委託費は、任せる業務の範囲や地域によって変わります。
  • 分かれ目の計算は委託費を入れ替えればそのまま使えるため、自社の契約単価で計算し直してください。

■ この章のまとめ

  • 箱貸しを取り入れるには、値引きをやめる設計が要ります
  • 人件費は、契約形態を見直して別に手を打ちます

まとめ

このブログでは、2025年9月1日のブログ「結婚式場の「箱貸し」収益構造を考える」の試算モデルをもとに、箱貸しを取り入れるときの2つの条件を確かめました。

■ このブログの要点

  • 1つ目の条件は、値引きをやめることです。箱貸しでは、アイテムは手数料だけを売上に計上するため、持ち込みが増えるほど手数料は減ります。
  • それでも箱貸し③の粗利が従来のモデル並みに保てるのは、値引きをやめ、紹介料を加えているからです。
  • 反対に、手数料が半分に減ったのに値引きを続ける箱貸し②は、粗利が最も低くなり、損益分岐点が従来のモデルより約11.7組多くなります。
  • 2つ目の条件は、ウエディングプランナーの契約形態を見直すことです。そのブログの試算は粗利を比べたもので、固定費は従来のモデルと同じ額に置いています。
  • そのため、人件費は、契約形態を変えたときの数字を別に計算する必要があります。そこで、社員1人の年間の人件費を担当組数で割った額と委託費を比べれば、業務委託に移すべきかどうかが分かります。

☑ 次にすること

まずは、次の数字を書き出してみてください。

  • 過去1年の施行組数
  • 品目ごとの提携先の受注率
  • 値引き額の平均
  • 社員1人ごとの担当組数と人件費

この数字がそろえば、自社にとってどの選択肢が得なのかを、このブログの手順でそのまま計算できます。

用語解説

用語 意味
手数料 箱貸しで、新郎新婦が提携先のアイテムを使ったときに会場が受け取る額。箱貸しでは、これだけを売上に計上する
箱貸し 会場使用料・料理・ドリンクなどを会場が受注し、衣裳や写真などのアイテムは新郎新婦が外部から持ち込めるようにする、弊社が考える事業モデル
付帯収入 衣裳・写真・映像・装花など、会場が提携先のアイテムを販売して得る収入
粗利 売上から仕入原価を引いた額
限界利益 粗利から、当日のアルバイトなど組数に比例してかかる費用を引いた額
固定費 社員の人件費、広告費、建物の維持費など、組数に関係なくかかる費用
損益分岐点 限界利益の合計が固定費と等しくなる組数。これを超えると黒字になる
業務委託 会場がフリープランナーに担当を依頼し、1件ごとに報酬を支払う契約形態
フリープランナー紹介料 会場が新郎新婦にフリープランナーを紹介し、プロデュース料の一部を手数料として受け取る収入

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株式会社永光 代表取締役 高橋龍一

執筆者

株式会社永光 代表取締役 高橋 龍一

婚礼の現場とフリーのウエディングプランナーを経て、2018年からウエディングプランナーの業務委託サービス「プラスワン・プランナー」を運営しています。

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