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新規接客の成約報酬と実質時給

生成りの背景の左側に淡い緑の斜めの面、左に「新規接客の成約報酬と実質時給」の題字と「受託する前に確かめる条件」の副題、右に「成約率で時給は大きく変わる」「成約がない月の時給を先に見る」「成約とみなす時点を確かめる」の3項目、右下にプラスワン・プランナーのロゴ

このブログの概要|読了目安:約10分

新規接客を受託する前には、提示された接客報酬と成約報酬を、接客数と成約率を入れて実質時給に直し、そのうえで計算に入る条件を契約先に確かめておくことをおすすめします。なぜなら、新規接客の報酬は時間ではなく接客数と成約数で決まるため、同じ金額を示されても、成約率と来館の条件によって1時間あたりの収入が数倍変わるからです。

弊社は2026年9月18日のブログ「フリープランナーの単価と実質時給」で、報酬を拘束時間で割り直して実質時給を出す方法を書きました。なぜなら、業務委託では報酬が件数に対して支払われるため、その1件に何時間を使ったかを自分で数えないと、条件の良し悪しを判断できないからです。ただし、そのブログの計算例は打合せ1件の報酬が決まっている場合で、成約によって報酬が変わる新規接客は扱っていませんでした。

このブログでは、その計算方法を新規接客の報酬に当てはめ、仮の数字で試算します。そのうえで、受託する前に契約先に確かめておきたい報酬の条件を、計算方法の項目ごとに示します。読み手は、新規接客を受託する、経験のあるフリーウエディングプランナーです。

■ このブログでわかること

  • 新規接客の接客報酬と成約報酬を、実質時給に直す計算方法
  • 成約率によって実質時給がどれだけ変わるか
  • 計算に使う成約率を、会場ごとに見積もる理由
  • 受託する前に契約先に確かめておきたい報酬の条件

接客報酬と成約報酬

新規接客の報酬は、来館した新郎新婦を接客するごとに支払われる接客報酬と、成約したときに支払われる成約報酬の2つで組まれることがあります。弊社は2025年1月11日のブログ「新規接客における接客報酬と成約報酬の合理的な算出方法」で、会場の側から見たこの2つの決め方を書きました。

そのブログでは、接客報酬は工数単価にお出迎えからお見送りまでの時間を掛けて求め、成約報酬は婚礼1組の営業利益をもとに考えています。つまり、接客報酬は時間に対して支払われる部分で、成約報酬は成果に対して支払われる部分です。

これを受託する側から見ると、接客報酬は来館があれば受け取れる部分で、成約報酬は成約率によって増えたり減ったりする部分になります。そのため、報酬の総額に占める成約報酬の割合が大きいほど、1か月の収入は成約率に左右されます。

実質時給の計算方法

2026年9月18日のブログ「フリープランナーの単価と実質時給」の計算方法は、報酬から自分が負担した経費を引き、拘束時間の合計で割るものでした。新規接客では、その報酬が接客報酬と成約報酬に分かれるため、計算方法は図1のようになります。

新規接客の実質時給の計算方法実質時給 =(接客報酬 + 成約報酬 − 自己負担の経費)÷ 拘束時間接客報酬1接客あたりの額× 実際の接客数成約報酬成約1組あたりの額× 接客数 × 成約率自己負担の経費交通費など報酬に含むか別途か拘束時間移動・準備・待機を含めた合計成約報酬の部分は成約率で増減し、接客報酬の部分は実際に来館があったかで増減します
新規接客の実質時給の計算方法実質時給 =(接客報酬 + 成約報酬− 自己負担の経費)÷ 拘束時間接客報酬1接客あたりの額× 実際の接客数成約報酬成約1組あたりの額× 接客数 × 成約率自己負担の経費交通費など報酬に含むか別途か拘束時間移動・準備・待機を含めた合計成約報酬の部分は成約率で増減し、接客報酬の部分は実際に来館があったかで増減します
図1 新規接客の実質時給の計算方法

この計算方法で大事なのは、分子の多くが、受託する前には決まっていないことです。接客報酬は実際の接客数で決まり、成約報酬は成約数で決まります。どちらも、受託した時点では見込みでしかありません。

そこで、受託する前の計算では、1日だけでなく1か月の単位で見込みを立てます。なぜなら、1日の成約数は0組か1組か2組のどれかで、1日だけ見ると数字が大きく振れるからです。

✔ ここがポイント

  • 新規接客の実質時給は、接客報酬と成約報酬の合計から経費を引き、拘束時間で割って出します
  • 接客報酬は実際の接客数で、成約報酬は成約数で決まります
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仮の数字で見る時給

まず前提として、次の条件を置きます。ここでの金額と時間は、計算の手順を示すための仮の数字です。実際の金額は契約ごとに異なりますので、ご自身の条件に置き換えて読んでください。

  • 接客報酬は1接客5,000円、成約報酬は成約1組40,000円とします
  • 月に10日受託し、接客数は1日2接客、月20接客とします
  • 1日の拘束時間は9時間とします(接客と記録で7時間、移動の往復で1.5時間、事前の準備で0.5時間)
  • 自己負担の交通費は1日1,000円とします

第一に、成約率が70%の月を考えます。20接客のうち14組が成約しますので、報酬は接客報酬100,000円と成約報酬560,000円の合計660,000円になります。交通費10,000円を引くと650,000円で、拘束時間の合計90時間で割ると、実質時給は約7,222円です。

これに対して、成約率が35%の月は、成約が7組になります。報酬は接客報酬100,000円と成約報酬280,000円の合計380,000円で、交通費を引くと370,000円です。90時間で割ると、実質時給は約4,111円になります。

仮に、成約が1組もなかった月は、接客報酬100,000円から交通費10,000円を引いた90,000円だけが残ります。90時間で割ると、実質時給は1,000円です。

成約率で変わる新規接客の実質時給(仮の条件で試算)仮の条件:接客報酬5,000円、成約報酬40,000円、月10日・1日2接客・1日の拘束9時間、交通費1日1,000円成約率0%1,000円成約率35%4,111円成約率70%7,222円点線:最低賃金の全国加重平均 1,177円(2026年度・雇用の場合)厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」(2026年9月3日)より作成(業務委託には最低賃金は適用されません)
成約率で変わる新規接客の実質時給(仮の条件で試算)仮の条件:接客報酬5,000円、成約報酬40,000円、月10日・1日2接客・1日の拘束9時間、交通費1日1,000円成約率0%1,000円成約率35%4,111円成約率70%7,222円点線:最低賃金の全国加重平均 1,177円(2026年度・雇用の場合)厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」(2026年9月3日)より作成(業務委託には最低賃金は適用されません)
図2 成約率で変わる新規接客の実質時給(仮の条件で試算)

ここから言えることは、この仮の条件では、成約率が70%から35%に下がると、実質時給は4割以上下がるということです。そして、成約が1組もなかった月の実質時給は、雇われて働く場合の最低賃金の全国加重平均1,177円を下回ります。

厚生労働省の2026年9月3日の報道発表「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」によれば、令和8年度の改定額の全国加重平均は1,177円です。ただし、厚生労働省の「最低賃金の適用される労働者の範囲」が示すとおり、最低賃金が適用されるのは労働者で、業務委託の報酬には適用されません。だから、成約がなかった月の実質時給がいくらになるかは、受託する側が自分で計算して確かめておく必要があります。

! 成約がなかった月の数字を先に見る

  • 成約報酬の割合が大きい条件ほど、成約がなかった月の実質時給は低くなります
  • 業務委託の報酬には最低賃金が適用されないため、下限は自分で計算して確かめます

成約率は会場で変わる

では、計算に入れる成約率は、どの数字を使えばよいのでしょうか。答えは、自分のこれまでの成約率をそのまま入れるのではなく、受託する会場で見込める幅を入れることです。

なぜなら、同じフリープランナーでも、会場によって成約率が変わるからです。弊社は2025年10月18日のブログ「業務「委託」と「丸投げ」の違い」で、業務委託の新規接客プランナーがA会場では成約率70%を達成していたのに、B会場では35%に下がる例を挙げました。そのブログは、この差を個人のスキルではなく、会場の構造の差だとしています。

図2の70%と35%は、この2つの会場の成約率に当たります。つまり、同じ報酬の条件でも、受託する会場が違うだけで、実質時給は約7,222円にも約4,111円にもなり得ます。

成約率の見込みを左右する会場の違いについては、2026年10月21日のブログ「新規接客を受託する前に押さえたいこと」で、資料、判断主体、相談体制、裁量の4つを挙げました。これらが整っていない会場で受託するなら、成約率は自分のこれまでの数字より低めに置いて計算しておくほうが安全です。

受託前に確かめる条件

ここまでの計算から分かるのは、実質時給を左右するのは報酬の金額だけではないということです。計算方法の項目ごとに、受託する前に確かめておきたい条件は図3のとおりです。

受託する前に確かめる条件と、計算方法のどの項目に効くか計算方法の項目確かめる条件接客報酬来館がなかった日、当日キャンセルの日の扱い成約報酬成約とみなす時点、後日成約、成約後の解約の扱い接客数1日に入る来館予定の接客数と、その決め方成約率資料・判断主体・相談体制・裁量の整い方経費交通費が報酬に含まれるか、別途支給か拘束時間何時から何時までか、待機の時間を含むか成約率の条件は、2026年10月21日のブログ「新規接客を受託する前に押さえたいこと」の4つです
受託する前に確かめる条件と、計算方法のどの項目に効くか計算方法の項目確かめる条件接客報酬来館がなかった日、当日キャンセルの日の扱い成約報酬成約とみなす時点、後日成約、成約後の解約の扱い接客数1日に入る来館予定の接客数と、その決め方成約率資料・判断主体・相談体制・裁量の整い方経費交通費が報酬に含まれるか、別途支給か拘束時間何時から何時までか、待機の時間を含むか成約率の条件は、2026年10月21日のブログ「新規接客を受託する前に押さえたいこと」の4つです
図3 受託する前に確かめる条件と、計算方法のどの項目に効くか

確かめることは多くありますが、次の3つは特に押さえておきたい条件です。

来館がなかった日の扱い

接客報酬が「接客数」に対して支払われる場合、来館予定の新郎新婦が当日キャンセルしたり、来館しなかったりした日は、接客報酬が出ないことになります。それでも、移動と準備と待機の時間は使っています。

仮に、先ほどの条件で1日2接客の予定のうち1件の来館がなく、残りの1件も成約しなかった日は、接客報酬5,000円から交通費1,000円を引いた4,000円を9時間で割り、実質時給は約444円になります。だから、来館がなかった日やキャンセルの日に接客報酬がどう扱われるかを、受託する前に確かめておきます。

成約とみなす時点

成約報酬は、成約したときに支払われます。しかし、何をもって成約とするのかが決まっていなければ、成約報酬の対象になる成約数は計算できません。

そのため、次の点を確かめておきます。

  • 成約とみなす時点は、申込みの時点か、申込金の入金の時点か
  • 接客した日には決まらず、後日に成約した顧客は、成約報酬の対象になるか
  • 成約したあとに解約になった顧客の成約報酬は、どう扱われるか

交通費と拘束時間

2026年9月18日のブログ「フリープランナーの単価と実質時給」で書いたとおり、交通費が報酬に含まれるのか、別途支給されるのかで、実質時給は大きく動きます。新規接客でも同じです。

あわせて、1日の拘束時間が何時から何時までかを確かめます。なぜなら、来館予定の合間の待機の時間も、別の仕事を入れられない以上は拘束時間に数えるからです。

☑ 受託する前に確かめる条件

  • 来館がなかった日、当日キャンセルの日の接客報酬の扱い
  • 成約とみなす時点と、後日成約と解約の扱い
  • 1日に入る来館予定の接客数と、交通費、拘束時間

報酬の算定方法と書面

成約報酬は、受託した時点では金額が決まりません。それでは、契約先は報酬をどのように示せばよいのでしょうか。

フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス法)は、発注する事業者に、業務委託をしたときに報酬の額などを書面か電磁的方法で示すことを求めています。そして、公正取引委員会関係の同法の施行規則の第1条第3項は、報酬の具体的な金額を示すことが難しいやむを得ない事情がある場合には、具体的な金額を定めることになる算定方法を示せばよいとしています。

つまり、成約報酬のように後から金額が決まる報酬でも、「何をもって成約とし、成約1組にいくらを支払うのか」という算定方法は、書面やメールで示すことが求められます。受託する側は、その算定方法が、先ほどの3つの条件まで分かる書き方になっているかを確かめます。なぜなら、算定方法に書かれていない点は、後から双方の解釈が分かれやすいからです。

✔ ここがポイント

  • 成約報酬のように後から金額が決まる報酬は、算定方法を示すことで明示できます
  • 算定方法に、成約とみなす時点や解約の扱いまで書かれているかを確かめます

弊社の新規接客

弊社がこれまでに受託した新規接客は1,661接客で、そのうち888組が成約しました。成約率は53.5%です。実績は図4のとおりです。

弊社の新規接客の実績新規接客の受託1,661接客成約888組成約率53.5%累計の数字で、成約率は成約888組÷新規接客1,661接客です
弊社の新規接客の実績新規接客の受託1,661接客成約888組成約率53.5%累計の数字で、成約率は成約888組÷新規接客1,661接客です
図4 弊社の新規接客の実績

弊社では、フリープランナーが新規接客を受託する前に、2026年10月21日のブログ「新規接客を受託する前に押さえたいこと」で挙げた4つの確認を含めて、事前にサポートしています。報酬の条件は、会場の地域の人手の状況なども加味して決めています。詳しい条件は、個別相談会でお問い合わせください。

よくある質問

Q成約報酬の割合が大きい条件は、受託しないほうがよいですか

A一概には言えません。成約がなかった月の実質時給を先に計算し、その数字を受け入れられるかで判断します。

Q計算に入れる成約率は、何%にすればよいですか

A自分のこれまでの成約率ではなく、受託する会場で見込める幅を入れます。資料や相談体制が整っていない会場なら、低めに置いて計算します。

Q来館数の見込みは、誰に聞けばよいですか

Aまず契約先に、1日に入る来館予定の接客数と、その決め方を聞きます。契約先が仲介先であれば、分からない点は会場に確かめてもらいます。

まとめ

このブログでは、新規接客を受託するフリーウエディングプランナーに向けて、接客報酬と成約報酬を実質時給に直す方法と、受託する前に確かめておきたい報酬の条件を書きました。なぜなら、新規接客の報酬は接客数と成約数で決まるため、同じ金額を示されても、成約率と来館の条件によって実質時給は大きく変わるからです。仮の条件で試算すると、成約率が70%なら約7,222円、35%なら約4,111円、成約がなかった月は1,000円でした。

だから、受託する前には、自分のこれまでの成約率ではなく、受託する会場で見込める成約率の幅で計算します。そのうえで、来館がなかった日の接客報酬、成約とみなす時点と解約の扱い、交通費と拘束時間を契約先に確かめ、成約報酬の算定方法が書面やメールでどう示されるかを見ておきます。

■ この章のまとめ

  • 新規接客の実質時給は、接客報酬と成約報酬の合計から経費を引き、拘束時間で割って出します
  • 成約報酬の割合が大きいほど、実質時給は成約率に左右されます
  • 計算に入れる成約率は、受託する会場で見込める幅で置きます
  • 来館がなかった日、成約とみなす時点、解約、交通費、拘束時間を受託する前に確かめます

☑ チェックリスト

  • 次に受託を考えている新規接客の条件を、図1の計算方法に当てはめる
  • 成約率を高めと低めの2通りで置き、成約がなかった月の数字も出す
  • 来館がなかった日の扱いと、成約とみなす時点を契約先に聞く

示された金額をそのまま比べるのではなく、自分が受託する会場の条件で計算した数字で、どの仕事を受けるかを判断してください。

用語解説

用語 意味
新規接客 結婚式場を見学に来た新郎新婦を案内し、成約につなげる接客です
接客報酬 新規接客で、来館した新郎新婦を接客するごとに支払われる報酬です
成約報酬 新規接客をした新郎新婦が成約したときに支払われる報酬です
成約率 新規接客の接客数のうち、成約数の割合です
実質時給 報酬から自分が負担した経費を引き、拘束時間の合計で割った金額です
拘束時間 実働に加えて、移動・準備・待機を含めた、その仕事のために使った時間の合計です
算定方法 報酬の具体的な金額を決めるための計算の方法です
フリーランス法 フリーランス・事業者間取引適正化等法の略称です。正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です
地域別最低賃金 都道府県ごとに定められ、その地域の事業場で働く労働者と使用者に適用される賃金の下限です

出典一覧

※ このブログは2026年10月23日時点で公表されている内容に基づいています。ブログ中の報酬の金額と時間は、計算の手順を示すための仮の数字です。

株式会社永光 代表取締役 高橋龍一

執筆者

株式会社永光 代表取締役 高橋 龍一

婚礼の現場とフリーのウエディングプランナーを経て、2018年からウエディングプランナーの業務委託サービス「プラスワン・プランナー」を運営しています。

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