ウエディングプランナーの業務委託の原点

このブログの概要|読了目安:約12分
プラスワン・プランナーを運営する株式会社永光、代表の高橋です。弊社は2018年8月より、ウエディングプランナーの業務委託を軸に、婚礼施設とフリーのウエディングプランナーを「お仕事単位」でつなぐサービスを続けてきました。いつものブログでは業界の数字や制度を扱っていますが、今回は番外編として、このサービスがどのような経緯で生まれたのかを、私自身の言葉で書いておきたいと思います。
というのも、プラスワン・プランナーは、ある日ふと思いついて始めた事業ではないんですね。式場で働いていたときに感じた違和感、フリーとして独立したときに味わった苦労、そして父の会社で経験した製造請負の仕事という、一見するとまったくばらばらに見える3つの経験がありました。この3つが、あるとき一本の線でつながったことで生まれたのが、プラスワン・プランナーというサービスなわけです。
なので今回は、その3つの経験を順番にたどりながら、なぜ私がウエディングプランナーの業務委託という形にたどり着いたのかを、できるだけ丁寧に書いてみようと思います。少し長くなりますが、お付き合いいただけるとうれしいです!
■ このブログでわかること
- 代表がブライダルの世界に入ったきっかけと、新卒時代に式場で痛感したこと
- フリープランナーとして独立したときに直面した「集客と認知の壁」
- 製造請負の現場で、アウトソーシングの力を確信した出来事
- プラスワン・プランナーが、婚礼施設とフリープランナーの双方に何を届けようとしているか
ブライダルの虜に
まずは、私がブライダルの世界に入ったきっかけからお話しします。
実は、私は大学でブライダルを専攻していたわけではありません。ブライダルとの出会いは、大学時代の就職活動でした。そのときに、ゲストハウスウエディングを世に広めた会社の社長のお話を聞く機会があったのですが、空間のプロデュースを起点にして、それまでになかった新しい価値をつくっていくという考え方に、すっかり心をつかまれてしまったんですね。今振り返ると、それがこの業界を目指すことになった最初の衝動だったと思います。
そうして新卒で入社したのが、大手のブライダル会社です。とはいえ、最初からウエディングを担当していたわけではなく、私の社会人としてのスタートは宴会営業でした。ハウスウエディングの会場を平日にも活用していただくための、法人のお客様への営業から始まり、その後は婚礼当日のサービス、ウエディングの営業、キャプテン業務と、本当にさまざまな仕事を経験させていただきました。また横浜では、新しい事業所の立ち上げメンバーにも加えていただき、若いながらも本当に多くのことを勉強させていただくなかで、気がつけば、すっかりブライダルの虜になっている自分がいました。
その後、私は大阪のプロデュース会社に移り、ホテルやレストランのウエディング部門で責任者を務めました。ハウスウエディングとはまた異なるカテゴリーの結婚式を経験させていただいたことで、ひと口にウエディングといっても、場所やスタイルによってこれだけ幅があるのだということを学ぶことができました。そしてこの幅の広さを知ったことが、のちにフリーランスとして独立するうえでの土台になっていきます。
新卒時代の痛感
ただし、式場で働いていたころの私には、ずっと引っかかっていることがありました。それは、お客様の希望と会場の都合が食い違ったときに、会場の都合が優先されてしまうということです。
というのも、私が最初に担当していた宴会の仕事では、持ち込みも比較的自由で、お客様の希望に合わせて形を柔軟に変えることができたんですね。ところが、ブライダル部門に移ってみると、その自由度はぐっと下がりました。また、打合せが進むたびに見積りが上がっていくことへのお客様の不満も、私はたくさん目にしてきました。
今でも忘れられない新卒当時の出来事があります。新規接客でご来館された新婦様のご要望として、衣裳の持ち込み希望がありました。しかし私が働いている会社は自社で衣裳会社も運営しているため、答えは当然ノーです。
それを伝えると、「衣裳が持ち込めれば、ここに決めるのに」と新婦様は私の前で号泣され、新郎様は激昂され収拾がつかなくなり、私は事務所に戻り上司に相談しました。しかし当時の上司の答えは、「会社の利益の源泉なのだから、そこは納得のいく説明をして、できないと言わないと」というものでした。
もちろん、会社の事情としては私も理解できます。衣裳や装花といった付帯商品の売上が、会場の経営を支えているのは紛れもない事実だからです。ですが、お二人の側から見れば、それはやはり事業者の都合でしかないわけです。目の前で涙を流されている新婦様に対して、会社の論理で「できません」と伝えることしかできないわけです。お客様の希望より事業者の都合が先に立ってしまう、このギャップをなんとか埋めたいと私は強く思いました。この経験こそが、のちに私が独立を決めた一番の理由になっています。
✔ ここがポイント
- 宴会と婚礼とでは、お客様の希望に応えられる自由度が大きく違っていました
- 事業者の都合が先に立ってしまうことへの違和感が、独立の原点になりました
フリープランナーとしての独立
そうして私は、結婚式場に所属しないフリーランスのウエディングプランナーとして独立し、「Azure Wedding」を立ち上げました。コンセプトは「ケッコンシキは十人十色」です。場所や形にとらわれずに、お二人が本当にしたい結婚式を一緒につくっていくということを大切にしてきました。花園ラグビー場での結婚式のように、お二人を起点にした自由なウエディングをたくさん形にできたことは、今でも私の大きな財産になっています。
一方で、独立した当初は本当に苦労しました。自分の思いとは裏腹に、集客はまったくといっていいほどうまくいかず、結婚式場に営業に伺っても門前払いをされることが何度もありました。自分のこれまでの経験を活かせば、お客様に必ず喜んでいただける結婚式をプロデュースできるという自信はあるのに、そもそもそのお客様に出会うことができない日々が続いたわけです。
それでも私は、ブログやSNSの更新と、少しでも認知を広げるための営業を、あきらめずにこつこつと続けました。また、ちょうどそのころから、世の中でフリーウエディングプランナーという存在そのものの認知度も少しずつ上がっていき、その流れにも助けられるかたちで、新郎新婦様から直接ご相談をいただけるようになっていきました。
ですが、この時期に身をもって知った「集客と認知の壁」は、のちのプラスワン・プランナーにそのままつながっていくことになります。なぜなら、どれだけ腕のあるフリープランナーであっても、仕事に出会うための道がなければ、その力を発揮することすらできないということを、私自身が痛いほど経験したからです。
! フリーになれば仕事がとれるわけではありません
- 腕があっても、お客様に出会う道がなければ仕事にはなりません
- 独立した当初、集客と認知の壁は想像以上に高いものでした
父の会社を継ぐ
そうしたなかで、私に大きな転機が訪れます。それが、父の会社を継ぐということでした。
株式会社永光は、もともと父が始めた製造請負の会社です。いろいろな製造業の工場で、機械塗装や加工といった現場の業務を請け負ってきました。父が亡くなったあとは、私の弟が先に会社を引き継いでくれていたという背景があります。従業員も多くはない小さな会社だったのですが、ありがたいことに年々仕事が増えていくなかで、私も本格的に経営に加わるという流れになりました。そしてそれにあわせて、それまで個人で続けてきたウエディングのプロデュースの仕事も、永光の事業として組み込むことにしました。
つまり、ウエディングとはまったく異なる事業領域に挑戦するという転機が訪れたわけです。ところが、実際にやってみると、そこには意外な共通点がありました。
永光は、自社で工場を持っていません。取引先の工場に職人のチームを常駐させて、その現場の仕事を請け負うというスタイルで運営している会社なんですね。これは業種こそ違えど、場所や形にとらわれずに結婚式をプロデュースするというフリーランスのウエディングと、根っこのところで相通じるものがあると私は感じました。自分で「ハコ」を持つのではなく、人と技術を持って、必要とされる場所に出ていくという考え方です。そしてこの考え方は、のちのプラスワン・プランナーにもそのまま引き継がれています。
倉庫の請負で得た確信
ちょうど私が会社の経営に加わったのと同じころ、社会全体では、労働者派遣法の改正や働き方改革の議論が本格化し、これまでとは異なる労働のあり方が模索されるようになっていました。製造の現場でもまさしく、雇用の形の見直しが大きく進んでいくのを、私は目の当たりにしていました。
そうしたなかで、長くお付き合いのある取引先の一つから、「倉庫の業務をまるごと一括で請け負ってもらいたい」というお話をいただきました。
これまで経験したことのない業種だったため、正直に申し上げると、私はかなり苦労しました。というのも、弊社が請け負うまでの当時の倉庫では、一人ひとりがばらばらに仕事をしていて、朝礼や昼礼といった打合せや情報共有の場もないという状態だったんですね。まさに、仕事が特定の人に張りついてしまう「属人的な仕事」の典型でした。
これを仕組みとして回るようにするために役に立ったのが、私がウエディングで培ってきた「お客様のためにチーム全体で仕事をする」という考え方でした。結婚式では、全体の指揮をとるウエディングプランナーやキャプテンと、現場を支えるサービススタッフとの役割分担や責任の範囲が、はっきりと分かれています。私は、それと同じ考え方を倉庫の現場にも持ち込み、指揮役と現場スタッフの役割と責任を明確にしていきました。
その結果、もともと取引先が16人で行っていた業務を、弊社では10人にスリム化し、さらにそのうえで残業なしで回せるようにすることに成功しました。取引先からすれば、それまで自社で抱えていた部門を外部にアウトソーシングすることで、固定費を下げることができます。一方で弊社からすれば、自社の人と技術を元手にして、仕事をまるごと請け負うことができます。つまり、お互いにとってよい関係、いわゆるウィンウィンの関係が成立したわけです。
このとき私は、これからはアウトソーシングこそが時代に求められるサービスだと確信しました。そして同時に、この流れと波は、間違いなくウエディングの世界にもやってくるとも考えるようになりました。
✔ ここがポイント
- ウエディングで培ったチームの動かし方が、倉庫の現場でもそのまま通用しました
- 外に出す側と請け負う側の双方に利点があることが、アウトソーシングの強みです
プラスワン・プランナーの始動
では、なぜ私はウエディングにもこの流れが来ると考えたのでしょうか。その理由は、ウエディングプランナーという仕事の働き方そのものにありました。ウエディングプランナーは、やりがいの大きい仕事である一方で、離職率がとても高い職業であることも間違いない事実です。私は、その大きな理由の一つが、ウエディングプランナーの働き方と「雇用契約」という契約の形とがかみ合っていないことにあると考えていました。
ウエディングプランナーは、高い専門性と知識、そして経験が求められる立派な技術職です。そして技術職というのは、弁護士や会計士などがそうであるように、本来は業務委託という契約の形がもっとも合っていると私は考えています。だからこそ、婚礼施設とフリープランナーとが「お仕事単位」でつながれる仕組みをつくれば、施設にとってもフリープランナーにとっても、よい形になるはずだと考えたわけです。
またもう一つの理由として、フリーで独立したときの私自身の経験がありました。フリープランナーの数が増えるということは、それだけ競争も激しくなるということです。「フリーになれば仕事がとれる」というわけではまったくなく、新郎新婦様からの直接のご依頼だけで生計を立てていくことは、これからますます難しくなっていきます。そのため、婚礼施設のお仕事を受けられる道をつくるということは、フリープランナーが直面する「仕事がない」という課題への答えにもなるわけです。
こうして弊社は、一般労働者派遣事業と有料職業紹介事業の許可を受けたうえで、プラスワン・プランナーのサービスを始めました。仕組みとしては、婚礼施設が公開したお仕事に登録フリープランナーが応募し、弊社が施設から受託したお仕事を、そのフリープランナーに再委託するというものです。製造請負とブライダルプロデュースの両方で培ってきた人材活用のノウハウを、大好きなブライダルの世界でこそ活かしたいという思いが、このサービスの出発点になっています。
始めてからのこと
とはいえ、プラスワン・プランナーは最初から順調だったわけではありません。立ち上げからしばらくは、事業そのものがなかなか知られず、苦戦が続きました。
その流れが大きく変わったきっかけは、コロナ禍でした。業界全体で多くのウエディングプランナーが職場を離れたことで、婚礼施設の側では「すぐに現場に入ってもらえるウエディングプランナー」が必要になったんですね。それまで地道に続けてきたウェブでの発信も実を結び、即戦力としてのフリープランナーの認知と需要は、そこから一気に広がっていきました。
また、弊社は最初、あえてエリアを関西に絞りました。それは、私自身が常に最前線に立って、すべての会場の業務の流れを新規・施行問わず把握し、それを全フリープランナーに共有できる体制をつくるためです。私はこれを、まさに「現場力こそがすべて」の実践だと考えています。そしてこのことによって、会場様に対してもフリープランナーに対しても、常にスピーディーに、且つきめ細かく対応することができ、その一つひとつの信頼の積み重ねによって、営業活動らしい営業をほとんど行うことなく運営を続けることができました。
その結果、現在では全国60名の登録フリープランナーとともに、累計2,500組を超える結婚式に携わらせていただいています。また、案件の公開から応募、再委託、お支払いまでを一つで扱える受発注のシステムも、正式にリリースしました。
理念とのつながり
こうした経緯は、弊社の理念にもそのまま表れています。
永光のミッションは「側面支援で社会貢献」です。弊社は、工場も結婚式場も自前では持っていません。本丸を自分で運営するのではなく、その本丸に対して、側面から人やノウハウを提供している会社なんですね。父の代から続く製造請負も、プラスワン・プランナーも、やっていることの本質はまったく同じなわけです。
そして、その根っこにある考え方が「ヒト一人を真ん中に」です。式場で涙を流されていたあの新婦様も、雇用の形が合わずに業界を離れていくウエディングプランナーも、事業者の都合が真ん中にあると見えなくなってしまう存在です。プラスワン・プランナーを始めたときに掲げた「婚礼施設にとっても、そこで働くウエディングプランナーにとっても、両者が幸せな環境をつくる」という使命も、まさにこの考え方から生まれています。
ミッション・ビジョン・バリューについては、以前のブログで詳しく書いていますので、よろしければあわせてご覧ください。
■ この章のまとめ
- 永光のミッションは「側面支援で社会貢献」です
- 製造請負もプラスワン・プランナーも、本丸を持たずに人とノウハウを提供する点で同じです
- その根っこにあるのが「ヒト一人を真ん中に」という考え方です
まとめ
このブログでは番外編として、ウエディングプランナーの業務委託サービスであるプラスワン・プランナーが、どのような経緯で生まれたのかを書いてきました。新卒時代に式場で痛感した事業者都合への違和感、フリーとして独立したときの集客と認知の壁、そして製造請負の現場で得たアウトソーシングへの確信のうち、どれか一つでも欠けていたら、プラスワン・プランナーは生まれていなかったと私は思います。遠回りに見えたそれぞれの経験が、振り返ってみるとすべて一本の線でつながっていたんですね。
そのうえで弊社が目指しているのは、婚礼施設とフリープランナーとが「お仕事単位」でつながり、双方にとってよい形で働ける環境をつくることです。婚礼施設の皆様にとっては、必要なときに必要な人の力を借りることができる仕組みであり、フリープランナーの皆様にとっては、自分の得意を活かしながら、ライフスタイルに合わせて働くことができる道です。
業務委託でのフリープランナーの活用を考えている婚礼施設の方、またフリーとしての働き方を考えているウエディングプランナーの方は、ぜひお気軽に弊社までご相談ください。これからも、婚礼施設の皆様とフリープランナーの皆様、そして新郎新婦様のお役に立てるよう、真面目に誠実に取り組んでまいります。引き続きどうぞよろしくお願いいたします!
用語解説
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 業務委託 | 雇用契約ではなく、仕事の完成や業務の遂行を外部に任せる契約の形です |
| アウトソーシング | 自社で行っていた業務を、外部の事業者に任せることです |
| 製造請負 | 製造業の工程や業務を、請負事業者が自らの指揮のもとで引き受ける形です |
| 一般労働者派遣事業 | 自社で雇用する人を、派遣先の指揮命令のもとで働かせる事業で、国の許可が必要です |
| 有料職業紹介事業 | 求人者と求職者の間に立ち、雇用関係の成立をあっせんする事業で、国の許可が必要です |
| フリープランナー | 特定の結婚式場に所属せず、独立して活動するウエディングプランナーです |
| 属人的な仕事 | 特定の人の経験や判断に頼りきりになり、ほかの人が引き継げない状態の仕事です |
出典一覧
- プラスワンプランナー「理念」 https://plusone-p.com/idea/
- 株式会社永光 公式サイト https://eiko-et.com/
- プラスワンプランナー「ミッション・ビジョン・バリュー」 https://plusone-p.com/wedding-planner-corporate-mission/
- プラスワンプランナー「御礼感謝」 https://plusone-p.com/%e5%be%a1%e7%a4%bc%e6%84%9f%e8%ac%9d/
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