業務委託の基本契約と個別契約の違い

このブログの概要|読了目安:約11分
本日のブログは、業務委託で仕事を受けるフリープランナーの方に向けて、業務委託の基本契約と、仕事ごとの個別契約の関係をお伝えします。業務委託契約とは何か、契約書に決まった様式はあるのか、何が書かれるのか、仕事のたびに何を確かめればよいのかを、順にご説明します。
結論からお伝えすると、業務委託の仕事は、最初に1回交わす基本契約(業務委託契約書)と、仕事を引き受けるたびに条件が決まる個別契約の2段で進めます。公正取引委員会と厚生労働省の「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」にも、毎回同じになる条件を「共通事項」として先に示しておくことについての記載があります。毎回同じ条件を基本契約で決めておけば、仕事ごとには、担当する日・内容・報酬など、その仕事で変わる条件だけを決めれば足ります。
なので、基本契約を交わすときは、報酬の決め方や支払日、キャンセルのときの扱いまで書かれているかを確かめ、仕事ごとには、その仕事の条件が書面かメール・メッセージで届いているかを確かめることをおすすめします。なぜならば、フリーランス法によると、発注者は仕事を頼むたびに、取引条件を書面か電磁的方法で示さなければならないからです。
業務委託契約書の条項の読み方は、2026年10月1日のブログ「業務委託契約書と婚礼の「6か月」」で詳しくお伝えしました。今回は、その手前にある「基本契約と個別契約がどうつながっているか」と、弊社で仕事を受ける場合の流れをお伝えします。
■ このブログでわかること
- 業務委託契約とは何か、雇用契約と何が違うか
- 業務委託契約書に決まった様式はあるか、何が書かれるか
- 基本契約と個別契約の関係と、仕事ごとに省略できる範囲
- 弊社のマネジメント契約で、契約から支払いまでがどう進むか
業務委託契約とは仕事単位で引き受ける契約
業務委託契約とは、会社に雇われるのではなく、仕事を単位として引き受ける契約です。雇用契約のように、勤務時間や勤務日を会社に決められて働くものではありません。
実は「業務委託契約」という名前の契約は、民法には書かれていません。民法に書かれているのは、次の2つです。
| 民法の |
民法の |
フリープランナーの |
|---|---|---|
| 請負 |
仕事の |
決まった |
| 準委任 |
法律行為でない |
新規接客や、 |
ウエディングプランナーの新規接客や施行は、成約や結婚式の「完成」を約束する仕事ではなく、決められた業務を行う仕事です。2026年10月1日のブログ「業務委託契約書と婚礼の「6か月」」でも、フリープランナーの業務委託を準委任として引き受けるものとして書いています。なぜならば、プランナーの業務委託は、成約や結婚式の完成を約束するのではなく、決められた業務を行うことに報酬が払われる仕事だからです。
そのうえで、業務委託の契約形態には、婚礼施設と直接契約するものと、仲介する会社を通すものがあります。契約形態ごとの違いは、2024年11月25日のブログ「フリーランスのウエディングプランナーの働き方とは? 3つの契約方法を徹底比較!」でお伝えしています。
業務委託契約書に決まった様式はない
それでは、業務委託契約を結ぶには、決まった様式の契約書が必要なのでしょうか。答えは、決まった様式はありません。
民法第522条第2項によると、契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成などの方式を必要としないとの記載があります。つまり、契約そのものは、様式に関係なく、双方が合意すれば成立します。
ただし、業務委託の場合は、口約束で済ませてよいわけではありません。フリーランス法(正式には「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)の第3条によると、発注者はフリーランスに業務委託をした場合、直ちに、給付の内容、報酬の額、支払期日などを、書面か電磁的方法で明示しなければならないとの記載があります。
ここでいう電磁的方法について、公正取引委員会と厚生労働省がまとめた「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」には、電子メールのほか、SNSのメッセージ機能のうち送る人が受け取る人を特定して送れるものも含まれるとの記載があります。そのため、紙の契約書でなくても、メールやシステム上で条件が示されていれば、この明示にあたります。
紙の契約書には印紙が要る場合がある
紙の契約書で交わすときに気になるのが、収入印紙です。国税庁のタックスアンサー「No.7102 請負に関する契約書」によると、仕事の完成を約束し、その結果に報酬を払う契約の契約書は、印紙税がかかる「請負に関する契約書」にあたります。準委任の契約書の扱いは、契約の中身によって変わるので、紙で交わすときは発注者か税務署に確かめます。
一方で、国税庁の質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」によると、印紙税がかかるのは紙の文書で、電子データ(電磁的記録)は課税文書に含まれないとの記載があります。電子契約やシステム上で契約する場合は、印紙は要りません。
ウエディングプランナー経験のある方へもう一度、結婚式の仕事をしてみませんか土日だけOK月2日からブランクがあっても相談できます個別相談会に申し込む →業務委託契約書に書かれる主な内容
決まった様式はありませんが、業務委託契約書には、次のような項目が書かれます。2026年10月1日のブログ「業務委託契約書と婚礼の「6か月」」で、受注前に確かめる点として挙げた項目と同じです。
| 項目 | フリープランナーが |
|---|---|
| 業務の |
新規接客か |
| 報酬の |
1接客ごと、 |
| 締切日と |
「毎月 |
| 費用の |
交通費などを |
| キャンセル・ |
結婚 |
| 秘密保持 | 顧客情報や |
この中で特に確かめたいのは、業務の範囲とキャンセルのときの扱いです。なぜならば、業務の範囲が書かれていなければ、あとから加わった作業を断る根拠がなく、キャンセルの扱いが書かれていなければ、それまでに行った打合せの報酬がどうなるかが決まらないからです。
個別契約とは仕事ごとに決まる条件
基本契約を交わしただけでは、まだ具体的な仕事は決まっていません。担当する顧客の施行や、新規接客の日が決まり、それを引き受けたときに決まる条件が、個別契約です。会社によっては「個別発注」「注文書」「発注書」と呼ぶこともあります。
公正取引委員会と厚生労働省の「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」には、取引条件の明示が必要な「業務委託をした場合」とは、発注者とフリーランスが業務委託をすることについて合意した場合をいうとの記載があります。さらに、毎回同じになる取り決めをあらかじめ決めておく場合でも、明示が必要になるのはその取り決めを決めたときではなく、後に個々の業務委託を合意したときだとの記載があります。
つまり、基本契約を交わしていても、仕事を1件引き受けるたびに、その仕事の取引条件が書面かメール・メッセージで示されることになります。
業務委託の基本契約と個別契約の関係
基本契約と個別契約は、役割が分かれています。毎回同じ条件は基本契約に、仕事ごとに変わる条件は個別契約に書きます。図1のとおりです。
公正取引委員会と厚生労働省の「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」では、この毎回同じになる取り決めを「共通事項」と呼んでいます。そして、共通事項をあらかじめ書面か電磁的方法で示している場合は、個別の明示に、あらかじめ示した共通事項との関連性を書かなければならないとの記載があります。あわせて、共通事項を示すときは、その共通事項が有効である期間も示す必要があるとの記載もあります。
そのため、仕事ごとに条件を受け取ったときは、どの基本契約にもとづく仕事なのかと、その基本契約が今も有効な期間に入っているかを確かめます。また、基本契約と個別契約の条件が食い違ったときにどちらを優先するかは、基本契約に定めがあるかを確かめておくと安心です。
仕事ごとに省略できる範囲
それでは、仕事ごとの個別契約では、どこまで省略できるのでしょうか。答えは、基本契約で示した共通事項は省略できますが、口頭だけで済ませることはできません。図2のとおりです。
1つ目は、共通事項です。基本契約で示した共通事項は、その有効な期間のあいだ、仕事ごとに書き直す必要はありません。ただし、どの基本契約にもとづく仕事かは書かれます。
2つ目は、その時点で決められない項目です。公正取引委員会と厚生労働省の「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」には、内容を決められない正当な理由がある項目は、その理由と、内容を決める予定の日を先に示し、決まったら直ちに示すとの記載があります。なお、成約報酬のように「成約したらいくら」と算定方法を示せるものは、この扱いにはならず、算定方法を示す必要があるとの記載もあります。
3つ目は、伝え方です。フリーランス法第3条によると、明示は書面か電磁的方法で行うとの記載があるので、電話や口頭だけで条件を伝えることはできません。電話で仕事を頼まれて引き受けたときは、その条件をメールかメッセージで送ってもらいます。
! 交通費は書かれていなければ報酬に含まれる扱い
- 公正取引委員会と厚生労働省の「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」には、費用の精算について特に明示がない場合は、示された報酬の額だけを支払うと明示したものとして扱うとの記載があります
- 交通費を別に受け取るつもりなら、基本契約か個別契約に精算の有無が書かれているかを確かめます
弊社のマネジメント契約は三者間の業務委託契約
ここまでは一般的な業務委託の話です。それでは、弊社のプラスワン・プランナーで仕事を受ける場合は、どうなるのでしょうか。
弊社には、契約形態が2つあります。
- マネジメント契約:婚礼企業・弊社・フリープランナーの三者間の業務委託契約です。弊社が間に入り、仕事の受発注から支払いまでを仲介します
- エージェント契約:弊社を通さず、婚礼企業とフリープランナーが直接契約します。契約の中身は、当事者同士で決めます
マネジメント契約の基本契約にあたるのは、弊社と交わす業務委託契約です。この契約書は、弁護士と労働局のリーガルチェックを受けています。契約を交わしたあとは、弊社の研修と、婚礼施設ごとの研修を受けてから、仕事を始めます。
そして、仕事ごとの個別契約は、弊社のシステムの中で成立します。弊社の「利用規約」には、システム内で、三者間で業務内容・契約単価・時間・場所などの契約内容が確定し、その内容に従って実施する意思が相互に確認された時点で、業務委託契約が締結されるとの記載があります。また、原則として、成立したあとに契約内容は変更できないとの記載もあります。
支払いは、毎月15日に弊社からお支払いしています。新規接客は翌月15日、施行は、初回の打合せを終えた月と施行を終えた月のそれぞれ翌月15日に、半金ずつお支払いします。支払期日の法律上の考え方は、2026年10月27日のブログ「業務委託の支払期日〜報酬はいつ確定し、いつ入るか」でお伝えしています。
個別契約がシステムで完結するので手元に残る
弊社のマネジメント契約では、仕事ごとの条件の確認から報酬の請求まで、システムの中で完結します。そのため、ここまでお伝えした「条件が書面かメッセージで届いているか」「その条件を手元に残しておけるか」という点を、フリープランナーが自分で整える必要がありません。
弊社の「PLUSONE PLANNERサイトの機能紹介」に記載している主な機能は、次のとおりです。
- オファー管理・応募管理:受発注の内容を一覧で確かめられ、PDFとして発行することもできます
- チャット:オファー内容の確認や細かな調整を、フリープランナー・婚礼施設・弊社の間でやりとりできます
- 通知:オファー・応募・メッセージは、すべて自動で通知されます
- スケジュール:最大1年半先までの予定を登録でき、婚礼施設はそれを見てオファーを出せます
つまり、電話で頼まれた条件をメモしたり、メッセージの画面を保存したりしなくても、仕事ごとの条件がシステムに残り、必要なときはPDFで出せます。また、システムはスマートフォンからアプリのように使えます。システムの利用料はかかりません。
よくある質問
まとめ
今回は、業務委託で仕事を受けるフリープランナーの方に向けて、業務委託の基本契約と個別契約の関係をお伝えしました。業務委託契約は仕事単位で引き受ける契約で、契約書に決まった様式はありません。ただし、フリーランス法によると、発注者は仕事を頼むたびに、取引条件を書面か電磁的方法で示す必要があります。
要点は、次のとおりです。
■ この章のまとめ
- 業務委託契約は仕事単位で引き受ける契約で、フリープランナーの仕事は準委任として引き受けるもの
- 業務委託契約書に決まった様式はなく、電子データなら印紙は要らない
- 毎回同じ条件は基本契約に、仕事ごとに変わる条件は個別契約に書く
- 基本契約で示した共通事項は仕事ごとに省略できるが、電話や口頭だけでは済ませられない
- 弊社のマネジメント契約は三者間の業務委託契約で、個別契約はシステム内で成立し、内容はPDFで出せる
☑ 次にすること
- 手元の業務委託契約書に、業務の範囲・報酬の決め方・支払日・費用・キャンセルの扱いが書かれているかを確かめる
- 次に仕事を引き受けたら、その条件が書面かメール・メッセージで届いているかを確かめる
業務委託の契約は、最初に基本契約で決めることを決めておけば、仕事ごとのやりとりは短く済みます。弊社のマネジメント契約で仕事を受けてみたい方は、まずはご面談で契約の内容をご説明します。
用語解説
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 業務委託契約 | 雇用ではなく、 |
| 準委任 | 法律行為でない |
| 基本契約 | 同じ |
| 個別契約 | 仕事を |
| 共通事項 | フリーランス法の |
| フリーランス法 | 「特定受託事業者に |
| マネジメント契約 | 弊社の |
| エージェント契約 | 弊社の |
出典一覧
- e-Gov法令検索「民法」(明治29年法律第89号)第522条、第632条、第643条、第656条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号)第3条 https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000025
- 公正取引委員会・厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」(令和6年5月31日、令和8年10月1日改正)7〜17ページ https://www.mhlw.go.jp/content/001572556.pdf
- 国税庁 質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/02/10.htm
- 国税庁 タックスアンサー「No.7102 請負に関する契約書」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7102.htm
※ このブログは2026年10月29日時点で公表されている内容に基づいています。個別の契約や印紙税の扱いは、契約の中身で変わりますので、発注者・税務署・弁護士などにご確認ください。

執筆者
株式会社永光 代表取締役 高橋 龍一
婚礼の現場とフリーのウエディングプランナーを経て、2018年からウエディングプランナーの業務委託サービス「プラスワン・プランナー」を運営しています。
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