業務委託でも源泉徴収は必要!?

このブログの概要|読了目安:約10分
本日のブログは、これから業務委託を始める方に向けて、業務委託でも源泉徴収は必要なのかと、年末から3月15日の確定申告までにやることをお伝えします。
結論からお伝えすると、業務委託でも源泉徴収が必要かどうかは、仕事の種類によって異なります。婚礼施設は、新規接客と施行の委託料からは、原則として源泉徴収をしません。一方で、研修の講師や原稿の報酬からは、10.21%を差し引いて支払います。
ただし、源泉徴収がなくても、所得税を納める必要はなくなりません。 なぜならば、源泉徴収は税金を前払いする仕組みであり、1年分の税金はフリープランナー自身が確定申告で計算して納めるからです。そのため、今年中に領収書と請求書を1か所に集め、来年の2月16日から3月15日までに確定申告をすることをおすすめします。
弊社は2026年9月17日のブログ「業務委託の「振込額」と「手取り」の違い」で、業務委託の報酬は税金が差し引かれずに振り込まれることが多いとお伝えしました。今回はその続きとして、税金の手続きを初めての方向けに順番にお伝えします。
※ 弊社は税理士ではありません。迷ったときの最終的な判断は、税務署か税理士に確かめてください。
■ このブログでわかること
- 業務委託でも源泉徴収が必要な仕事と不要な仕事
- 年末から3月15日までにやること
- 所得税の計算の4つの順番
- 副業の方が還付を受けられる場合と、確定申告が必要な人
業務委託でも源泉徴収が必要な仕事と不要な仕事
はじめに、源泉徴収とは何かを確かめます。源泉徴収とは、報酬を支払う側が税金を先に差し引いて、国に納める仕組みです。例えば、会社員のときの給与明細では、会社が給与から所得税を差し引いていたと思います。
では、業務委託の報酬からも、必ず税金が差し引かれるのでしょうか。答えは、すべての報酬から差し引かれるわけではありません。なぜならば、所得税法が、源泉徴収の対象になる報酬の種類を定めているからです。国税庁の「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」によると、対象には原稿料や講演料などがあるとの記載があります。一方で、新規接客と施行の仕事は、この区分に記載がありません。
この図のとおり、婚礼施設は、新規接客と施行の委託料からは、原則として源泉徴収をしません。 そのため、フリープランナーは、研修の講師などを頼まれたときに差し引かれると考えてください。
差し引かれるときの税率は10.21%です。例えば、講師料が50,000円の場合は、50,000円 × 10.21% = 5,105円が差し引かれ、50,000円 − 5,105円 = 44,895円が振り込まれます。
! 講師の仕事を受けるときの注意
- 「謝礼」「車代」という名前でも、中身が講師料なら源泉徴収の対象です
- 請求書で報酬と消費税を分けて書けば、婚礼施設は報酬の額だけから差し引きます
今お伝えした消費税については、インボイス登録の話とあわせて、2026年9月24日のブログ「インボイス登録と婚礼施設の消費税」で詳しくお伝えしました。
✔ インボイスの要点
- 登録が必要かどうかは、自分の売上高ではなく、売上先の消費税の計算方法で決まります
- 2026年10月1日から、免税事業者からの仕入れの控除割合は8割から7割に下がりました
- 経過措置で登録すると、登録日以後2年を経過する日の属する課税期間までは免税事業者に戻れません
ここで注意していただきたいのは、源泉徴収がなくても、所得税を納める必要はあるということです。なぜならば、会社員なら会社が年末調整をしてくれますが、業務委託では自分で確定申告をするからです。
年末から3月15日までにやること
それでは、確定申告に向けて、これから何をすればよいのでしょうか。答えは、今年中に書類を集め、1月に合計を出し、2月16日から3月15日までに申告して納めることです。
まず、11月から12月のあいだに、領収書、請求書、振込の明細を1か所に集めてください。なぜならば、1月に1年分の収入と経費を合計するときに、書類がなければ金額を確かめられないからです。
ここで気をつけていただきたいのは、12月に施行した報酬の扱いです。それはどういうことかというと、12月に施行した報酬が翌年1月に振り込まれても、原則として施行を終えた年の収入として申告するということです。この扱いは、2026年10月27日のブログ「業務委託の支払期日〜報酬はいつ確定し、いつ入るか」で詳しくお伝えしました。
! 12月の施行の報酬
- 12月に施行した報酬は、入金が翌年でも、原則として施行を終えた年の収入です
- 収入は入金の合計ではなく、施行を終えた日で数えます
- 入金した年で計算できる特例には要件があるので、税務署か税理士に確かめてください
次に、1月になったら、1年分の収入、経費、差し引かれた税金の3つを合計します。なぜならば、確定申告書を作るときに、この3つの金額を使うからです。
そのうえで、2月16日になったら、確定申告書を作ります。例えば、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、画面の案内に沿って金額を入力するだけで、税額まで計算できます。このとき、講師料などから差し引かれた税金は、確定申告書の第二表の「所得の内訳」の欄に記入します。なぜならば、差し引かれた額を記入しないと、前払いした税金を差し引いて計算できないからです。
最後に、3月15日までに税金を納めます。国税庁の「No.2020 確定申告」によると、確定申告書を提出しても税務署から納付書などの通知はないとの記載があります。そのため、振替納税やインターネットバンキング、クレジットカードなどから方法を選び、自分で納める必要があります。
☑ 今日からやること
- 領収書を入れる封筒か、スマートフォンの写真フォルダを1つ作る
- 「入金日・婚礼施設の名前・仕事・報酬額・差し引かれた額」の表を作る
- 委託料が振り込まれたら、一部を税金の分として残す
所得税の計算は4つの順番で考える
では、確定申告では、実際にいくら納めるのでしょうか。所得税は、次の4つの順番で計算します。例えば、専業のフリープランナーの1年を、仮の数字で計算すると図3のとおりです。
1つ目は、収入から経費を引くことです。 委託料が3,000,000円、講師料が200,000円で、収入は3,200,000円とします。打合せに行く交通費などの経費が800,000円なら、3,200,000円 − 800,000円 = 2,400,000円が所得です。経費になるものは、2024年12月17日のブログ「フリープランナーになるためのステップ③~必要経費編」で詳しくお伝えしました。
✔ 経費になる主なもの
- 婚礼施設への移動や打合せの交通費
- 電話やインターネットなどの通信費
- ノートやペン、プリンターのインクなどの事務用品
- 名刺やウェブサイトなどの宣伝費
- 仕事に役立つセミナーや研修の費用
2つ目は、所得から所得控除を引くことです。 所得控除とは、個人の事情に応じて所得から差し引ける金額です。国税庁の「No.1199 基礎控除」によると、2026年分の基礎控除は、合計所得金額が489万円以下なら104万円との記載があります。社会保険料が400,000円だったと仮定すると、所得控除の合計は1,440,000円です。したがって、2,400,000円 − 1,440,000円 = 960,000円が、税金がかかる所得になります。所得控除の種類は、2024年12月17日のブログ「フリープランナーになるためのステップ④~控除編」で詳しくお伝えしました。そのブログの基礎控除は当時の48万円なので、2026年分はこのブログの金額で計算してください。
✔ 主な所得控除
- 基礎控除
- 国民健康保険や国民年金の社会保険料控除
- 医療費控除
- 寄附金控除
- 生命保険料控除
3つ目は、税率をかけることです。 国税庁の「No.2260 所得税の税率」によると、960,000円の税率は5%です。そのため、所得税は960,000円 × 5% = 48,000円です。さらに、復興特別所得税の2.1%を足すと、48,000円 × 1.021 = 49,008円が1年分の税金です。
4つ目は、前払いした税金を差し引くことです。 講師料200,000円からは、200,000円 × 10.21% = 20,420円が差し引かれています。そのため、確定申告で納めるのは、49,008円 − 20,420円 = 28,588円です。
つまり、源泉徴収で差し引かれた税金は、この4つ目の計算で1年分の税金から差し引けます。 差し引かれた額を控えていないと、この計算ができません。そのため、入金のたびに記録を残してください。
副業の方は確定申告で還付を受けられることがある
ここまでは専業の方の例でした。それでは、会社員の副業の場合はどうなるのでしょうか。副業の方は、確定申告をすると、差し引かれた税金の一部が戻ることがあります。なぜならば、講師料から10.21%を前払いしていて、本来の税率が5%なら、払い過ぎになるからです。
例えば、講師料が100,000円で10,210円を差し引かれ、施行の委託料が60,000円、経費が40,000円だったとします。所得は100,000円 + 60,000円 − 40,000円 = 120,000円です。給与と合わせても税率が5%の範囲だと仮定すると、この分の税金は120,000円 × 5% × 1.021 = 6,126円です。したがって、10,210円 − 6,126円 = 4,084円の還付を受けられます。
ただし、年末調整を受けている会社員は、副業の所得が20万円以下なら、原則として確定申告をしなくてもよいとされています。そのため、自分から申告しなければ、前払いした税金は戻りません。 申告するときは、源泉徴収のなかった委託料の所得も一緒に記入してください。国税庁の「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」の質疑応答によると、確定申告を行う場合に20万円以下の所得を申告しなくてもよいという規定ではないとの記載があります。
確定申告が必要な目安は、働き方によって異なります。
| 働き方 | 確定申告が |
|---|---|
| 専業の |
所得が |
| 会社員の |
給与以外の |
ここで間違えやすいのは、20万円の見方です。20万円は、受け取った報酬ではなく、経費を引いた後の所得で判断します。なお、給与を2か所以上から受けている方などは、条件が異なります。また、所得税の確定申告が必要ない場合でも、住民税は別の制度です。そのため、住民税の扱いはお住まいの市区町村に確かめてください。
よくある質問
まとめ
本日のブログでは、業務委託でも源泉徴収は必要なのかと、年末から3月15日までにやることをお伝えしました。
婚礼施設は、新規接客と施行の委託料からは、原則として源泉徴収をしません。一方で、研修の講師や原稿の報酬からは、10.21%を差し引きます。ただし、どちらの場合でも、1年分の税金は自分の確定申告で計算します。なぜならば、源泉徴収は税金を前払いする仕組みだからです。
そのため、まずは領収書を1か所に集め、1月に収入と経費を合計してください。そのうえで、2026年分の確定申告は2027年3月15日までに行います。
■ この章のまとめ
- 源泉徴収が必要かどうかは、仕事の種類によって異なります
- 源泉徴収がなくても、所得税を納める必要はあります
- 副業の確定申告の20万円は、経費を引いた後の所得で判断します
- 差し引かれた税金は、確定申告で1年分の税金から差し引けます
☑ 次にすること
- 今年の委託料と経費を、ここまでの分だけ合計してみる
- 講師や原稿の仕事を受ける前に、源泉徴収の有無を婚礼施設に確かめる
- 2月16日になったら、確定申告書の作成を始める
最初の確定申告は、不安に感じる方も多いと思います。ですが、順番が分かれば、やることは決まっています。まずは領収書を1か所に集めるところから始めてみてください。
用語解説
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 源泉徴収 | 報酬を |
| 確定申告 | 1年の |
| 所得 | 収入から |
| 所得控除 | 個人の |
| 基礎控除 | 所得控除の |
| 青色申告 | 帳簿を |
| 支払調書 | 報酬を |
| 復興特別所得税 | 所得税に |
出典一覧(14件)
- 国税庁 タックスアンサー「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」(令和8年4月1日現在)
- 国税庁 タックスアンサー「No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき」
- 国税庁「令和8年版 源泉徴収のあらまし」第5 報酬・料金等の源泉徴収事務
- 国税庁 タックスアンサー「No.1199 基礎控除」(令和8年4月1日現在)
- 国税庁 タックスアンサー「No.2260 所得税の税率」
- 国税庁 タックスアンサー「No.2020 確定申告」(令和8年4月1日現在)
- 国税庁 タックスアンサー「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」(令和8年4月1日現在)
- 国税庁 タックスアンサー No.1900 質疑応答「確定申告を要しない場合の意義」
- 国税庁 タックスアンサー「No.2030 還付申告」(令和8年4月1日現在)
- 国税庁 タックスアンサー「No.2090 新たに事業を始めたときの届出など」
- 国税庁 タックスアンサー「No.2070 青色申告制度」
- 国税庁 タックスアンサー「No.2072 青色申告特別控除」
- 国税庁 タックスアンサー「No.2506 源泉所得税及び復興特別所得税を納め過ぎたとき」
- 国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税(源泉徴収関係)Q&A」(令和8年5月)
※ このブログは2026年11月2日時点で公表されている内容に基づいています。計算例の金額は説明のための仮の数字です。

執筆者
株式会社永光 代表取締役 高橋 龍一
婚礼の現場とフリーのウエディングプランナーを経て、2018年からウエディングプランナーの業務委託サービス「プラスワン・プランナー」を運営しています。
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