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業務委託の「振込額」と「手取り」の違い

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このブログの概要|読了目安:約8分

弊社は2025年10月18日のブログ「業務「委託」と「丸投げ」の違い」で、業務委託という契約の考え方を書きました。このブログでは、その業務委託で受け取った報酬が、口座に入ってからどうなるのかを書きます。

会社員として働いたことのある方なら、給与明細の「額面」と「手取り」の違いはご存じだと思います。額面から税金や社会保険料が引かれて、残った手取りが口座に振り込まれます。

では、業務委託の報酬で振り込まれた額も、そのまま使える手取りなのでしょうか。

答えは、違います。業務委託の報酬は、税金が引かれないまま振り込まれます。ですが、税金を納める義務がなくなったわけではなく、翌年に自分で計算して納めることになります。なので、振り込まれた額の一部は使わずに残しておき、確定申告が要るかどうかは、受け取った額ではなく経費を引いた「所得」で確かめることをおすすめします。

副業でフリープランナーを始めた最初の1年に、振り込まれた報酬をそのまま生活費に使ってしまうと、翌年になって納税額を知って慌てることになります。このブログでは、国税庁が公表している内容に沿って、そうならないための考え方と、始めたときにやることをお伝えします。

■ このブログでわかること

  • 業務委託の報酬が、給与と違って税金を引かれずに振り込まれる理由
  • ウエディングプランナーの業務委託が、源泉徴収の対象になるかどうか
  • 確定申告の「20万円」を、報酬ではなく所得で判断する考え方
  • 始めたばかりのフリープランナーが最初にやる4つのこと

業務委託の報酬は税金が引かれずに振り込まれる

業務委託の報酬は、契約した金額がそのまま口座に振り込まれます。給与のように、税金が先に引かれないからです。

給与の場合は、額面の金額から次の3つが引かれて、残った金額が手取りとして振り込まれます。

  • 所得税
  • 住民税
  • 社会保険料

この「引く」作業をしているのは、勤務先の会社です。会社が従業員に代わって税金を差し引き、国に納めています。この仕組みを源泉徴収といいます。業務委託の報酬には、この工程がありません。

そう聞くと、得をしたように感じるかもしれません。ですが、引かれていないだけで、税金を払う義務がなくなったわけではないんですね。差し引かれなかった分は、翌年に自分で計算して納めます。

たとえば10万円の報酬が入っても、10万円をそのまま使えるわけではありません。この感覚のまま1年を過ごしてしまうと、翌年の納税でつまずきます。

ウエディングプランナーの業務委託は源泉徴収の対象外

ウエディングプランナーとしての業務委託は、原則として源泉徴収の対象になりません。業務委託の報酬でも10.21パーセントが引かれる仕事はありますが、引かれるかどうかは仕事の種類で決まるからです。

国税庁のタックスアンサー「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」は、源泉徴収の対象となる報酬や料金を、次の8つに区分して示しています。

区分
1 原稿料や講演料など
2 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定資格者への報酬・料金
3 医療情報基盤・診療報酬審査支払機構が支払う診療報酬
4 プロ野球選手、プロサッカー選手、プロテニス選手、モデル、外交員への報酬・料金
5 映画、演劇、芸能、テレビ出演等の報酬・料金
6 バンケットホステス、コンパニオン、ホステス等への報酬・料金
7 契約金(プロ野球選手の契約金など)
8 広告宣伝用賞金や競馬の賞金

ウエディングプランナーとしての業務委託は、この8つのどれにも当てはまりません。なので、契約した金額がそのまま振り込まれます。

ただし、同じ人が受ける仕事でも、中身によって扱いが変わります。たとえば、施設からセミナー講師として招かれたときの謝礼は、1番の「講演料」に当たります。原稿を書く仕事を請けたときも、同じく1番に当たります。

なので、契約を結ぶ前に「この報酬は源泉徴収の対象になりますか」と確かめておくと安心です。そうしておけば、入金額の見込みが後からずれることはありません。

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確定申告の20万円は報酬ではなく所得で判断する

「20万円までは申告しなくてよい」という言い方は、正確ではありません。判定に使うのは、受け取った報酬の額ではなく「所得」だからです。

国税庁のタックスアンサー「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」は、確定申告が必要な人の条件として、次のように書いています。

各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人

所得とは、受け取った報酬から必要経費を差し引いた後の金額です。たとえば、受け取った報酬が30万円でも、交通費や資料代などの必要経費が12万円かかっていれば、所得は18万円です。この場合は、20万円を超えていません。

逆に、経費がほとんどかからない仕事を25万円分受けたときは、所得はほぼ25万円のまま残ります。こちらは20万円を超えることになります。

受け取った報酬と所得(万円) 30万円 例1の報酬 12万円 例1の経費 18万円 例1の所得 25万円 例2の所得(ほぼ) 20万円 申告の基準 例1は報酬30万円・経費12万円、例2は経費がほとんどかからない25万円の仕事。判定に使うのは所得
受け取った報酬と所得(万円)例1の報酬30万円例1の経費12万円例1の所得18万円例2の所得(ほぼ)25万円申告の基準20万円例1は報酬30万円・経費12万円、例2は経費がほとんどかからない25万円の仕事。判定に使うのは所得
図1 受け取った報酬と、判定に使う所得

つまり、受け取った額と、経費を差し引いた後の額を取り違えると、本来必要だった申告をしそびれることになります。

150万円以下という条件もある

同じ「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」には、次の定めもあります。

給与の収入金額の合計額から、所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、さらに各種の所得金額の合計額が20万円以下の人は、申告は不要です。

このように、条件は一つではありません。次のことによっても、結論は変わります。

  • 給与がいくらあるのか
  • 扶養している家族がいるのか
  • 医療費控除や住宅ローン控除を使うのか

なので、ご自身がどの条件に当てはまるかは、国税庁のページを読むか、お住まいの地域を管轄する税務署に確かめてください。誰かに「20万円以下なら大丈夫」と言われた、というだけでは根拠になりません。

なお、所得税の確定申告と住民税は、別々の制度です。所得税の申告が要らない場合に住民税をどう扱うかは、自治体によって案内が違いますので、こちらもお住まいの自治体に確かめてください。

経費の記録は最初の1件から始める

業務委託では、仕事で使った費用を自分で負担します。そのかわり、その費用は経費として計上できます。経費が増えれば、その分だけ所得が減り、納める税額も変わります。

給与をもらって働いていたときは、仕事で使った交通費は会社が負担し、備品も会社のものを使っていたはずです。なので、自分で費用を管理する必要はありませんでした。業務委託では、これを自分で用意します。経費になり得るものには、たとえば次のようなものがあります。

  • 打合せに向かうための交通費
  • 資料の印刷代
  • 業務用に契約している通信費の一部
  • 仕事のために購入した書籍など

困るのは、記録を残していないときです。記録を残していないと、始めてから半年ほど経った頃に、領収書を捨ててしまっていたと気づくことになります。

そうならないために、最初の1件を受けた時点で、レシートをまとめて入れておく封筒を1つ用意しておいてください。スマートフォンで撮影して保存しておくだけでも十分です。手間はほとんどかかりませんが、後から1年分をさかのぼって復元しようとすると、はるかに大変な作業になります。

なお、何が経費として認められるかは、その支出が仕事とどう関係しているかを説明できるかどうかで決まります。判断に迷うものは、税務署か税理士に確かめるのが確実です。

発注する婚礼施設が先に示したい4点

発注する婚礼施設の側は、報酬の金額、支払日、交通費の扱い、源泉徴収の有無の4点を、最初に書面で示しておくことをおすすめします。こうした金銭面の確認は、受注する側からは切り出しにくいからです。

業務委託で人に来てもらうということは、その方が自分で経費を負担し、自分で納税する立場で働くということです。給与を支払って雇用する場合とは、お金の流れそのものが違います。それなのに金額だけを伝え、源泉徴収の有無や交通費の扱いを曖昧にしたまま進めてしまうと、後になって認識の食い違いが表に出ます。

示しておきたいのは、次の4点です。

  • 報酬の金額
  • 支払日
  • 交通費が別途支給なのか報酬に含まれるのか
  • 源泉徴収を行うかどうか

これらを最初に書面で伝えておけば、金銭面での行き違いはほとんど起こりません。

この4点のうち、受注する側から最も切り出しにくいのが源泉徴収の有無です。報酬額や支払日は契約書に書かれていることが多いのに対し、源泉徴収の扱いは書面に明示されないことがあります。書かれていなければ、入金があるまで分かりません。だからこそ、発注する側から先に示しておけば、この確認は要らなくなります。

始めたばかりのときにやることは4つ

ここまで税金や経費の話をしてきましたが、始めたばかりの段階でやることは、それほど多くありません。次の4つで足ります。

  1. 契約を結ぶときに、源泉徴収の有無を確認しておきます
  2. レシートを1か所にまとめる習慣をつけます
  3. 報酬が振り込まれたら、一部は使わずに残しておきます
  4. 年末が近づいたら、その年の報酬と経費を集計し、自分が申告の対象になるかを確認します

4番の段階で判断がつかないときは、税務署に問い合わせれば教えてもらえます。相談に費用はかかりません。判断に迷ったときの相談先は、ほかにも次のようなところがあります。

  • 税務署
  • 各地の税理士会が開いている無料の相談会
  • 確定申告の時期に設けられる臨時の相談窓口

フリープランナーとしての働き方そのものについては、2026年3月6日のブログ「ウエディングを「一生の仕事」に!」もあわせてご覧ください。

まとめ

このブログでは、業務委託の報酬が給与とどう違うのかを、国税庁が公表している内容に沿って書きました。業務委託の報酬は、税金が引かれずに振り込まれます。ですが、税金を納める義務は残り、翌年に自分で計算して納めることになります。

そして、確定申告が要るかどうかは、受け取った額ではなく、経費を差し引いた所得で判断します。なので、最初の1件からレシートを残し、振り込まれた額の一部は使わずに残しておいてください。発注する婚礼施設の側は、報酬の金額、支払日、交通費の扱い、源泉徴収の有無の4点を最初に書面で示しておくと、金銭面での行き違いを防げます。

■ このブログの要点

  • 業務委託の報酬には源泉徴収の工程がなく、契約した金額がそのまま振り込まれます
  • ウエディングプランナーとしての業務委託は、源泉徴収の対象となる8つの区分のいずれにも当てはまりません
  • 確定申告の判定に使うのは受け取った額ではなく、経費を差し引いた後の額です
  • 自分で負担した費用は経費として計上でき、経費が増えればその分だけ所得が減ります
  • 施設の側は、報酬の金額、支払日、交通費の扱い、源泉徴収の有無の4点を最初に書面で示しておくと、金銭面での行き違いはほとんど起こりません
前提
業務委託の報酬は源泉徴収されずに満額が振り込まれますが、税金を納める義務はなくならず、翌年に自分で計算して納めます。
使うとき
業務委託の契約を結ぶとき、報酬が振り込まれたとき、年末が近づいて自分が確定申告の対象になるかを確かめるときに使います。発注する婚礼施設が条件を示すときにも使えます。
主な指標
確定申告の判定は、受け取った報酬ではなく所得(報酬-必要経費)で行い、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円を超えると申告が必要です。
注意点
講演料や原稿料は源泉徴収の対象になるので、契約前に確かめます。給与の額や控除によって結論が変わり、住民税は所得税とは別の制度なので、税務署や自治体に確かめます。
次に読む
フリープランナーの単価と実質時給
業務委託の支払期日〜報酬はいつ確定し、いつ入るか

☑ 次にすること

  • 契約を結ぶときに、源泉徴収の有無を確認する
  • レシートを1か所にまとめる習慣をつける
  • 報酬が振り込まれたら、一部は使わずに残しておく
  • 年末が近づいたら、その年の報酬と経費を集計し、申告の対象になるかを確認する

振り込まれた額は、そのまま使える手取りではありません。この一点さえ意識しておけば、翌年になって慌てることはなくなります。

用語解説

用語 意味
源泉徴収 報酬や給与を支払う側が、あらかじめ所得税を差し引いて国に納める仕組みです
所得 受け取った収入から、必要経費を差し引いた後の金額です
必要経費 その収入を得るために直接かかった費用です
確定申告 1年間の所得と税額を自分で計算し、税務署に申告する手続きです
所得控除 扶養や医療費など個人の事情に応じて、所得から差し引ける金額です
業務委託 雇用契約ではなく、仕事の成果や遂行に対して報酬を受け取る契約形態です
出典一覧(2件)

このブログは2026年9月17日時点で公表されている内容に基づいています。制度は改正されることがありますので、実際に判断される際には、最新の情報とあわせて、個別の事情に応じた専門家への確認をお願いいたします。

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株式会社永光 代表取締役 高橋龍一

執筆者

株式会社永光 代表取締役 高橋 龍一

婚礼の現場とフリーのウエディングプランナーを経て、2018年からウエディングプランナーの業務委託サービス「プラスワン・プランナー」を運営しています。

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