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インボイス登録と婚礼施設の消費税

この記事の概要|読了目安:約19分

2026年9月30日で、免税事業者からの仕入れについて8割を控除できる経過措置の期間が終わります。10月1日からの控除割合は7割です。フリープランナーのインボイス登録を考えるとき、この日付から先は前提が変わりますので、これまで聞いていた説明がそのままは当てはまりません。

登録するかどうかを決める材料は、自分の売上高ではありません。報酬を支払う側が消費税をどの方法で計算しているかです。婚礼施設が売上先である場合、その方法はかなり絞り込めます。

■ この記事でわかること

  • 2026年10月1日から、免税事業者からの仕入れの控除割合は8割から7割に下がる
  • インボイスが必要かどうかは、自分の売上高ではなく売上先の消費税の計算方法で決まる
  • 登録した場合の納付税額は、2割特例・3割特例・簡易課税と年によって変わる
  • 経過措置で登録すると、登録日以後2年を経過する日の属する課税期間までは免税事業者に戻れない

10月1日からの7割控除

免税事業者からの課税仕入れについて一定割合を控除できる経過措置は、令和8年度税制改正で二つの点が変わりました。国税庁が公表している「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」(令和8年4月)は、適用期限を2年間延長したうえで、控除可能割合を7割・5割・3割の三段階に見直したと説明しています。

改正前と改正後を並べると、変わり方の性質が分かります。控除が終わる時期は後ろにずれましたが、当面の割合は下がります。

期間 改正前 改正後
令和5年10月〜令和8年9月 8割 8割
令和8年10月〜令和10年9月 5割 7割
令和10年10月〜令和11年9月 5割 5割
令和11年10月〜令和12年9月 控除不可 5割
令和12年10月〜令和13年9月 控除不可 3割
令和13年10月以降 控除不可 控除不可

令和8年10月1日は、西暦では2026年10月1日にあたります。つまり、この記事を読んでいる時点の直後に切り替わります。改正前の予定では10月から5割に落ちるところでしたので、改正によって落ち方は緩やかになりました。しかし、8割が続くわけではありませんので、免税事業者に支払う側の負担は確実に増えます。

負担が増えるのは支払う側であって、報酬を受け取るプランナーの口座に入る金額が自動的に減るわけではありません。ここを混同すると、施設から相談を受けたときに話がかみ合わなくなります。増えるのは施設が納める消費税であり、報酬額そのものは契約で決まっているからです。

✔ ここがポイント

  • 令和8年10月1日(2026年10月1日)から、控除割合は8割から7割に下がる
  • 改正前の予定(10月から5割)より落ち方は緩やかになったが、支払う側の負担は増える
  • 増えるのは施設が納める消費税であり、報酬額そのものは契約で決まっている

1億円という新しい上限

控除割合と同時に、控除できる金額の上限も変わりました。国税庁の「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」は、一の適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れの額の合計額が、その年またはその事業年度で1億円を超える場合には、その超えた部分について経過措置を適用しないと定めたと説明しています。改正前の上限は10億円でした。

「一の」という書き方は、取引先ごとに判定するという意味です。免税事業者への発注額を全部合計して判定するのではなく、相手ごとに1億円で区切ります。個人のフリープランナー1人への年間の発注額が1億円に達する場面は考えにくいため、プランナーを業務委託で手配している婚礼施設にとって、この上限が直接効いてくる可能性は高くありません。

ただし、上限の適用開始は控除割合の切替と時期がずれます。国税庁は、控除限度額の見直しは令和8年10月1日以後に開始する課税期間から適用されると注記しています。個人事業者の課税期間は暦年ですので、上限が効き始めるのは令和9年分からです。12月決算の法人であれば、令和9年1月から始まる事業年度が最初になります。

インボイス登録の要否

登録するかどうかは、法律で強制されている事柄ではありません。国税庁が公表している「免税事業者の皆様へ」(令和4年2月、令和8年4月改訂)は、登録を受けるかどうかは事業者の任意ですと明記しています。そのうえで、判断の材料を売上先の側に置いています。

財務省・公正取引委員会・経済産業省・中小企業庁・国土交通省の連名による「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」(令和4年1月19日公表、令和8年1月30日改正)のQ2は、免税事業者であり続けたとしても、売上先が消費者または免税事業者である場合と、売上先が簡易課税制度を適用している場合には、取引への影響は生じないと考えられると述べています。理由も示されていて、消費者や免税事業者は仕入税額控除を行わないため、簡易課税を選んでいる事業者はインボイスを保存しなくても仕入税額控除ができるためです。

国税庁の「免税事業者の皆様へ」は、これを一文にまとめています。消費者や免税事業者、簡易課税制度または2割特例・3割特例の適用により申告する課税事業者である売上先は、インボイスを必要としません、という書き方です。裏を返せば、それ以外の課税事業者が売上先である場合には、こちらが交付するインボイスが必要になります。

売上先の区分 インボイスの要否
消費者 不要
免税事業者 不要
簡易課税制度で申告する課税事業者 不要
2割特例・3割特例で申告する課税事業者 不要
上記以外の課税事業者 必要

この表の読み方には注意が必要です。判定の対象は業界でも職種でもなく、請求書の宛先になっている事業者1社ずつです。複数の会場と取引しているフリープランナーであれば、会場ごとに答えが違うこともあり得ます。

✔ ここがポイント

  • 登録するかどうかは事業者の任意
  • 売上先が消費者・免税事業者・簡易課税や2割特例・3割特例で申告する課税事業者であれば、インボイスは不要
  • 判定は請求書の宛先の事業者1社ずつで、会場ごとに答えが違うこともある

婚礼施設という売上先

では、婚礼施設はこの表のどこに入るのでしょうか。簡易課税制度を使える事業者は、国税庁タックスアンサーNo.6509「簡易課税制度の事業区分」および前掲のQ&Aの参考①によれば、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者に限られます。2割特例と3割特例についても、国税庁の「免税事業者の皆様へ」は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下など一定の事業者が対象であると注記しています。

婚礼施設の年間の課税売上高が5,000万円を超えるかどうかは、1施行あたりの請負金額と年間の施行件数を掛け合わせれば見当がつきます。1施行あたり200万円であれば、年25件で5,000万円に届きます。年間の土日は100日を超えますので、1日1件でも25件を大きく上回ります。会場を運営して婚礼を請け負っている事業者が5,000万円以下にとどまる場面は、そう多くないと考えられます。

したがって、婚礼施設が売上先である場合、Q&Aが挙げる「取引への影響は生じない」類型に当てはまる可能性は高くありません。公正取引委員会ほかのQ&Aは、非課税売上げに対応する仕入れについても仕入税額控除ができないため、医療や介護のように消費税が非課税とされるサービスを提供している事業者が相手であれば影響は生じないとも述べていますが、婚礼の役務提供は非課税取引ではありませんので、この例外にも入りません。

もっとも、可能性の話で終わらせずに確かめる方法があります。国税庁適格請求書発行事業者公表サイトを使えば、取引先が適格請求書発行事業者として登録されているかどうかは調べられます。ただし、そこで分かるのは登録の有無だけであり、本則課税か簡易課税かまでは分かりません。計算方法を知りたければ、発注担当者に尋ねるほかありません。参考までに、公正取引委員会ほかのQ&Aの参考①は、課税事業者の約3割が簡易課税制度の適用を受けていると記しています。つまり、尋ねる価値のある質問です。

✔ ここがポイント

  • 簡易課税を使えるのは基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者に限られる
  • 婚礼の役務提供は非課税取引ではないため、非課税の例外にも入らない
  • 公表サイトで分かるのは登録の有無だけで、計算方法は発注担当者に尋ねる

登録しない場合の負担

10月1日の切替で何がどれだけ動くのかを、具体的な金額で置いてみます。ここから先の金額は、説明のために置いた計算例であり、相場を示す数字ではありません。

税込22万円の報酬を免税事業者のプランナーに支払う場合、そのうち消費税相当額は2万円です。施設がこの2万円をどこまで控除できるかが、経過措置の割合で決まります。

時期 控除割合 控除できる額 施設に残る負担
令和8年9月まで 8割 16,000円 4,000円
令和8年10月から 7割 14,000円 6,000円

1件あたりの差は2,000円です。金額としては小さく見えますが、これは1施行あたりの数字ですので、年間の施行数を掛けた分だけ施設の納税額が増えます。しかも、2年後には5割、その2年後には3割と段階的に下がりますので、同じ報酬額を払い続ける限り、負担は決まった歩幅で増えていきます。

この負担は、施設から見れば「免税事業者に発注していることの費用」として毎年はっきり数字に出ます。だからこそ、経理が決算のときにこの金額を集計する会場では、翌年の発注方針の議題に上がりやすくなります。登録していないプランナーが今すぐ切られるという意味ではありませんが、話題になる時期が近づいているとは言えます。

2割特例から3割特例へ

登録した場合に自分が納める額も、同じ時期に変わります。国税庁の「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」は、現行の2割特例は令和8年9月30日までの日の属する課税期間で終了すると注記しています。個人事業者の課税期間は暦年ですので、2割特例が使えるのは令和8年分の確定申告までです。

その後を引き継ぐのが3割特例です。国税庁は、個人事業者である適格請求書発行事業者の令和9年分および令和10年分の消費税申告について、課税標準額に対する消費税額に7割を乗じた額を控除できることとし、納付税額をその3割とすることができることとしたと説明しています。適用には三つの条件があります。

  • 対象は個人事業者に限られること
  • 2割特例と同様に、免税事業者が適格請求書発行事業者となったことなどにより事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる課税期間に限られること
  • 確定申告書にその旨を付記する必要があること

法人として活動しているプランナーは、3割特例を使えません。

先ほどの税込22万円の例で、売上げに係る消費税額2万円に対する納付税額を並べると、計算方法によって差が出ます。

計算方法 納付税額の考え方 納付税額
2割特例(令和8年分まで) 売上税額の2割 4,000円
3割特例(令和9年・10年分) 売上税額の3割 6,000円
簡易課税(サービス業の場合) 売上税額の5割 1万円
本則課税 売上税額から仕入税額を引く 実額による

ここで二つの表を見比べると、判断の材料がもう一つ出てきます。同じ報酬額で比べた場合、令和8年10月以降に施設側へ残る負担は6,000円であり、令和8年分の2割特例による納付税額4,000円より大きくなります。つまり、この時期に限れば、プランナーが登録して納税したほうが、取引全体で消費税として失われる金額は小さくなります。ところが、簡易課税に移ったあとの納付税額は1万円ですので、関係は逆転します。

言い換えれば、「登録したほうが得か」という問いの答えは、年によって変わります。今年の条件だけを見て結論を出すと、3年後に見直すことになります。

✔ ここがポイント

  • 2割特例は令和8年分まで、3割特例は令和9年分・令和10年分(個人事業者のみ)
  • 22万円の例では、令和8年分は登録して納税したほうが取引全体で失われる金額は小さい
  • 簡易課税に移ったあとは関係が逆転するため、今年の条件だけで結論を出さない

簡易課税とみなし仕入率

2割特例と3割特例は、どちらも期限のある措置です。そのため、登録を続けるのであれば、令和11年分以降の計算方法を先に決めておく必要があります。選択肢は本則課税と簡易課税の二つです。

簡易課税は、売上げに係る消費税額にみなし仕入率を掛けて仕入税額を計算する方法です。国税庁タックスアンサーNo.6509「簡易課税制度の事業区分」は、第五種事業として運輸通信業、金融・保険業、サービス業を挙げ、そのみなし仕入率を50%と定めています。どの区分にあたるかは実際の事業の内容で判定されますので、自分の業務がどこに入るかは税務署または税理士に確認してください。サービス業に区分される場合には、納付税額は売上げに係る消費税額の5割になります。

簡易課税を選ぶには、基準期間の課税売上高が5,000万円以下であることに加えて、届出が必要です。この届出の期限について、令和8年度税制改正で例外が加わりました。国税庁は、2割特例や3割特例の適用を受けた適格請求書発行事業者が、その適用を受けた課税期間の翌課税期間に係る確定申告期限までに簡易課税制度選択届出書を提出したときは、その翌課税期間から簡易課税制度を適用することができることとされたと説明しています。この見直しは、翌課税期間が令和8年10月1日以後に終了する課税期間である場合に適用されます。

国税庁が示している例に沿えば、3割特例を令和10年分まで使った個人事業者が令和11年分から簡易課税で申告したい場合、令和11年分の消費税の確定申告期限である令和12年4月1日までに簡易課税制度選択届出書を提出すれば間に合います。事前に届け出なくてよいという点で、従来より判断を先送りできる仕組みです。

簡易課税と2割特例・3割特例には、事務の面で共通する利点があります。公正取引委員会ほかのQ&AのQ4が述べているとおり、いずれも仕入れの際にインボイスを受け取って保存する必要がありません。プランナーの業務では、会場への交通費や資料の印刷代など、細かい支払いが積み上がります。それらのインボイスを一枚ずつ保存する作業が要らないことは、実務上の負担の差として小さくありません。

✔ ここがポイント

  • 令和11年分以降は、本則課税か簡易課税かを選ぶ
  • サービス業に区分される場合、簡易課税の納付税額は売上げに係る消費税額の5割
  • 2割特例・3割特例を使った人は、翌課税期間の確定申告期限までの届出で簡易課税に移れる

登録の効力と2年の縛り

登録の時期については、経過措置が用意されています。国税庁の「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」の問7は、免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合、登録申請書に登録希望日を記載することで、その日から課税事業者となると説明しています。登録希望日は、提出日から15日以降の日で自分が希望する日を書きます。消費税課税事業者選択届出書を別に出す必要はありません。

年の途中から登録した場合の申告範囲も決まっています。同じQ&Aの問8は、個人事業者が年の中途に登録を受けた場合、登録日から12月31日までの期間に行った課税資産の譲渡等について、その年分の消費税の申告が必要になると述べています。

そして、この記事で最も注意していただきたいのが、やめるときの扱いです。国税庁のQ&Aの問13は、登録取消届出書を提出することで登録の効力を失わせることができるとしたうえで、原則として提出があった日の属する課税期間の翌課税期間の初日に効力が失われると定めています。ただし、翌課税期間の初日から起算して15日前の日を過ぎて提出した場合には、効力が失われるのは翌々課税期間の初日になります。個人事業者であれば、12月中旬を過ぎると1年先へずれるという意味です。

さらに、この経過措置によって登録を受けた場合には、登録を取りやめたとしても、登録日以後2年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間については免税事業者となることができません。国税庁の「免税事業者の皆様へ」も同じ内容を記しています。したがって、「とりあえず1年だけ登録して様子を見る」という進め方はできません。登録は、最低でも2年を見込んだうえで決める事柄です。

! 登録後2年は免税事業者に戻れない

  • 経過措置で登録した場合、取りやめても登録日以後2年を経過する日の属する課税期間までは免税事業者に戻れない
  • 登録取消届出書は、翌課税期間の初日から起算して15日前の日を過ぎて出すと、効力が失われるのは翌々課税期間の初日になる
  • 個人事業者は、12月中旬を過ぎると1年先へずれる

報酬の据置きと引下げ

10月1日に控除割合が下がることを理由に、施設側から報酬の見直しを相談される場面が出てくると考えられます。このとき、どこまでが正常な交渉で、どこからが問題になるのかは、公正取引委員会ほかのQ&AのQ7が具体的に示しています。

引下げの要請そのものが違法になるわけではありません。Q7は、取引価格の再交渉において、仕入税額控除が制限される分について、免税事業者の仕入れや諸経費の支払いに係る消費税の支払いをも考慮した上で、双方納得の上で取引価格を設定すれば、結果的に取引価格が引き下げられたとしても、独占禁止法上問題となるものではないと述べています。問題になるのはその先です。再交渉が形式的なものにすぎず、買手の都合のみで著しく低い価格を設定し、免税事業者が仕入れ時に支払っていた消費税額も払えないような価格を設定した場合には、優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となるとされています。

見落とされやすいのは、据え置く場合にも注意が要るという点です。Q7は、買手の要請に応じて仕入先が免税事業者から課税事業者となった場合について、新たに納税が必要となる消費税分を、仕入先と明示的に協議することなく取引価格を据え置くことは優越的地位の濫用または取適法上の買いたたきとして、協議の要請に応じず一方的に据え置くことは取適法上の協議に応じない一方的な代金決定として、それぞれ問題となるおそれがあると述べています。登録を求めておいて金額をそのままにする対応は、据え置いているだけだから何もしていないとは見なされません。

登録を求めること自体についても線が引かれています。Q7は、課税事業者になるよう要請すること自体は独占禁止法上問題とならないとしたうえで、課税事業者にならなければ取引価格を引き下げるとか、それにも応じなければ取引を打ち切ることにするなどと一方的に通告することは、独占禁止法上または取適法上問題となるおそれがあるとしています。引き下げる理由を書面や電子メールで回答しないまま引き下げる場合が、その例として挙げられています。

プランナーの側にできる備えは、金額の根拠を先に持っておくことです。報酬が税込なのか税別なのかを契約書と請求書で一致させておけば、見直しの相談を受けたときに何について話しているのかが定まります。提示された金額を拘束時間で割り直す手順は、フリープランナーの単価と実質時給で示しました。協議に臨むなら、消費税の話と単価の話を分けて持っていくほうが話が進みます。

! 報酬見直しで問題になり得る対応

  • 再交渉が形式的なものにすぎず、買手の都合のみで著しく低い価格を設定すること
  • 課税事業者になった仕入先と明示的に協議せずに取引価格を据え置くこと
  • 課税事業者にならなければ取引価格を引き下げる、取引を打ち切るなどと一方的に通告すること

年内に確かめる3点

ここまでの内容を、10月1日を挟んで実際に手を動かす順番に並べ直します。

まず、売上先ごとに消費税の計算方法を確かめてください。公正取引委員会ほかのQ&Aと国税庁の「免税事業者の皆様へ」が示しているとおり、インボイスが必要かどうかは売上先の申告方法で決まります。複数の会場と取引しているのであれば、会場ごとに聞く必要があります。

次に、契約書と請求書で消費税の扱いをそろえてください。報酬が税込なのか税別なのかが書面で食い違っていると、10月以降の交渉でも、確定申告のときの集計でも、同じところでつまずきます。なお、報酬から差し引かれる源泉所得税は所得税の話であり、ここで扱った消費税とは別の制度です。振り込まれた金額と手元に残る金額の関係については、業務委託の「振込額」と「手取り」の違いで扱いました。

最後に、登録するのであれば時期を決めてください。登録希望日は提出日から15日以降の日を書くことになりますので、令和9年1月1日から登録を受けたいのであれば、前年12月の中旬までに登録申請書を提出することになります。逆に、いま登録していて取りやめたいのであれば、期限は同じく12月中旬です。どちらの向きでも、12月に入ってから考え始めると1年ずれます。

☑ 年内に確かめる3点

  • 売上先ごとに、消費税の計算方法(本則課税か簡易課税か、2割特例・3割特例か)を確かめた
  • 契約書と請求書で、報酬が税込か税別かの扱いをそろえた
  • 登録する・取りやめるなら、12月中旬までの提出期限を把握した

制度が動く時期に決めるべきことは、登録するかどうかそのものよりも、決めるための材料をそろえることです。売上先の計算方法、書面の記載、手続の期限という三つが分かっていれば、答えは自然に絞られます。

用語解説

用語 意味
適格請求書発行事業者 インボイスを交付できる事業者として税務署長の登録を受けた課税事業者。登録番号が付される
仕入税額控除 売上げに係る消費税額から、仕入れや経費に係る消費税額を差し引いて納付税額を計算すること
免税事業者 基準期間の課税売上高が1,000万円以下などの理由により、消費税の納税義務が免除される事業者
基準期間 個人事業者であれば前々年、法人であれば前々事業年度を指す
売上先 自分が商品や役務を提供する相手方。フリープランナーにとっては報酬を支払う婚礼施設にあたる
本則課税 売上げに係る消費税額から、実際の仕入れに係る消費税額を差し引いて計算する原則的な方法
簡易課税制度 基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者が届出により選べる、みなし仕入率で計算する方法
みなし仕入率 簡易課税で使う業種ごとの割合。サービス業などの第五種事業は50%
2割特例 登録により免税事業者から課税事業者となった事業者が、納付税額を売上税額の2割にできる措置
3割特例 令和9年分・令和10年分について、個人事業者が納付税額を売上税額の3割にできる措置
登録希望日 免税事業者が課税期間の途中から登録を受ける場合に登録申請書へ記載する、提出日から15日以降の日
取適法 2026年1月1日に施行された、製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の通称

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