フリーウエディングプランナーの成功

さて唐突ですが、フリーウエディングプランナーには、どんな資質が求められるのでしょうか?
今回は、組織心理学者アダム・グラント氏の著書『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』に基づくインタビュー記事から、そのヒントを紐解いていきます!
グラント氏は、人の行動スタイルを次の3タイプに分類し、それぞれの成功パターンを分析しています。
- 「ギバー(与える人)」
- 「マッチャー(与えられたら与える人)」
- 「テイカー(奪う人)」
本ブログでは、この観点から、ウエディングプランナーとしての成功戦略を見ていきましょう。
なぜ「与える人」がトップに立てるのか?
アダム・グラント氏の研究では、「ギバー(与える人)」が成功者のトップ層に多く存在することがわかっています。一般に「人にばかり与えていたら損をする」と思われがちですが、そうではないことが研究結果からわかっています。
インタビューの中では、次のようなやりとりが紹介されています。
インタビュアー:お話を伺っていると、工学や医学などの分野では、ギバーが最下層に沈むという研究結果も納得できる気がします。他人に多くを与え、見返りを求めないのであれば、当然ながら損をしてしまう。けれども、では最上層にいるのは誰なのでしょう?
その理由とは?
グラント氏:この疑問にこそ、私が研究にのめり込んだきっかけがありました。様々な業界や国を調べても、どこにも3つのタイプが存在しています。
そして、確かにギバーは最下層に多い。人のために尽くすあまり、燃え尽きたり、テイカーに利用されたりすることが多いからです。でも、データを見ると意外なことに、最上層にもまたギバーが多くいるのです。
つまり、成功の両極にギバーが集中しているのです。売上などの成果指標を見ても、最も顧客志向の強いセールスパーソンが最も高い実績を出していたという事例があるように、信頼や評判といった無形資産が長期的な成功につながるのです。
要点
- ギバーは最下層にも最上層にも多い
- 短期的には燃え尽きや搾取のリスクがある
- しかし、信頼と評判が長期的な成功の鍵となる
フリーウエディングプランナーへの応用
ウエディングプランナーとして、お客様の希望に心から耳を傾け、時に自己の利益よりも新郎新婦の満足を優先して行動する──そんな「ギバー型」の姿勢こそが、深い信頼と満足度を生みます。その姿勢がやがて口コミや紹介を通じて、長期的に選ばれる存在になるのです。単なる「結婚式をプロデュースする人」ではなく、「夢を叶えるパートナー」として徹することで、評価は自然と高まり、仕事の幅も広がっていくということです。
信頼を築くギバー流ネットワーキング
またフリーウエディングプランナーにとっては、次のような相手とのネットワークは極めて重要です。
- 式場
- フローリスト
- フォトグラファー
- 衣裳店など
では、成功するギバーはどのように人脈を築いているのでしょうか?
グラント氏:ギバーが誰か新しい人に出会ったとき、まず考えるのは「この人の人生に、私はどんな価値を加えられるか?」ということです。結果として彼らは、善意に満ちた信頼関係を数多く築きます。それらの善意は、普段は表には出ませんが、いざというときに驚くほど大きな力を発揮するのです。
要点
- ギバーはまず相手に価値を提供することを考える
- 見返りを求めず、信頼を積み重ねる
- その結果、強固で良好な関係が築かれる
フリーウエディングプランナーへの応用
たとえば、急なトラブル時に迅速に動いてくれる式場スタッフや、急ぎの案件にも柔軟に対応してくれるパートナー企業の存在などです。それらの支えは、日頃から築いてきた信頼関係によって生まれます。
「私はあなたにどんな価値を提供できるか?」という姿勢でパートナーと接することで、信頼のネットワークはさらに強固になり、プランナーであるあなた自身の価値も高まるのです。
見せかけのギバーを見抜く力
ですが、なかには、一見すると親切そうに振る舞いながら、実は自分の利益ばかりを考えている「テイカー」が紛れていることもあります。
グラント氏:テイカーは、目上の人や影響力のある人に対しては印象操作が上手ですが、すべての相手にその仮面をかぶり続けることはできません。結果として、本性は同僚や部下など、立場が下の人にはっきりと表れます。
要点
- テイカーは「上にはへつらい、下には強く出る」傾向
- 本当の性格は、弱い立場の人への接し方に出る
- 行動の裏側にある動機を見極める目を養うことが大切
フリーウエディングプランナーへの応用
一緒に仕事をする他社プランナーや業者の態度を見極める際、その人が次のような人々にどう接しているかに注目してみてください。
- アルバイトスタッフ
- 後輩
- 裏方の人々
表面の丁寧さよりも、行動ににじみ出る“本音”を見抜くことが、信頼できる関係性の構築につながります。
燃え尽きを防ぐ「他者志向(Otherish)」という選択
ただ、フリーウエディングプランナーという職業は、情熱と献身が求められる反面、自分を犠牲にしすぎてしまう危険性もあります。グラント氏はこの課題に対して、「自己犠牲型」ではなく「他者志向(otherish)」という新たなあり方を提案しています。
グラント氏:他者志向のギバーは、他人のために尽くすことを大切にしながらも、自分自身の時間やエネルギーも大事にしています。大事なことは、相手にとってプラスでありつつ、自分にも無理がない方法を探すという姿勢です。
要点
- 他者志向は「相手も自分も大切にするギバー」
- 無理をしすぎないことで、長く与え続けられる
- 自己管理とバランス感覚が、ギバーを持続させる鍵となる
フリーウエディングプランナーへの応用
ここまでみてきたように、仕事において相手に全力を尽くすことは大切ですが、すべてに応えようとしすぎると心身が疲弊します。「時間外の対応はしない」「専門外の業務は信頼できる他者に任せる」といった線引きを持つこともプロフェッショナルの責任です。
健全な自己管理のもとでお客様に価値を届けることが、長く愛されるプランナーへの近道ということです。続かない努力は、身を滅ぼすだけだからです。
まとめ
以上見てきたように、アダム・グラント氏の『GIVE & TAKE』は、「与える力」こそが長期的な成功を支える最も強力な資質であることを教えてくれます。
■ このブログの要点
- ギバーは最下層にも最上層にも多いが、信頼と評判が長期的な成功の鍵となる
- ギバーはまず相手に価値を提供することを考え、見返りを求めず信頼を積み重ねる
- テイカーは「上にはへつらい、下には強く出る」傾向があり、本当の性格は弱い立場の人への接し方に出る
- お客様、パートナー、式場の方に真摯に向き合い、誠実な関係を築くことが、信頼され、選ばれ続けるための秘訣
- ただし、自己犠牲になってはいけない。自分の限界や価値を正しく理解し、他者と自分の双方にとって持続可能な形で「与える」ことが、本当の意味でのギバー
☑ 次にすること
- お客様、パートナー、式場の方に真摯に向き合い、相手の立場に立って考え、誠実な関係を築く
- 「私はあなたにどんな価値を提供できるか?」という姿勢でパートナーと接する
- 他社プランナーや業者が、アルバイトスタッフや後輩、裏方の人々にどう接しているかに注目する
- 「時間外の対応はしない」「専門外の業務は信頼できる他者に任せる」といった線引きを持つ
- 関心のある方は、参考文献にもあたる
ウエディングプランナーの方はぜひ本ブログを参考にして仕事をがんばってくださいね!
- 参考文献
- https://knowledge.wharton.upenn.edu/podcast/knowledge-at-wharton-podcast/givers-vs-takers-the-surprising-truth-about-who-gets-ahead/
- アダム・グランド 著,楠木健 監訳(2014)『Give & Take「与える人」こそ成功する時代』三笠書房
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執筆者
株式会社永光 代表取締役 高橋 龍一
婚礼の現場とフリーのウエディングプランナーを経て、2018年からウエディングプランナーの業務委託サービス「プラスワン・プランナー」を運営しています。
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