自己集客型フリープランナーの集客課題

はじめに
ウエディングの仕事の中でも、とりわけ「自己集客フリープランナー」という働き方は、お客さまに近い距離で向き合える魅力があります。
その一方で、集客や仕事の安定化には大きなハードルがあり、想いや実力だけではなかなかうまくいかない場面も多く見られます。
今回のブログでは、フリープランナーという働き方の現実と、これからの可能性について整理します!
新郎新婦とのマッチングサイトの活用
フリープランナーと新郎新婦をつなぐマッチングサービスは過去から今にいたるまでいくつか登場しましたが、抜きんでたサービスや長く続くサービスはあまりないのが実情です。
その背景には、サービスとしての成り立ちにくさや、運営コストに対して十分な収益が見込めないという課題があるからです。
またどのマッチングサイトも、登録プランナーの顔ぶれが似通っていることも多く、サービスとしての差別化も難しくなっているという課題もあります。
アップ数がすべて?見えづらくなっている“違い”
マッチングサイトに登録しているプランナーにおいては、そのサイトでの「事例の数(アップ数)」が、選ばれる理由になりやすい傾向があります。
ただ、事例を増やすには、まずプロデュースの依頼を受ける必要があり、「依頼がないと見せられない → 見せられないと選ばれない → 選ばれないから依頼がない」というような、難しい循環にはまってしまうこともあります。
また事例が少ないと特に、一つのサンプルを使いまわす形になることが多いため、結果同じようなテイストの投稿が多くなり、「誰が何を得意としているのか」が見えにくくなっていることも課題のひとつです。
最初の数件が、その後を左右する
安定してプロデュースの依頼を受けられている人の多くも、はじめのうちはとても苦労しているということも事実です。当然ではありますが、マッチングサイトに載せたからといって、いきなりうまくはいかないということです。
より大事なことは、最初の数件を如何に獲得できるかということです。そこでしっかり実績を積み、その後の紹介や口コミにつなげられるかが、大きなポイントになっています。
その意味でも、この「最初の壁」をどう乗り越えるかが、フリープランナーとして長く続けていくための鍵といえるかもしれません。
紹介の流れがある人は強い
その意味でも実際、SNSやウェブサイトだけで集客するのは、かなり難しいというのも事実です。
次のようなパートナーなどからの紹介がある人は、わりかし集客が安定しやすい傾向にあります。
- 特定のレストラン
- 古巣の式場
- フォトグラファーなど
紹介が紹介を呼ぶ“良いループ”が生まれると、大きく広告費をかけずとも継続的な集客ができるようになるということで、「この固い紹介ルートをいかにつくれるか」ということも、自己集客フリープランナーとして活躍するためのキーポイントとなります。
市場のサイズと、やり方の工夫
なぜこんなにも課題が多いのかというと、自己集客フリープランナーが活躍できるフィールドは、極めてニッチで小さい市場であるからです。
だからこそ、「何を軸にするか」「どこで勝負するか」を見きわめることが求められます。
実際、名の知れた「自己集客フリープランナー」でも、プロデュースではなく、次のような仕事がメインの生計でプロデュースはほとんどやっていないということも多いです。
- セミナー
- 新規支援
- コンサルなど
その意味でも、いくつかの収入の柱を持つことが、とても大事なことといえます。
“選ばれ方”の変化とマーケティングの視点
ただし、知ってもらえたとしても、すぐにプロデュースの依頼につながるとは限りません。
何度か発信に触れてもらったり、実例を見てもらったりしながら、世界観に共感してもらうまでには、一定の時間がかかるものです。
当然のことながら、紹介であってもSNSであっても、「知ってもらったその瞬間に依頼される」ことは少なく、信頼が積み重なるプロセスを前提にした導線づくりが必要になります。
依頼につながるまでには、段階的なステップが存在します。
- SNSの投稿を繰り返し見てから問い合わせに至る
- 実例や写真をきっかけに興味を持ち、その後にプロフィールや想いを読み込む
- 友人からの紹介を受けつつ、自分でも検索しながら情報を集める
- 一度見たあと、時間をおいてから再びページを訪れる
このように、接点から行動までには“時間差”と“積み重ね”があることを前提に、あらかじめ流れを想定した情報設計や発信が必要です。
- どれだけ良い世界観やサービスを持っていても、それが伝わる仕組みがなければ選ばれることはない
- 一方で、共感や信頼が積み重なる流れを丁寧につくることができれば、無理なく「お願いしたい」と思ってもらえるようになる
こうした導線設計を考える上で参考になるのが、次の章で紹介する考え方です。お客さまがどのように出会い、どう気持ちを動かし、なぜ依頼や紹介につながるのか。
次章では、その流れを具体的に整理していきます。
「指名される仕組み」をつくるために 〜マーケティングの視点から見えること〜
これまでお伝えのとおり、ただ見つけてもらうだけでは仕事にはつながりにくく、「この人にお願いしたい」と思ってもらうための導線設計がとても重要になっています。その考え方を整理するために、マーケティングの視点が役立ちます。
以下では、代表的な行動モデルを紹介し、それぞれの特徴と限界を踏まえた上で、フリープランナーという職業に合った「指名される仕組み」について考えます。
■ 代表的なマーケティング行動モデル
| モデル名 | 概要 | 特徴 |
|---|---|---|
| AIDMA (アイドマ) | 注意 → 興味 → 欲求 → 記憶 → 行動 | 最も古典的。短期購入向き |
| AISCEAS (アイシーズ) | 注意 → 興味 → 検索 → 比較 → 検討 → 行動 → 共有 | 情報重視・比較検討がある |
| VISAS (ヴィサス) | 口コミ → 影響 → 共感 → 行動 → 共有・拡散 | SNS時代向け。共感や紹介重視 |
■ それぞれのメリットと限界
- AIDMA はシンプルで汎用性がありますが、感情の動きやSNSでの影響力をカバーしきれません。
- AISCEAS は情報収集や比較の流れに強く、理性的な購買には向いています。ただ、「誰にお願いしたいか」などの感情面での決め手が弱い傾向があります。
- VISAS は口コミや共感をベースにした“人で選ばれる流れ”にとても強く、フリープランナーのような「個」で選ばれる仕事に相性が良いです。
しかし VISAS にも弱点があります。お客さまが比較したり、料金や条件を検討したりする「調べる・比べる・決める」という段階がモデルに含まれていないため、「この人に頼みたいけど、本当に合ってるかな?」という最終判断の背中を押す要素が足りません。
■ だからこそ、“VISAS × AISCEASの組み合わせ”が最適
VISAS の感情的共感の流れに、AISCEAS の合理的な検討要素を組み合わせることで、
共感と信頼の両方を揃えた“指名導線”をつくることができます。
■ 拡張VISASモデル(ドッキング型)
Viral(紹介・SNSで知る)Influence(影響を受けて気になる)Search(調べて)Compare(他と比べて)Sympathy(共感して「この人がいい」)Action(相談・申し込み)Share & Spread(式後に紹介・投稿する)
このように、「調べる→比べる」プロセスを加えることで、
気になる→すぐに行動、ではなく、“ちゃんと納得して選ばれる流れ”がつくれます。
■ 実務で意識したい各ステップ
| ステップ | 具体的なアクション例 |
|---|---|
| Viral | SNSや紹介、過去の投稿などで存在を知ってもらう |
| Influence | 他者の声(レビュー・タグ付け)で興味を引く |
| Search | HP・Instagramに、わかりやすい情報をそろえる |
| Compare | 得意分野・金額・対応スタイルをはっきり見せる |
| Sympathy | 自分らしさ・想い・考え方を言語化して発信 |
| Action | 問い合わせまでの導線をシンプルにする |
| Share&Spread | お客さまが自然に紹介したくなる仕掛けをつくる |
■ チェックリスト:導線設計できているか
| 項目 | チェック |
|---|---|
| SNSや紹介など「知ってもらう」入口がある | □ |
| 他の人の声や口コミが届くようになっている | □ |
| 調べる人向けの情報(事例、料金、流れ)を用意している | □ |
| 比較されても選ばれる特徴がはっきりしている | □ |
| 自分らしさや世界観が言葉でも伝わっている | □ |
| 問い合わせまでがわかりやすく気軽になっている | □ |
| 結婚式後の紹介やシェアが自然に起こるよう工夫している | □ |
5つ以上チェックがつけば、かなり整った状態といえるはずです!
おわりに
誰かに“指名される”というのは、ただの偶然ではなく、出会い→信頼→共感→納得→行動という流れの中にあります。
その流れを理解して、一つ一つのステップを丁寧につくっていくことで、自然と「お願いしたい」と思ってもらえる状態が生まれます。
まとめ
フレームワークはあくまで“考えるための地図”です。その地図を使って、自分らしいルートをつくっていければ、それが一番の「選ばれる導線」になるはずです。
■ このブログの要点
- マッチングサイトでは「事例の数(アップ数)」が選ばれる理由になりやすく、「依頼がないと見せられない → 見せられないと選ばれない → 選ばれないから依頼がない」という難しい循環にはまってしまうこともある
- 最初の数件を如何に獲得できるか、「最初の壁」をどう乗り越えるかが、フリープランナーとして長く続けていくための鍵
- 紹介が紹介を呼ぶ“良いループ”が生まれると、大きく広告費をかけずとも継続的な集客ができるようになる
- 極めてニッチで小さい市場だからこそ、「何を軸にするか」「どこで勝負するか」を見きわめ、いくつかの収入の柱を持つことが大事
- VISAS の感情的共感の流れに、AISCEAS の合理的な検討要素を組み合わせることで、共感と信頼の両方を揃えた“指名導線”をつくることができる
☑ 次にすること
- 接点から行動までには“時間差”と“積み重ね”があることを前提に、あらかじめ流れを想定した情報設計や発信をする
- 「この固い紹介ルートをいかにつくれるか」を考える
- チェックリストで導線設計できているかを確かめる(5つ以上チェックがつけば、かなり整った状態)
ぜひ参考になさってください!
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執筆者
株式会社永光 代表取締役 高橋 龍一
婚礼の現場とフリーのウエディングプランナーを経て、2018年からウエディングプランナーの業務委託サービス「プラスワン・プランナー」を運営しています。
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