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流通モデルの違いと業界の持続可能性

はじめに

どんな業界でもあてはまることですが、供給の安定と品質の確保は常に課題となります。本ブログでは、有機食材の流通を参考にし、フリープランナーのアウトソーシング事業の供給モデルを考えてみたいと思います。

どの供給モデルを選択するかは、婚礼施設の持続可能性を左右する重要な要素となってきます。そこで本ブログでは同時に、特定の供給モデルへの依存がもたらすリスクと、業界全体のバランスを取るために果たすべき役割についても詳しく解説していきたいと思います。

市場のバランスと供給の問題

供給と需要のバランスというのは、常に変動しています。なので、適正な価格の維持や持続的な提供体制の構築といったものが求められます。

有機小麦の市場における問題

たとえば、有機小麦を使用したパン市場を例にみてまいりましょう。有機小麦が余った例を考えてみます。そこで生じる課題は、有機小麦が余ったからといって、有機小麦の仕入れ価格を下げるわけにはいかないということです。そうなると、パンの製造業者からすると、仕入れ価格が下がらない→パンの販売価格を下げられない→パンの売上が伸びないということになります。

なぜ有機小麦の仕入れ価格を下げられないかというと、有機小麦は通常の小麦よりも生産コストが高く、手間もかかるためです。なので、仮に「有機小麦が余る」という状況が発生しても、簡単に価格を下げることができないのです。そのため、仕入れ価格が上がる一方で、価格に転嫁できないため、売上も伸びないという状況が発生してしまいます。

このような状況では、小売業者やパンの製造業者がリスクを避けようとし、仕入れを抑える動きが出てきます。結果として、つくった有機小麦が余って、でもそれを安く売ることも難しいという状況になります。

こうなると、「有機小麦をこれからもつくっていこう」というモチベーションが生まれないという悪循環が起こる可能性があります。

ポイント

  • 供給が増えても → 有機小麦は生産コストが高いため、簡単に価格を下げられない
  • 仕入れ価格が上がっても → 販売価格に転嫁しにくいため、売上が伸びない
  • 結果として → 小売業者やパン製造業者が仕入れを控え、供給が滞る
  • つまり → 生産者の負担が増し、持続的な供給が難しくなる

フリープランナー市場における問題

フリープランナーの市場でも、有機小麦のケースと同様に、フリープランナーの数が増えても、式場からの需要が追いつかず「プランナー余りになる」という問題が発生する可能性があります。

フリープランナーの登録者が増えても、式場側が受け入れられる枠が限られているため、新たに登録したプランナーがすぐに仕事を得られるとは限らないからです。結果として、実際に仕事が回るプランナーは限られ、一部のプランナーが仕事を得にくくなるという状況が生まれます。

さらに、供給過多の状況では式場側が優秀なプランナーだけを選ぶようになり、経験の浅いプランナーが仕事を得る機会が減るという問題も発生します。特に、新しく登録するフリープランナーにとっては厳しい競争環境となり、フリープランナーのキャリア形成が難しくなる可能性があります。これは、委託料を下げたからといって解決できる問題でもないし、仮に下げたとしてもプランナー自身の首を絞めることにもなります。

ポイント

  • フリープランナーの登録が増えても → 仕事の枠には限りがあり、すべてのプランナーに均等に仕事があるわけではない。
  • 式場の受け入れ体制や需要が比例して増えるわけではない → 一部のプランナーに仕事が集中する。
  • 結果として → フリープランナーが仕事を得にくくなり、収入も減っていくため、仕事を続けることが難しくなる

供給モデルの違いと特定のモデルに依存するリスク

供給過多の問題と供給モデルの選択

ここまで、有機小麦やフリープランナーの供給が増えた際に起こる問題について考えてきました。しかし、供給過多の問題を適切に理解するためには、供給の仕組み自体にも複数のモデルがあり、それぞれに特徴があるという点を押さえておく必要があります。

供給モデルの違いを理解することで、なぜ供給が増えすぎると市場が停滞することがあるのか、またどのような供給体制が業界の持続性を高めるのかを客観的に考察できます。

わかりやす説明するために、供給の仕組みを大きく「一括管理型」と「分散調整型」の2つに分類し、それぞれのメリットとデメリットを整理した上で、特定の供給モデルに依存するリスクについても考察します。

供給モデルの違い

供給の仕組みには、主に以下の2つのモデルが存在します。

供給モデル特徴メリットデメリット・リスク
一括管理型
(例: 全農・プラットフォーム)
全国的に統括し、効率的に大量供給を行う供給の安定化、
流通の効率化
地域の特性が反映されにくい、画一的な流通になりやすい。需要が偏り、供給の過不足が発生しやすい。
分散調整型
(例: JA・コープ自然派・エージェント)
地域の特性に応じた柔軟な供給きめ細かい対応が可能規模のメリットを活かしにくく、流通の安定性が低くなることがある。

一括管理型の特徴とリスク

例えば、一括管理型の代表例として「全農(全国農業協同組合連合会)」があります。全農は、

  • 全国の農産物の流通を統括し、大規模供給を管理
  • 価格調整の機能を持ち、市場価格の安定に貢献
  • 農家が生産した農産物を市場に出しやすくする

この仕組みのメリットは、流通が統一され、安定した供給が可能になることです。しかし、同時に以下のようなデメリットやリスクも伴います。

  • 地域の特性が反映されにくくなる
  • 小規模生産者が競争力を失う可能性がある
  • 価格競争の影響を受けやすく、コスト削減が優先されやすい

ブライダル業界に当てはめると

この考え方をブライダル業界に当てはめると、フリープランナーのマッチングを全国規模で行う「プラットフォーム型」のシステムが、全農と同様の機能を持つといえます。

プラットフォーム型の特徴は、

  • 全国どの地域でも婚礼施設とフリープランナーのマッチングを提供できる
  • 式場が必要なときに単発でフリープランナーを確保できる

しかし、その反面、

  • 婚礼施設とフリープランナーのダイレクト契約なので、教育やサポートがなく、個別の式場のニーズや地域性に適応しにくい
  • 単発中心の仕事の受け方や依頼の仕方が多いため、長期的な関係構築が難しい
  • 需給のバランス調整が難しい → プランナーと式場の需要が地域ごとに異なるため、特定の地域ではプランナーが不足し、別の地域では供給過多になることも。

メリットもある一方、デメリットも当然あることがわかります。こうした課題を解決するためには、地域の特性を活かしながら柔軟に調整を行う仕組みが求められます。

分散調整型の重要性

一方で、地域ごとの特性を活かしながら調整を行う仕組みとして、農業分野ではJAやコープ自然派が、生産者と消費者をつなぎ、持続可能な供給体制を確立する役割を担っています。

  • JA(農業協同組合) → 地域の農家と市場をつなぎ、適正な供給を支援
  • コープ自然派 → 生産者と消費者をつなぎ、持続可能な有機農産物の流通を促進

ブライダル業界に当てはめると

ブライダル業界においても、これと同様の仕組みがあり、プラットフォーム型に対して、「エージェント型」といいます。

エージェント型のマッチングでは、

  • 地域ごとの特性や式場のニーズに応じたフリープランナーの手配および教育が可能
  • プラットフォームにはない、長期的な関係の構築がしやすい

つまり、分散調整型の仕組みは、単なるマッチングにとどまらず、供給者の育成や市場との調整機能を果たし、業界全体の安定的な発展に貢献できる役割がある点に特徴があります。

一方で、以下のようなデメリットもあります。

  • 規模の拡大が難しい → 地域ごとの特性を考慮しながらマッチングを行うため、全国的な供給体制の整備には時間がかかる
  • 運営コストがかかる → 一括管理型に比べて、供給の調整や教育の手間が多く、コストが高くなりがち
  • 需給のバランス調整が難しい → プランナーと式場の需要が地域ごとに異なるため、特定の地域ではプランナーが不足し、別の地域では供給過多になることも。これはプラットフォーム型と共通する課題です

特定の供給モデルに依存するリスク

上でみたように、一括管理型・分散調整型のどちらにもメリットとデメリットが存在しますが、どちらか一方に過度に依存すると、以下のようなリスクが発生します。

一括管理型(全農・プラットフォーム)に依存するリスク

  • 市場全体が画一化し、地域の特性が失われる
  • 価格競争が激化し、供給者の利益が圧迫される
  • 長期的な信頼関係が築きにくい

分散調整型(JA・コープ自然派・エージェント)に依存するリスク

  • 規模のメリットを活かしにくい
  • 流通の安定性が低くなりやすい
  • 長期的な関係が多い分、取引先の影響や依存を受けやす

まとめ

以上見てきたように、供給の仕組みには、一括管理型分散調整型の両方があり、それぞれにメリットとデメリットがあることがおわかりいただけたと思います。

要点をまとめると以下のような感じです。

  • 一括管理型(全農・プラットフォーム)
    • 流通の効率化や安定供給に優れるが、個別の対応が難しい
  • 分散調整型(JA・コープ自然派・エージェント)
    • 地域の特性を活かした供給が可能だが、大規模な流通には不向きな面もある

ブライダル業界においても、フリープランナーの供給は単なる「数の確保」ではなく、質や適性が重要となります。婚礼施設ごとの特性に見合った適切な供給モデルを選び、それぞれの強みを活かしながらバランスを取ることが、今後の業界全体の持続可能性を高める鍵となるでしょう。婚礼施設の適切な運営と、これからフリープランナーを検討されている方の判断において、ぜひご参考になさってください!

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