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顧客の「痛み」を解決する〜創造思考

はじめに〜私たちブライダル事業者が持つべき視点

結婚式実施率の低下という現実を前に、この先の不安を感じているウエディング業界の方も多いのではないでしょうか。かつては「するのが当たり前」だった結婚式が、いまや「しなくてもいい」との選択肢もあたりまえの時代になりました。

でも、この変化の時代だからこそ、私たちは新しい視点とアプローチで、お客様にとって本当に価値のあるビジネスを追求していく必要があります。またそれは既存の枠組みを起点に考えるべきものでもありません。その第一歩として、今回のブログでは、創造的なビジネスとは何か?を一緒に考えて行きたいと思います。

「儲かるかどうか」より「お客様のどんな問題を解決するか」

まずはじめに、現在のブライダルビジネスで一番大切な視点とは何でしょうか。それは当然のことではありますが、「儲かるかどうか」ではなく、「お客様のどんな問題を解決するか」という視点です。

私たちブライダル事業者はなによりもこの、お客様の「痛み」がどこにあるのかを、深く探求していくことが出発点となります。

顧客の「痛み」を見つけることから全てが始まる

その意味でも、ビジネスで一番重要なのは、正しい課題を設定するということにつきます。つまり、お客様が本当に困っている「痛み」を見つけるということです。

「顧客の痛み」というのは、「このサービスがなかったら困る」とお客様が心から感じる状態のことを指します。今あるサービスや選択肢では満たされない、解決できないお客様の想いや悩み、それが「痛み」の正体です。

この「痛み」がしっかりと存在してこそ、PMF(プロダクト・マーケット・フィット)が成り立ちますPMFとは、「お客様が熱狂的に欲しがるものを創れる状態」を指します。

そしてこのPMFを目指すことが私たち事業者の究極の目的となります。しかし、いきなりそれを目指すことはとても難しいため、ステップ1としてはまずMVP(最小限の機能をもつ状態)から始めて、リーンスタートアップの考え方で事業を進めていくことが重要です。

PMF(プロダクト・マーケット・フィット)

顧客が熱狂的に欲しがるものをつくれる状態のこと

MVP(ミニマム・バイアブル・プロダクト)

最小限の機能をもつ状態のこと
いきなり完璧をめざすのではなく、手持ちのなかでスタートし、試行錯誤のなかPMFを目指すということ

リーンスタートアップ

シリコンバレー起業家エリック・リースが考案した、「入念なプランニングより試行錯誤」を重視するビジネスの始め方・考え方

成功はアート、失敗を避けるのはサイエンス

成功はアート、失敗を避けるのはサイエンス

『成功はアート、失敗を避けるのはサイエンス』と、ビジネスではよく言われます。そのためにも、徹底的にPMFを追求し、MVPを効果的に活用し、リーンスタートアップを実践していく必要があります。

一方で、失敗を避けるのは科学的にアプローチできます。たとえば、グーグルグラスや初期のアップルウォッチなどは、技術的には非常に優れていましたが、お客様の切実な課題をしっかりと理解しないまま市場に投入してしまいました。結果、まったく売れることがなかったというのは、周知の事実かと思います。これらの失敗から分かるのは、「解決策ありき」で進めることのリスクです。

ブライダル業界に必要な視点

ブライダル業界でも、顧客の悩みを解決し、PMFを目指すという視点に立たないと、「ハードを改装すれば集客が復活する!」「とりあえず格安婚プランをつくればなんとかなる!」など結論が先行して、そもそも何の課題を解決しようとしているのかどんな痛みに寄り添おうとしているのかが見えなくなってしまうことがあります。

解決策ありきはNG

グーグルやアップルなどの世界的企業でも、「顧客の痛み」が起点ではなく、解決策ありきでは成功しないということ

失敗から学ぶ姿勢

その意味でも、失敗はサイエンスなので、世の中の失敗事例から学ぶ姿勢が重要です。そしてその失敗を次の成功につなげていくことが大事です。有名なエジソンの言葉として、「私は失敗したことがない。ただ1万通りの、うまくいかない方法を見つけただけだ」というものがあります。

この言葉からわかるように、失敗から学び絶えず成功に向けて仮説検証を繰り返していくことが何より大事です。ポイントは、まずは小さく試してみて、顧客や市場の反応を見ながら検証し、修正を重ねていく。つまり、MVPでスタートし、仮説検証とトライ&エラーを繰り返すことです。このように、いきなりPMFを目指すのではなく、小さな実験を積み重ねることで、初期の失敗を最小限に抑え、最終的には「本当に必要とされるもの」に近づけていく視点が重要です。失敗から学ぶということは、「賢くリスクをとること」ともいえます。

ブライダル業界に欠けているのは、この視点ではないかなと感じます。

課題の質を決める3つのポイント

では、そもそも「顧客の痛み」そのものである課題を決めるには、何が必要なのでしょうか?それには、課題設定を考える私たち事業者の側に、次の3つの要素が特に必要となります。

1. 専門性・業界知識・市場の理解度

その分野での深い専門性・業界知識・市場の理解度があることがまず何よりも大事となります。

2. 「自分ごとの課題」になっているか

また一番大切なのは、その取り組む課題が「自分ごと」になっていることです。実は意外にも、顧客視点と同じぐらい、これが全ての出発点になります。

表面的な課題ではなく、課題を設定する事業者側自身が心から共感できて、何としても解決したいという強い想いと、内側から湧き上がるそれに対する熱い想いがあるからこそ、困難があっても乗り越えて、情熱を持って取り組めんでいくことができるからです。そして、その情熱が周りの人たちを巻き込んで、協力してくれる人や仲間が集まってくるという流れにもつながっていきます。

3. 「他の人が知らない秘密」=独自の視点

また成功するビジネスには、「他の人が知らない秘密」、つまり独自の視点も必要となってきます。

「あの式場が格安婚や家族婚をやっているから、ウチも採り入れよう」と、みんなと同じことをやっていたら、差別化などはできません。もちろん、必要なニーズは満たしていくべきですが、多くの人が「それいいアイデアだね」と思うものは、実はもう競合がたくさんいて、差別化するのが難しいということもまた真実だからです。

「一見ダメそうなアイデア」にこそチャンスがある

その意味でもより大事なのは、誰もが賛成してくれる「いいアイデア」じゃなくて、まだ言葉にされていない課題に目を向けることです。

実は「一見ダメそうなアイデア」の中に、成功のヒントが隠れているという視点も大事です。なぜかというと、そういうアイデアは、「無消費」の状態にあるともいえるからです

無消費

顧客にとって似たようなものがほかになく、顧客が代替案を何ももたない状態のこと

ビジネスにおいては、この無消費を掘り起こすことで、新しい市場を作り出せる可能性があります。

ブライダルにおけるこの無消費の例は、「1990年代中盤に登場したゲストハウスウエディング」や、「2000年代初頭に登場したスマ婚や楽婚」などが挙げられます。これが見事に、それを求めていた「顧客の痛み」にぴったりはまり、一気にイノベーションが広がっていきました。果たして、現在においてはどのようなことが考えられるでしょうか?

ちなみに弊社が「2018年に開始したフリープランナーのアウトソーシング事業」も、無消費を掘り起こした革新的な一例だといえるでしょう。

イノベーションが超高速で起きる時代への対応

ご存知の通り現在は、パラダイムシフトがものすごいスピードで起きている時代です。

パラダイムシフト

世間の暗黙の常識が変化すること

これにより従来のマーケティング理論、例えばAIDMAとかキャズム理論などは、ある意味通用しなくなってきているともいえます。なぜなら、SNSや口コミで情報が一瞬で広がって、数週間で常識がガラッと変わることもあるからです。

よって、先述のとおり、「一見ダメそうなアイデア」でも、一度お客様に認知されて、その価値が理解されると、イノベーションカーブが起きて、あっという間に広まっていく可能性もあります。一昔前だと考えられないことです。情報が伝わるスピードが格段に上がったいまの時代ならではの現象といえます。なので、私たち事業者側は常にこのことに自覚的な必要があるといえます。

ブライダル業界への問いかけ

これまでお伝えしてきたように、私たちブライダル事業者も、あるいは結婚式場やフリープランナーも、これからも必要とされる存在であり続けるには、表面的な課題認識で終わらせないことが何より大事です。

「結婚式の実施率を上げる」ということは、何の課題設定にもなっていないということです。すなわち、「なぜ結婚式をしないのか?そこにはどんな痛みがあるのか」という、お客様一人ひとりの「痛み」に徹底的に向き合って、それを解決するための独自の視点と専門性を持つことが求められているということです。

改めて、こんなことを考える視点が、いまもっとも私たちには必要ではないでしょうか?

  • いまの結婚式は、お客様の本当の「痛み」を解決できているだろうか?
  • 業界の常識にとらわれない、新しい価値を提供できているだろうか?
  • 「結婚式はしない」と選択する人たちの無消費状態を、新しいビジネスチャンスとしてとらえられているだろうか?
  • 私たちの存在は、お客様のどんな「痛み」を解決できるだろうか?

新しい価値を創り出すために

結婚式実施率の低下は、確かに業界にとっては大きな試練です。でも、この変化のなかにこそ、新しいビジネスの可能性がたくさん眠っているととらえる視点をもつことがとても大事です。

冒頭にお伝えしたように、「儲かるかどうか」じゃなくて、「お客様の、あるいは世の中のどんな問題を解決するか?」という視点を常に持ち続けて、リーンスタートアップの精神で仮説検証を繰り返していく。そして、誰も気づいていない「無消費」の領域に目を向けて、新しい価値を創り出していく

このことにいま一度真摯に向き合ってこそ、これからのブライダルビジネスが生き残って、発展していくことができるのではないでしょうか?ぜひ皆さんも一緒に考えてみてください!

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