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「仕組みはきっちり、運用は緩く」

はじめに

新規接客における成約率や、施行における売上・利益および顧客満足度といった指標は、ウエディングプランナーの業務における「評価の対象となり、公開される」といったことが一般的です。前回のブログでは、その功罪に関して、具体例などを用いてお伝えしました。今回のブログでは、そのおさらいをするとともに、測定や管理における理想的な状態を考察したいと思います。

はじめにその理想の状態を説明すると、「仕組みはきっちり、運用は緩く」という状態が望ましいと言えます。これは、標準化された仕組みに加え、現場での柔軟な裁量が必要不可欠ということを意味します。

そこで本ブログでは、「仕組みはきっちり、運用は緩く」という考え方をベースに、ウエディングプランナーに理想的な仕事の進め方や評価の仕方を考察したいと思います。

1. 仕組みはきっちり、運用は緩くとは?

概要

「仕組みはきっちり、運用は緩く」という考え方は、主に管理会計の世界で用いられています。

平たく言うと、ルールやマニュアルを明確に設定し、「誰がやっても同じやり方で再現性高く運用ができる仕事のやりかた」を構築する一方で、現場の裁量や柔軟性を担保し、創意工夫を活かせる環境を整えるというアプローチを指します。

特に、ブライダル業界のように、顧客の多様なニーズに応える必要がある分野では、この考え方がとても有効となります。以下にそのポイントを記します。

  • 仕組みはきっちり
    • 評価項目の測定基準および評価方法を統一する
    • ワークフローを統一する
    • それにより属人的な評価や、業務自体の属人化を避ける
  • 運用は緩く
    • マニュアルや基本ルール、オペレーションを守りつつ、ウエディングプランナー自身の判断や工夫の余地、裁量権を認める

まずは、上記のような状態をイメージしていただければと思います。
より詳しくブライダルに即して当てはめてみます。

ブライダル業界での応用

仕組みの重要性


繰り返しになりますが、新規接客や施行においては、成約率や売上・顧客満足度のような、定量的な誰もがわかる測定指標が重要視されます。これらは、婚礼施設の運営上もとても大切な指標になるため、ウエディングプランナーの評価に直結します。よって何よりまずは、これらの数値を正確に把握し且つその評価を高めていけるようにウエディングプランナーは努力します。且つ、評価者である会社側も、この数字をもとにそれぞれのプランナーの評価を行っていきます。

なので、全員が共通の理解を持てる簡素でわかりやすい、しっかりとした仕組みが求められます。

運用の柔軟性


一方で、結婚式というのは、新郎新婦ごとに要望や規模、予算感もまったく異なります。なので、定量的な数値指標を評価するだけという画一的な対応では限界があることも事実です。また、特に施行においては、現場の最前線で新郎新婦と対峙するウエディングプランナーが、要望や意図を汲み取り、その場で判断し対応できるよう、一定の裁量を与える必要もあります。

そうした意味では、わかりやすいしっかりとした評価体系や仕組み、マニュアルなどが必要な一方で、顧客の最前線に立つウエディングプランナーが柔軟に対応できる運用も、しっかりとした仕組みと同じぐらい重要な要素として求められます。

ポイント

つまりは、この「仕組み」と「運用」の適切なバランスが、個々のウエディングプランナーの「正当な評価」や「仕事のしやすさ」、「高い創造性を発揮できるかどうか」ということに直結するということです。逆に言うと、このバランスが適切であれば、ウエディングプランナー自身に過度な負担をかかることなく、「良い行動変容」が生まれ、結果的に「高い成約率と売上利益の達成」、そして「顧客満足度の向上」につながっていくということです。

次節ではこのことを踏まえ、「評価」と「ワークフロー」を如何に「仕組みはきっちり、運用は緩く」していけるかを考察したいと思います。

2. 新規接客における即決に至らない場合の評価方法

概要

新規接客では、即決が主要な評価基準となることが多いです。その意味では、即決率や成約率を如何に高めていくかという方向で評価体系の「仕組みをきっちり」と構築していくことは、何よりも重要です。

一方で、「運用は緩く」を実行していくためには、即決に至らなかった場合にそのプロセスや努力をどう評価するかという別のアプローチも必要になります。そこで本節では、即決以外の評価基準を設けることで、プランナーの成長を促進する具体的な仕組み(=緩くした運用)を考えてみたいと思います。

(1) 接客報告シートの活用

具体的には、即決に至らなかった場合でも、ウエディングプランナーの努力や接客の質を評価するために、接客報告シートをふんだんに活用するという方法です。

  • 即決に至らない場合の評価方法
    1. ヒアリング能力の評価
      • 顧客のニーズや希望条件をどれだけ深く理解できたかを、各ヒアリング項目への落とし込みから確認し、評点化します
    2. 顧客ニーズと提案内容とのマッチング度
      • また新規接客で提案した日程・予算・会場のプレゼン自体が、新郎新婦のニーズにどれだけ合致していたかを、プランナー自身に自己評価してもらい、それを上司の目線で確認します
    3. 切り返しやアプローチ方法
      • また「今日は決められない」という新郎新婦の反応に対して、「なぜそのように思うのか」や「どのような切り返しを行い、どのように関係性を築こうとしたか」を具体的に記載してもらい、それに対する評価を行います

(2) 上司評価と自己評価の照合

  • 評価項目の設定:
    • 上記のように、「振り返り」→「評価」を行うプロセスのなかで、以下のことが浮き彫りになってきます。
      • 「即決に至らなかった理由は何か?」
      • 「自分の評価と上司の評価にズレがなかった場合、考えられる外的要因は何か?」
      • 「ズレがあった場合、改善すべきスキルやプロセスは何か?」
  • 評価の目的:
    • 自己評価と上司評価のズレを確認し、何が不足していたか、次回に向けた改善点を明確化

このようにすることで、「即決や成約に至らなかったからゼロ評価」という状態を脱することができ、また接客者であるウエディングプランナー自身の気づきに対して、「肯定的なフィードバックを与えてあげる」ことで、ウエディングプランナー自身に「反省点や学び」が生まれ、次に活かすことができます。

またこのように「即決率や成約率だけでガチガチに評価する」という状態から、「運用は緩く」という方針に切り替えることで、結果的に即決力が確実に上がっていくという良い行動変容が生まれていく可能性が高まります。

ポイント

以上みてきたように、即決以外の評価基準を設け、プロセスに対して肯定的なフィードバックを繰り返すことで、即決に至らなかった場合でも、ウエディングプランナーの努力や成長が評価される仕組みを作ることが可能になります。そしてそれは、「即決重視のしっかりとした仕組みつくり」という基盤はありつつも、必ずしもそれにとらわれない「緩い運用」を行うことでもあるため、ウエディングプランナーのモチベーションを維持し、さらなる成長を促すことができます。結果として、全体の即決力が高まっていくという「良い行動変容」へとつながっていくということです。

3. 施行における評価方法

概要

続いて施行をみてまいりましょう。

施行では、売上や利益、顧客満足度(NPS)が主要なKPIとなりますが、これらの定量指標だけに頼ると偏った行動が生じる可能性があります。本節では、定量的評価にウエディングプランナーの自己成長や内面的な気づきを評価に加えることで、全体的なバランスを保ちながら業務の質を向上させる仕組みについて提案します。

(1) 定量指標と定性指標の併用

  • 売上や利益、NPSといった定量指標だけでなく、ウエディングプランナー自身の内面的な気づきや努力を評価対象に含めます。
  • 具体例:
    • 例えば、売上利益があまり上がらずとも、NPSが良い新郎新婦がいたとします。
    • この場合、売上という指標での評価はマイナスで、NPS指標による評価はプラスになります。逆もまた然りです。
    • ですが、売上もプラスでNPSもプラスにすることはできなかったのか?などの深堀の視点も必要になります。
    • そこで、まずはウエディングプランナー自身が、この新郎新婦のプランニングにおいて、どこに重きをおいたかを自己評価してもらいます。
    • そして、その自己評価自体を査定対象とします、
    • そうすることで、プランナーがどこに重きをおいたか、それが全体利益や顧客利益にどのように影響を与えたのかを把握できるようになります
    • こうすることで、「この顧客に対してもっと提案を行っても、NPSは良い数字のまま売上も向上できたのでは?」という視点を上司とプランナーの間で共有できることにもなります。

(2) 感情に配慮した測定設計

  • また自己評価という観点では特に、ウエディングプランナーの「内なる目」を尊重し、自己成長を促進する仕組みを設けることが重要です。
  • 具体案
    • 毎回「より良い結婚式をつくるためには?」というテーマで、自身の果たした役割(部分最適)と会社全体への貢献(全体利益)を自由形式で記述
      • 部分最適
        「予算感が少ない新郎新婦の要望を叶えるために、お金のかからないオリジナル演出を提案しました。」
        →売上指標の評価だと、これは評価対象にならないですが、「より良い結婚式をつくつくるためには?」というテーマからは評価の対象とできる可能性があります
      • 全体利益
        「また、そのオリジナル演出を成功させることで、他のお客様へのSNSでのアピールにもつながるため、新たなお客様が来館される可能性につながります。」
        →自身の果たした役割(部分最適)が、会社全体の利益(全体最適)へどのようにつながるかを、客観的視点で評価することにつながります

ポイント

施行における評価は、このように感情に寄り添った評価設計を行うことで、定量的側面だけでなく、定性的側面を客観的に評価することが可能になります。これにより、自分の努力が全体の利益にどう貢献したかを理解し、仕事への誇りをもつことができるという期待効果につながります。そしてこの期待効果は、離職率の低下へとつながる可能性を秘めています。

4. 属人化を防ぎつつ裁量を持たせる方法

概要

また、ワークフローや業務の標準化は、属人化を防ぐ重要な基盤となります。しかし一方で、ウエディングプランナーが自身の裁量を発揮できる柔軟性を担保することも、顧客満足度の向上やプランナー自身の成長には欠かせないことも事実です。この点でもっとも重要な考え方こそが、「仕組みはきっちき、運用は緩く」というものです。

本節では、標準化された仕組み(マニュアルやルール)と個々のウエディングプランナーの裁量を共存させる方法について具体的に解説します。

(1) ワークフローや業務の切り出しを整備する

業務の標準化(=マニュアル化)を行うことは次のメリットにつながります。

  1. 属人化を防ぐ
  2. 退職者が出て新人が入ってきても、あるいはフリープランナーが入ってきても、等しく同じ仕事が可能となる
  3. 教育工数が減るため、教える方も教えられる方も効率が非常に高まる

特に、以下のように、具体的なフローやオペレーションの切り出しを明確にすることで、全員が共通の認識を持ちながら業務を進められます。なので、仮にミスがあっても、どの工程でそれが生じたのか、あるいはその工程にミスが生じやすい原因があったのかなどを追求しやすくなります。

  • 例: 司会発注フロー
    • ① ウエディングプランナーが新郎新婦と打ち合わせし、進行の骨組みを作成
      • 当日全体の流れを踏まえ、進行表の大枠を固める
    • ② 進行表を司会者に共有し、打ち合わせ日程を調整
      • 司会者と新郎新婦との打合せを調整
        • →司会者が新郎新婦にアポを入れる場合など、条件分岐が出る場合もあるが、それも含めて細かくフロー化する
    • ③ 司会者との事前すり合わせ
      • ウエディングプランナーが司会者と事前に進行内容や新郎新婦の想い、情報を共有する
        • →メールや電話、あるいは別の手段で行うなども、標準フロー化しておく
          人による違いが出ないようにしておくことが大事(属人化を防ぐために)
    • ④ 司会者と新郎新婦との打ち合わせ
      • 新郎新婦と司会者が打合せ
        • →プランナーとすり合わせた進行に、司会者が肉付けをしていく
    • ⑤ 打ち合わせ後の進行表更新
      • 司会者が肉付けした進行表をプランナーが確認・更新する

ここで大事なことは以下の通りです。

  • 必須の取り決め
    • まずは、進行表の形式や書き方を統一することが何より大事です
      • 例)ウエディングプランナーは進行表をスプレッドシートで作成する
        • →これ以外の例外を許さないようにします
      • 例)プランナーから共有された進行表に、司会者は手書きで肉付けを行い、プランナーは、それを正とし、デジタル化して上書きするか、スプレッドに清書転記するかを統一させる。人による違いを許さないようにする
    • 全社統一のルール
      • 上記のように、フローの細分化とフローの取り決めを標準化し、例外を排すようにすることが大事です
      • これを行うことで、①業務の切り出し、②属人化の防止の両方が達成できます

ここまでは徹底的に標準化することが大事です。これが、「仕組みはきっちり」の部分です。

(2) 裁量を持たせるポイント

そして、次は、「運用は緩く」の部分ですが、上で見たように標準化された仕組みをベースとしつつ、ウエディングプランナーが自身の判断で創意工夫を発揮できる余地を残すことが、プロデュース力や顧客満足度向上につながります。なので、きっちりとした仕組みのうえに、個々のウエディングプランナーが創造性を発揮しやすい「緩い運用」の余地を十分につくることが非常に大事になります。そのためにはまず、以下の「最低限守るべきルール」の統一認識が必要です。

最低限守るルール
  • 時間厳守
  • 動線の把握
  • 物理的に無理な演出の提案をしない
  • 提案に必要なマンパワーや工数等を考慮する
裁量を持たせるポイント
  • 新郎新婦の要望に対する高い自由度
    進行表のフォーマット自体は「きっちりとした仕組み」を用います。一方で、どのように何をしたいかをプロデュースできる自由度をウエディングプランナー側に確保することが重要です。
  • 具体例
    • 新郎新婦から「みんなをビックリさせる入場シーンを演出したい」と相談された場合
      • ウエディングプランナーは、上記の「最低限守るべきルール」を抑えさえすれば、最大限の創造性を発揮できるようにする

(3) 裁量を持たせることのメリット

このように、ウエディングプランナー自身に裁量を持たせることで、次のようなメリットが得られます。

ウエディングプランナーのプロデュース力が発揮される
  • 裁量を持たせることで、顧客一組一組に合わせた創造性の高いプロデュースが可能になる
  • 「仕組みとルールはきっちりと守ろう」「プロデュースが伸び伸びと自由にしよう」という意識が芽生え、ウエディングプランナー自身のやりがいや満足感も向上し、結果的に離職率低下にも寄与する
顧客満足度の向上
  • 画一的な提案ではなく、新郎新婦の希望やアイディアを尊重したプロデュースが実現できる
  • 結婚式全体の満足度が向上し、口コミや紹介につながる可能性が高まる

ポイント

上で見たように、属人化を防ぐ仕組み作りと裁量を持たせる仕組みのバランスこそが、ウエディングプランナーの業務の効率化と創造性の両方を高めることにつながります。

標準化された仕組み(マニュアル)をしっかりとつくることで、「仕組みはきっちり」を達成し、個々のウエディングプランナーの創意工夫を発揮できる「運用は緩く」を実現することで、顧客満足度を向上させる環境づくりを目指していくことが、結果的に離職率の低下にもつながっていきます。

まとめ

本ブログでは、ウエディングプランナーの成長や顧客満足度の向上を実現するには、測定や管理の仕組みを適切に整備しつつ、個々のウエディングプランナーが創造性を発揮しやすい柔軟性を確保することが重要だということを述べてきました。まとめると以下の通りです。

  1. 仕組みはきっちり
    成約率や顧客満足度などの定量的な測定基準、標準的な業務マニュアルを統一する
  2. 運用は緩く
    定性的な評価軸も採り入れ且つ、顧客ごとに異なるニーズに応じた柔軟な対応を可能にし、ウエディングプランナーが創意工夫を発揮できる環境を整える
  3. 即決以外の努力も評価
    即決に至らなかった場合でも、ヒアリング能力や接客報告シートによる自己評価と上司評価の両方を評価基準に含めることで、プランナーのモチベーションを維持する
  4. 属人化を防ぎながら裁量を付与
    業務の標準化を進めつつ、プロデュース力を活かす裁量の余地を持たせ、創造性を引き出す

これらの取り組みにより、ウエディングプランナー自身の成長と顧客満足度の向上を両立し、離職率の低下にも寄与することが期待されます。それぞれの婚礼施設が抱える課題解決に向けて、ぜひこれらのアイデアを参考にしてみてください!

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