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「箱貸しモデル」における集客

はじめに

結婚式場という業態は、長らく装置産業として運営されてきました。建物だけでなく、専属のプランナーなど、多くの人的リソースを式場内に雇用で抱え込み、それらを前提としたサービス提供を行ってきたからです。この構造は、永続的な成長性と組数を見込んで初めて成り立つものです。

しかし、現在の市場環境や結婚式実施状況を見たとき、弊社はこの構造が早晩行き詰まると考えています。式場が人的リソースをすべて自社で抱え続けるモデルは、今後持続的には機能しにくくなるという見立てです。

弊社は、「箱貸し+プランナーの業務委託」へと運営モデルを移行していくことが、より現実的で合理的な方向性だと捉えています。式場はブランド価値と施設オペレーションの向上に特化し、新規接客やプランニングなどの業務は外部のフリープランナーに委ねる。この形であれば、固定的な人件費を抑えながら、多様な新郎新婦の希望に対応することが可能になります。

ただし、この新しいモデルを機能させるためには、前提がありますそれが「集客」です。誰が、どこで、どのように新郎新婦を集客しするか。その全体設計を前提に考えなければ、「箱貸し+業務委託」は成り立ちません。

集客動線の分類と接点

式場と新郎新婦の間に接点が生まれるには、必ず「情報の通り道」が存在します。それが動線です。ただ広告を打つことではなく、検討から決定に至るプロセスの中で、どのような経路が存在するかを把握し、設計することが求められます。

動線は、以下のように分類できます。

動線の種類内容特徴
検索・比較型式場紹介サイトやGoogle検索、一覧比較による導線初期段階の広域接触に有効
関係性・信頼型知人紹介、フリープランナー、過去の関係者など信頼のある経由意思決定への後押しが強い
SNS・コンテンツ型InstagramやYouTubeなどでの映像・投稿による関心形成感覚的共感や記憶に残る導線
クチコミ・集合知型   過去の利用者による体験談、費用明細、レビュー、評価など判断材料としての信頼度が高い

これらはすべて、役割や性格が異なります。どの経路で接点が生まれ、どの段階で決定に近づくのかを理解することが、集客設計の出発点になります。

口コミやレビューなどの「集合知」

前章で見たように、式場との接点には複数の動線がありました。その中でも、特に重要な役割を果たしているのが、クチコミやレビューといった「集合知」による動線です。

集合知とは、多くの人の体験や判断が蓄積され、それを後から見る人が意思決定の参考にできる情報構造です。個人の一意見ではなく、まとまった傾向や共通する声が「信頼の根拠」となります。

特に式場選びでは、

  • 自分と似た条件の人の体験談
  • 実際の費用明細やトラブル対応の記録
  • よかった点だけでなく困った点の共有

こうした情報が、「安心して選べるかどうか」の基準になります。

集合知は、比較・検討段階での「判断の補強材料」として不可欠な存在になっています。

SNS動線での集客

上でみたように、集合知はとても大事ですが、それだけでは十分とはいえません。結婚式場を選ぶにおいては、数値化された情報や評価だけでは判断しきれないリアル感や情感に訴求する動線がとても大事になってきます。

そこで力を発揮するのが、SNSを通じた婚礼施設とフリープランナーからの発信の両方による集客動線です。とくに、フリープランナーが式場と協力し、その式場の魅力や特性をプランナー自身の視点から発信することはとても大事になってくるといえます。

たとえば、

  • 準備の様子や進行の工夫をリアルにうつしたショート動画
  • 結婚式の裏側や工夫を配信するショート動画

こうしたショート動画を中心とした発信は、結婚式場が自ら語るのとは異なる説得力を持ちます。顧客目線に近いフリープランナーの立場から発信することで、新郎新婦はより親近感を覚え、自分たちの結婚式のイメージと重ねやすくなるからです。

もちろん、こうした発信が成立するためには、式場とフリープランナーのあいだに信頼と協力関係が築かれていることが前提です。式場側が情報を共有し、伝えてほしい価値や魅力を明確にすることで、プランナーは自身の言葉や想いでそれを形にすることができます。

このようにして生まれる集客動線は、単なる広告や紹介とは異なり、関係性を通じて築かれる“共感型”の接点として、式場選びの後押しになっていきます。

ハイブリッド集客とバランス

ここまで見てきたように、式場の集客には複数の動線があり、それぞれに明確な役割がありますが、集客動線の設計を考える際の基本は、プラットフォーム型とD2C型の違いを明確に分けて考えることです。

例えば、ゼクシィなどをはじめとする集客媒体の存在は、プラットフォーム型といいます。とくに、新郎新婦と結婚式場の両者の接点が生まれる場なので、「ツーサイドプラットフォーム」ともいえます。この特徴は、結婚式場の情報を一覧で把握できること、またクチコミや費用明細なども見れることから、共有知と集合知の両方を担うということです。今後も新郎新婦の結婚式場選びの判断に非常に大きな影響力があるといえます。

一方で、先にも伝えたように、それだけに頼るのではなく、SNSやフリープランナーの発信、自社集客による発信も必要です。こうした集客手法は、ダイレクトに消費者に届けることからD2C(direct to consumer)と呼ばれます。

今後はこれら二つのハイブリッドな動線設計と、その「比率」と「配分」が特に重要になってきます。たとえば、

  • 集客媒体経由の流入にどれだけ依存するのか
  • SNSや動画発信にどこまで注力するのか
  • フリープランナーへの発信依頼はどうやって行うのか
  • 自社で何をどこまで行うのか

これらは、結婚式場ごとの特性によりそのバランスが大きく変わってくる部分です。

なので、このバランスを見極め、戦略的に設計していくことこそが、集客を担うマーケターの仕事の核心となります。

また一例ですが、プラットフォーム型とD2C型を複合させるという方法もあります。

  • ゼクシィなどの集客媒体に、フリープランナーを掲載する
  • 上記の共有知から、フリープランナーを選択できるようにする

などの方法も考えられます。このようにすることで、既存の枠組みを増やすのではなく、その枠組みから新たな集客可能性を増やすことも可能となります。

「箱の価値」最大化と役割分担

その意味で、これからの結婚式場における集客の論点は「どの動線を持つか」ではなく、「それぞれをどう設計し、どうバランスさせ、どう活用するか」がますます重要で、特に役割分担が必須になってきます。

(参考例)

動線主な目的担当の例
ポータルサイト比較・第一接点広告代理店、マーケティング部
SNS共感・世界観プランナー、現場スタッフ
クチコミ・レビュー安心・判断の後押し過去の新郎新婦、閲覧者
プランナー紹介信頼感フリープランナー、婚礼施設

また、これらの使い分けと役割分担は、別個バラバラに行うのではなく、すべてを統合する「その式場のブランド」が根底にあることが最も大事でもあります。その意味でも、婚礼施設は「箱の価値最大化」に注力することがとても大切ということです。

おわりに

冒頭でも見たように、「箱貸し+プランナー業務委託」というモデルは、装置産業としての式場運営の限界を乗り越えるための、現実的な選択肢です。ですが、それを成り立たせるためには、まず「どうやって集客するのか」という問いに真摯に向き合う必要があります。

集客はもはや単なる宣伝や広告ではありません。その結婚式場の価値そのものを伝える構造をどう設計し、バランスさせるか。ここに大きな課題があるとともに大きな可能性が秘められています!

ぜひご参考になさってください!

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