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フリーランスが増えている理由

前回の投稿では、調査方法によるバラツキを調整し副業者などを加味すれば
「フリーランスは増えている」とお伝えしました!
それも2018年から2021年にかけて520万人増え、
労働人口のうち実に1,670万人がフリーランス(副業含む)であるともお伝えしました!

今回は「なぜフリーランスが増加しているのか?」、
その理由にせまっていきたいと思います!

1.フリーランスが増えている理由

副業ワーカーの増加

前回もお伝えしましたが、ランサーズ「フリーランス実態調査2021」によると、
副業・複業ワーカーが増えていることがフリーランス増加の要因としてまず挙げられます。

この背景としてランサーズの秋吉CEOはさらに以下の3つを挙げています。

  • ① 会社に頼らないプロフェッショナルなフリーランスの増加
  • ② 時間に余裕ができ副業・複業を開始する人の増加
  • ③ すきま時間を使って仕事をする主婦・主夫の急増

自分の時間で働きたい人の増加

またこれを補完する裏付けとして、
2024年3月4日・日経新聞の調査でも以下のような結果がでています。

この記事によると、
「非正規の働き方をあえて選ぶ人が増えている。
25~34歳のうち、都合の良い時間に働きたいとして非正規になった人は
2023年に73万人と、10年前より14万人増えた。
『正規の職がないこと』を理由にした非正規は半減した。
正社員にこだわらない働き方にあった処遇や、
社会保障の制度設計が必要になっている。」とのことです。

つまり、正社員の仕事がないから
「フリーランス含む非正社員」の働き方を選択するのではなく、
自分の都合のよい時間に働ける選択肢としてそれらを選ぶ層が増えているということです。
消極的理由ではなく、積極的な理由による選択肢として
フリーランスが増加していることがデータとして挙げられています。

2.労働市場全体の動きはどうなの??

では一方で、正社員・パート・アルバイト・派遣含む
労働市場全体の動きはどうなっているのでしょうか?
まずコロナ禍前とコロナ禍との比較をみてみましょう。

コロナ禍における有効求人倍率

コロナ感染が本格化した2020年の9月の統計(NHK news web)によると、
コロナが蔓延する前までの有効求人倍率が1.63倍だったのに対して、
コロナ禍に入ってからは1.03倍と一気に落ちていることがわかります。

有効求人倍率は、「求職者1人に対して何件の求人があるかを数値化した指標」です。
ハローワークに登録している求職者数・求人数をもとに算出しています。
たとえば、ハローワークの求職者数100人に対し200件の求人があった場合、
200÷100=2となるので、一人あたり2件の求人があるということです。
景気をはかる指標として使われ、有効求人倍率が高いほどたくさんの求人があるので、
景気がよいと判断されます。

上記の表でわかるとおり、コロナ禍における有効求人倍率は、
その前の1.63倍から1.03倍に落ちていることからも
企業の求人が減少した=雇用情勢が悪化していたということが読み取れます。

この間の(2020年9月時点)での職種別新規求人数をみても、
建設業を除き求人数は著しく減少し、
あらゆる産業において有効求人倍率が低下していたことがわかります。

ブライダルが属する「生活関連サービス業」の低下率も顕著であり、
この間にブライダル業界を離れた人も相当数いることが読み取れます。

雇用環境悪化のなかで増えたフリーランス

ではそのような雇用情勢のなか、フリーランスはどうだったのでしょうか?
以下はランサーズ『フリーランス実態調査2021」のデータですが、
コロナ禍で新規求人が減少したとのは反比例し、
フリーランスは逆にコロナ禍が始まった2020年から2021年にかけて
約200万人も増加していることがわかります。

これは、「コロナ禍でフリーランスが増加した」ことを裏付けるデータであり、
フリーランスが増えた理由としては一番はじめに挙げた3つの理由・・・

  • ① 会社に頼らないプロフェッショナルなフリーランスの増加
  • ② 時間に余裕ができ副業・複業を開始する人の増加
  • ③ すきま時間を使って仕事をする主婦・主夫の急増

上記に加え、

  • ④コロナが原因で新規求人が減ったことによるフリーランスの増加

というのも挙げられそうです。

コロナ禍における完全失業率

また一方で「完全失業率」という観点ではどうでしょうか?
完全失業率というのは、「労働力人口(15歳以上の働く意欲のある人)のうち、
完全失業者(職がなく、求職活動をしている人)が占める割合で、
雇用情勢を示す重要指標のひとつ」のことです。
総務省によると、目安は2.2%程度であり、コロナ禍ではどうだったのかをみてみましょう。

(日経2020年10月2日)

上記記事によるとなんと、コロナ禍における完全失業率は3.0%まで達しており、
コロナにおける失業者増加が顕著だったことが読み取れます。
完全失業率の統計にはフリーランス人口も含まれますので、
いままでの考察をもとにすれば、
労働市場全体において有効求人倍率が低下し完全失業率が上昇したものの、
逆にフリーランスは増加したということがわかります。
一つの仮説としては、「フリーランスが雇用の受け皿になった」という見方も可能だと思います。

3.2024年現在の労働市場はどうなの?

現在の有効求人倍率と充足率

いっときのコロナ禍も落ち着き、2024年現在の労働市場はどうなのでしょうか?

厚生労働省データによると、2024年2月の有効求人倍率は1.26倍で、
コロナ禍に比べると回復傾向にあるものの全体として鈍化傾向にあることが読みとれます。
新規求人数も同様でコロナ禍に比べて回復はしているものの、
2024年にはいってからは少し鈍化傾向にあるようです。

充足率と就職件数

充足率(新規求人数に対する就職件数の割合)という観点からみるとどうでしょうか?
10%台前半の過去最低水準で推移しており、
企業が求人を出してもなかなか採用につながらない現状が読みとれます。
有効求人倍率が減少している一方で充足率も低下しており、
求職者にとっても企業にとっても採用マッチングがうまく進んでないことが
全体傾向として把握できます。
もっともこのデータはハローワークの統計に過ぎないため、
採用市場全体の動きとの連関はさらなる検証が必要にはなります。

現在の完全失業率

ただ一方で完全失業率という観点からみても、完全失業率自体が少し増加しているため、
有効求人倍率の低下や充足率の低下を裏付ける根拠として
採用市場が少し鈍化傾向に労働市場全体としてあることが補完されます。

しかしながらこの原因として総務省は、

年度がわりに向けて、新しく職を探す人たちが労働市場に入ってきていることなどが
失業率の悪化につながっているのではないか。
悪化が短期的なことなのかどうか、来月以降の動きを注視していきたい。

との見解も挙げており、
雇用情勢が悪化しているとは必ずしも言えないとの見方もできます。
また他方こうしたデータを受けて、以下のような見方(大和総研)もあります。

先行きの雇用環境は緩やかな改善が継続するだろう。
幅広い業種で人手不足が続くなど、労働需要は強い。
足元では、積極的な賃上げなど人手確保に対する動きは加速している。

4.まとめ〜数字と実態の差分からわかること〜

ここまで見てきましたが、果たして雇用情勢は悪化している(雇用統計)のか、
はたまた緩やかに改善している(大和総研)のか、どっちなんでしょうか?

弊社の見解としては、母集団の違いによる統計差が大きいというのが正確な見方かなと思います。
雇用統計の根拠となる母集団は先にも挙げたように
「ハローワークに登録している求職者数と求人数」のため、
大卒新規求人や民間の求人媒体掲載の数値などはいっさい含まれていません。
ここに数字と実態の乖離が生まれる場合が出てきます。

ブライダル一つみても、雇用統計によると
「生活関連サービス」の新規求人数は減少傾向にありますが
民間の求人媒体の掲載数や求人企業数とは逆の結果が出ることもたびたびあります。
なので雇用統計は全体の傾向をマクロ的につかむものと認識し、
個々の詳細はミクロ的にひとつひとつ把握していき、
その差分と理由を確認していく必要があります。
その検証がない状態であれば、そもそもコロナ禍において
完全失業率が増加した=逆にフリーランスは増加した事実などを
まるっと見落とすことになってしまいます。

なので弊社としても、毎月の雇用統計などを確認しながらも
実態との差分を明らかにし、より正確な情報発信を
心がけるようにしていきたいなと考えています!

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