新着情報

離職率が課題のブライダル業界と業務委託フリープランナーの可能性

はじめに離職率が課題のブライダル業界

結婚式場業界で働く人々は、華やかな仕事のイメージに憧れを抱いてこの道を選ぶことが多いです。「一生に一度の特別な瞬間にたずさわりたい」というやりがいに心を打たれた人が多く集まる一方で、その裏側には理想と現実のギャップに悩み、離職を決断する人が少なくありません。

2024年には、「過去新卒採用数最多!!」というニュースも一部ありましたが、足元をみるとそんなホットなニュースばかりではない現状が存在します。

例えば、新郎新婦の笑顔を見たときに得られる充実感がある一方で、その裏では長時間労働や過密スケジュールに追われ、心身ともに疲弊してしまうケースが少なくないということです。本ブログでは、こうした点をブライダル業界の課題と認識したうえで、「業務委託のフリープランナー」という働き方がそれに対して、ある種の解決の一助になりうるのかを考察したいと思います。

ブライダル業界の具体的な課題

まずは現状のブライダル業界における具体的な課題を挙げたいと思います。

厳しい労働環境


厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概要」によれば、「宿泊業,飲食サービス業」の離職率は30.0%と、全産業平均の14.6%を大きく上回っています。結婚式場業はこの分類に含まれています。

たとえば繁忙期になると、連日10時間を超える勤務が続き、週末には休む暇もなく仕事が集中することがたびたび続きます。また結婚式当日は予期せぬトラブルが発生することなども多く、精神的な緊張がピークに達することもあります。

こうした厳しい環境が続くと、どれほど情熱を持った人でも心が折れてしまう瞬間が訪れてしまいます。

報酬と労働量のギャップ


また金銭的なインセンティブの低さも、モチベーション低下につながることも、事実としておおく存在します。

昨今の物価上昇などにより、給与水準もどんどんあがってきているのも事実ですが、労働量とのギャップや他業界との相対比較から考えて、それなりの年齢になる前に転職をする人が多く出てしまうという課題も存在します。

キャリアパスの不透明さ


さらには、
「自分がこの仕事を続けていった先に、どのような未来が待っているのか」
「周りをみるとフリーランスへ転向している人もいるし、自分は果たしてこのままでいいのか?」「管理職になることがキャリアのゴールと言われても、それが自分にとって魅力的かどうかはわからない」

このように考える人が、明確な道筋を見つけられずに悩む場面も多く存在します。

特に女性が多い業界ゆえに、結婚や出産というライフステージの変化を前提とした明確なロールモデルの形成がなされていない状況がこのような課題を生み出している原因ともいえます。

業務委託型フリープランナーが示す可能性

こうした厳しい現実がある一方で、ブライダル業界の課題を解決する一つの選択肢として、業務委託型フリープランナーの働き方が注目されている側面もあります。以下、その特徴を掘り下げてみたいと思います。

柔軟な働き方


フリープランナーは、自分のペースで仕事を調整できる自由度が大きな魅力です。例えば、繁忙期には意図的に仕事を多く抱えて収入を増やし、閑散期には休暇を取りながらリフレッシュする、といった働き方が可能です。また、家庭を持つプランナーが家事や育児と両立するために、この働き方を選ぶケースも増えています。

成果主義の評価制度


正社員のように曖昧な評価基準ではなく、結婚式単位での成果が直接報酬に反映されます。「これだけの仕事をしたから、これだけの報酬がある」という仕組みは、非常に分かりやすく、努力が報われるという実感を得やすいという声が多いです。

専門性の発揮


フリープランナーは、自分の得意分野やスキルを活かした仕事を選ぶことができます。わかりやすい例としては、新規接客が得意な人は本当にそれだけに特化して結婚式の仕事ができるし、プロデュースが得意な人は、社員時代以上に本当にそのことだけに没頭できるという特徴があります。これは会議やその他の会社業務がないからというのが大きな理由です。

離職率が低い国や産業との比較

ドイツの例

  • 特徴
    ドイツは専門性を重視したジョブ型雇用が普及しており、職務記述書が明確です。JILPTの「データブック国際労働比較 2024」によると、ドイツの平均勤続年数は10.7年と、OECD諸国の中でも長い水準にあります。
  • 離職率が低い要因
    • 役割の明確化:職務内容が事前に定められており、過剰な業務負担が発生しにくいこと
    • 労働環境の保護:労働組合や法的保護が強く、従業員の権利が守られていること

ジョブ型や業務委託が進んでいる業界の例

ドイツのようなジョブ型や業務委託の働き方は、結婚式場業界以外にも浸透しています。以下の業界では、特にその特徴が顕著といえます。

クリエイティブ業界


広告や映像制作の分野では、プロジェクト単位で契約を結ぶスタイルが一般的です。それぞれの専門性を最大限に発揮するために、ジョブ型や業務委託が適しています。

IT業界


リモートワークやプロジェクト単位の雇用が一般的であり、成果主義との親和性が高いとされています。

コンサルティング業界


依頼主ごとの課題や要望に応じてプロジェクトを組み立てるため、ジョブ型の働き方が合致している業界のひとつといえます。

一足飛びに解決とはならないという留意点

上で見た様に、クリエイティブ業界などのように、ジョブ型や業務委託が進む業界も多いですが、かといって必ずしもそれが万能な解決策ではありません。なので、特に以下の点に留意する必要があります、

不安定な収入


特に業務委託は、お仕事の数がダイレクトに収入を左右するため、安定性に欠けることがあります。特に、景気の影響を受けやすい業界ではリスクが伴います。結婚式業界も、コロナ後においては縮小が顕著な業界の一つであるということと、インフレが進んでいる昨今、「結婚式は贅沢な買い物」のひとつともなってしまっているため、業界全体の低迷が業務委託で仕事をするフリープランナーの収入を影響する要因になるリスクも無視できません。

成果主義のプレッシャー


また、特に新規接客がそうですが、成果が報酬に直結する反面、目標達成のプレッシャーや競争がストレスになる場合があります。且つ、成果が収入によりダイレクトに反映されるため、常に獲り続けられれば問題はないですが、調子が悪いと収入も影響を受けるため、リスクも存在します。

スキル不足の課題


またこれは当たり前の話ではありますが、ジョブ型や業務委託は、雇用契約以上に専門性とプロフェッショナリズムを求められるため、スキルが不足している人や他責思考が強い人はまず向いていないという厳しい現実も存在します。

柔軟性と成果主義を活かした新たなモデルの構築

上で見てきた様に、ブライダル業界が抱える「高い離職率」という課題を解決するためには、ドイツのようなジョブ型雇用や業務委託型フリープランナーのような柔軟性と成果主義を取り入れた新しいモデルの構築が重要であり、今後ますます必須になってくることは間違いありません。

ただし、重ねてにはなりますが、「ジョブ型」や「業務委託」だからそれら課題を一足飛びに解決できるわけでは当然なく、以下のような工夫が同時進行的に、より重要となっていくと考えます。

業務委託型と正社員のハイブリッドモデルを採用する

柔軟な働き方を実現しながらも、安定性を確保するために、業務委託型と正社員雇用の長所を併せ持つモデルを構築していく可能性が考えられます。

選択的契約形態の導入

正社員の働き方を希望するプランナーには安定的な雇用契約を用意し、業務委託型を希望するプランナーには高い報酬率を設定し、契約の混合制度を導入する

繁忙期特化型の契約オプション

繁忙期のみの業務委託契約や、一定期間限定の短期業務委託契約を用意することで、労働力不足を補う。その代わり、通常より割増の委託料をベースとして設定する

パートナー制度の導入

ロールモデルの一つとして、式場との長期的な信頼関係を築きつつ、フリーランスの柔軟性を活かす新しいポジションを既存社員のなかから作り出す。これにより、後ろ向きな業務委託契約(ライフステージが変わったから退職せざるをえない)ではなく、未来を見据えた契約手段としての意味合いが生まれ、定着率が高まりやすくなる

「全体最適」と「個の幸福」の両立を図る

また「全体利益」を追求するという営利的な側面と、「個の幸福」を重視するプランナ側ーのニーズの衝突を防ぐ手立ても必要です。

顧客満足度の高いプランナーに追加インセンティブを支給

会社全体の利益に寄与したプランナーを、金銭的に高いインセンティブで具体的に評価する仕組みを作る。これは他業界と比べても遜色ない基準に設定することが望ましいといえます。

リモートワークをもっと進めること

またコロナ禍が去ったことから、一時のリモートワークやオンライン打ち合わせが下火になっている側面がありますが、これをもっともっと積極的に推進していくことが大事です。リモート化やオンライン化は、業務負担を間違いなく軽減し、プランナーの効率と満足度を向上させる最大の要因となるからです。

実現への展望

これらの施策は、ブライダル業界の離職率を段階的に改善し、持続可能な運営体制を実現する可能性を秘めていると弊社は認識しています。重要なのは、これらを単なる理想論で終わらせず、具体的な実行計画に落とし込み、少しずつ実現していくことです。ぜひ、参考にしていただければ幸いです!

こちらもおすすめ


一覧を見る