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「バイアス」の活かし方

はじめに

人は誰しも、自分なりの「思い込み」や「先入観」を持っているものです。
こうした思考のクセは、心理学では「バイアス」と呼ばれます。
バイアスは、ときに誤解や判断ミスの原因になりますが、視点を変えると、
接客や提案をスムーズに進めるヒントにもなります。

このブログでは、ウエディング接客の現場でよく見られる確証バイアス現状維持バイアスを中心に、「注意すべき場面」と「活用できる場面」の両方をご紹介します!

確証バイアスとは──「信じたい情報しか見えなくなる」

まずはじめに確証バイアスをご紹介します。確証バイアスとは、「自分が信じたい情報にだけ注目し、都合の悪い情報を無意識に軽視してしまう」心理傾向のことです。

たとえば、「〇〇県の人は裏表がある」などと思い込んでいると、
そのイメージに合う態度ばかりに目が行き、異なる一面があっても記憶に残らなくなります。

対人接客に潜む確証バイアス──見誤りのリスク

こうした確証バイアスがあることで、たとえば婚礼の接客においては、このような思い込みが生まれてしまいます。

  • 「再婚の新郎新婦の方なので、抑えめにしたいはず」→ 実際は豪勢な結婚式を希望
  • 「新郎の職業が〇〇な人は、△△な性格だ」→ ヒアリングで真逆なことが判明

このように、確証バイアスをもって接客してしまうと、
お客様のニーズや価値観を理解する前の枠組みに偏見が蔓延してしまうことにつながります。

ウエディングプランナーにとって大切なことは、いうまでもないですが、「お二人の希望やこだわり」を丁寧に聴き取り、“目の前のお二人が真に求めていることはなにか”を常に問い直す姿勢です。

現状維持バイアス──変化への抵抗は自然な反応

また一方で、お客様側においては、現状維持バイアス(変化より現状を好む傾向)が、お客様の行動や判断に深く影響していることも事実です。

原則的に、ウエディングにおいてだいたいの新郎新婦の方は、「自分の希望に忠実」ではあります。「これはイヤ」「これはやりたい」という意思表示は、遠慮なく、明確にすることがほとんどです。ただし、“迷っているとき”や“何かに引っかかりを感じながら決断できずにいるとき”に、
「まぁ今のままでいいか」という“現状維持の選択”をとることが多いのも事実です。

これは一種の「現状維持バイアス」といえそうです。

たとえば、

  • 本当は別の演出などをしてみたい気持ちがあるけれど、ゲストの反応や当日の空気が気になって言い出せない
  • 衣裳を変えたい気持ちがあるが、すでに契約した内容を変更することで発生するリスクやコストは避けたい
  • プランナーや式場に申し訳ないと感じ、「大きな変更を申し出るのは気が引ける」という心理が働く

このような場合、お客様自身も「自分が現状に納得しているのか」「それとも迷いの中で保留しているのか」がはっきりせず、結果的に“決断を後回しにして現状を維持する”という行動につながっていることが多いです。

つまり、「変えたい気持ちはあるが、変えることのリスクが大きい」と感じる場合、現状維持バイアスが生じているということです。

バイアスを味方につける

ただ確証バイアスや現状維持バイアスは、使い方によっては、接客における武器としても活用できることも事実です。以下、詳しくみてみましょう!

確証バイアスの活用

「皆さん、こちらをお選びになられています!」
→ お客様が「このスタイルで間違ってないかな…」と内心思っているとき、このように確証バイアスを“他の人も選んでいる=自分の判断は正しいかも”という安心材料として活用できます

「ゲストからの肯定的なフィードバックや過去の新郎新婦の感想を共有する」
→ 本当はこうしたいなどの希望やこだわりを持っている場合、それに一致する他者の声を活用することで確証バイアスが働き、“自分もそうしていいんだ”という確信を与えることができます。

「多くの方が同じところで悩まれますが、全員これを選んでよかったとおっしゃられます!」
→ これも同じく、他者の声を確証バイアスとして活用することで、「自分の悩み=特別じゃない」という気づきと、他者の声がそのまま“自分の選択を正当化する根拠”になる。

現状維持バイアスの活用

  • 「この部分にだけちょっとだけ色味を足してみるのはいかがですか?」という“無理のない提案”を行う
  • 「元に戻すこともできますので、まずは一度試してみましょう!」と、現状に戻れるという心理的安全性をあたえる
  • 「こうすることで、ホンのちょっとだけ明るさが増しますね!」と、“急激な変化ではない”と安心感をあたえる伝え方をする

こうした工夫を通じて、お客様が持っているバイアスの傾向に寄り添いながら、納得していただきながら自然な無理のない選択をしていただくことが可能になります。
決して誘導ではなく、バイアスを逆視点で活用することで、「納得のいく選びやすさ」をあたえるという、接客のひとつの技法ともいえるでしょう。

おわりに

冒頭でみたように、バイアスは通常、根拠のない偏見や思い込みなどから、正しい判断をゆがめてしまうものとして認識されることが多いです。ですが、それを正しく活用することによって、お客様の迷いや不安に寄り添う“接客の武器”にもなりえます。

とくに一つ一つの金額が大きく大きな決断が求められるウエディングなどの判断においては、新郎新婦の正しい判断を導くバイアスの有効活用が求められます。

お客様の気持ちに耳を傾けながら、プランナーとしては冷静に、

  • 「今、自分はバイアスに引っぱられてはいないか」
  • 「お客様の思考に、どんなバイアスが働いているか」
  • 「逆にバイアスをどのように活かせるか?」

バイアスを両方向的に見る視点を意識することで、より深いヒアリングと提案ができるのではないでしょうか。その意味でも、バイアスに気づき、それを活用する。そんな柔軟な視点を、ウエディングプランナーの方にはぜひ身につけていただき、接客に活かしていただきたいと思います!

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