GOOD WEDDING AWARD 2024 最終審査会の感想

はじめに
2024.7.30(火) 東京・大手町にて開催された、リクルート社主催・GOOD WEDDING AWARD 2024 最終審査会のリアル観覧をさせていただきました。
「結婚式なんかしなくてもいい」という多様性や「しなくても幸せになれる」という現実があるなか、そのなかでも結婚式をすることの意義や価値を懸命に追求しようとする試みやプランニングが多く、「プランナーの介在価値」を存分に感じることができた会でした。
またやはり、オンライン視聴と違って場の空気感や臨場感・熱意、そしてプランナーの方の人柄がダイレクトに伝わってくる醍醐味があり、リアル参加の良さってこれだよねとも感じた次第です。
そこで今回は、弊社なりに感じた視点や感想を以下にまとめたいと思います!
大会の概要と審査基準
大会の概要
このコンテストも今年で14回目とのことですが、最終審査には8名のプランナーが登壇し、その中からグランプリ・準グランプリ・クリエイティブ賞・ソウル賞の受賞者が選抜されます!
審査基準
審査基準は以下の3点が主眼とのことです!
①結婚式プランニングの内容
新郎新婦の想いや要望をどのように解釈・理解し、
それを創造性と構成力をもっていかに実現したのかという点に主眼におき、
以下の観点から審査します。
A.新郎新婦の想い・要望やその背景の把握力
B.プランニングの創造性・独創性
C.結婚式全体の構成力
②困難を乗り切る力とプランニングに向かう姿勢
様々な制約がある中で、プランナーとして
どのような想いを持ってどのように乗り越えたのか、という観点から審査します。
③結婚式のプランニング全体を通じ、
そのプランナー「ならでは」の介在力を発揮されているかということを
総合的に判断し審査します。
8名のファイナリストの共通点
審査自体は審査員の方々の総意に基づくことなので、且つ審査に触れることが目的ではないため、ここでは8名の方のプレゼンから共通の要素として弊社なりに感じたことを集約しまとめたいと思います。
全体から感じた共通の感想は以下の3つの要素です。
- ①このままでいいのか?
- ②このままでも十分いい
- ③だがしかし、それ以上…
8名のプランナーそれぞれヒアリングの対象たる新郎新婦やゲストの背景こそ違えど、みな上の3つのマインドステップを経ているなということを共通要素としてまず感じました。
より詳しく説明すると、
- ①このままでいいのか?
→まずこれは、ある程度広く浅く結婚式のイメージや要望を新郎新婦にうかがった際にウエディングプランナーが抱く第一のマインドかなと思います。
つまりは、
→新郎新婦の想いや本音は本当はどこにあるのか?
新郎新婦は本当は何がしたいのか?あるいはしたくないのか?
親や家族との関係は本当はどうなのか?
ゲストとの関係性やゲストに感じてもらいたいことはなんなのか?
→これらを本当にしっかりとプランナーである私は把握できているのか?ヒアリングできているのだろうか?という内省と自問自答のプロセスです。
- ②このままでも十分いい
→この次にくるマインドが、「いや、でも一通り伺った要望やイメージに従ってプランニングを進めていくことでも、十分いい結婚式はできる」というマインドです。
そして逆に、「いや、このままだからこそ逆にいい結婚式になるはず」という自己肯定と自己承認のマインドステップのプロセスにたどりつくことが圧倒的に多い現実があります。
多くの場合、他の結婚式との兼ね合いや負担の兼ね合いなどで、「このままで本当にいいのか」という①のステップに戻ることなく、たとえ自分自身でその違和感に気付いていたとしても、自問自答や更問いに目をつむり、会場の制約や乗り越えるべき障壁の高さを前に、「これでいい、いやこれがいい、むしろこれが普通でベスト」と思い込むようにし、新郎新婦相手にもそのように思い込ませることを会話の目的にしていくことが多いということです。
- ③「だがしかし、それ以上=but more than,beyond that」
→世の9割9分のウエディングプランナーの仕事は、上の②までをスムーズに完遂することだと思います。実際、このままでも十分いい結婚式となることも多く、それ自体が間違っているとは当方もまったく思いません。
ですが、今回特に感じたことは、このコンテストに出ている方は、この②で気付いた違和感に正面から向き合い、「たしかに、このままでも、いまのままでも十分いい結婚式はできる」「だがしかし、それ以上のいい結婚式をプロデュースしたい。もっと深く寄り添い、創造したい。課題や困難を超克したい」との想いが人一倍強く明確で、それが際立っているということです。
『but more than=だがしかし、それ以上=beyond that』の想いがとても強いということです。
型を破る1ミリの差
最終審査が終わった後、審査員の佐伯エリさんが「あと1ミリ何ができるか」ということを話されており、同じく審査員の瀧内泉さんが「型と型なし・型破りの違い」の話をされていましたが、まさしくその内容と共通することこそがこの、『but more than=だがしかし、それ以上=beyond that』だと思います。
上にあげた②の「このままでも十分いい」というのは、「型そのもの」ともいえます。
対して③の「だがしかし、それ以上」というのは、「型を超えること=型破り」とも言い換えられます。佐伯さんの言葉をお借りするとその差はわずか「1ミリ」。
ですがその1ミリこそが「困難に立ち向かわないと絶対に越えられない壁・差」であり且つ「超えるべき壁・差」なんだろうと思います。
この「型を破る1ミリの壁・差」を超えた先に生まれるものが「感動」であり且つ、審査基準にもあるところの「創造性」や「独創性」、そして「困難を乗り切る力とプランニングに向かう姿勢」なのでしょう。
冷静と情熱のあいだ
ですがここでとても重要な観点があります。それは瀧内泉さんが話されてた内容とも共通しますが、「1ミリの差を超えよう」ということが目的となり、「型なし」になってはいけないということです。
結婚式には新郎新婦の想いのほかに親や家族・ゲストの想いというものもとても大事な要素として存在します。新郎新婦の意向を最優先するあまり、社会常識や慣習から逸脱しすぎた内容や親やゲストを置いてけぼりにするようなプランニングを行うことを目的にすると、それは容易に「型なし」になってしまうということです。
要は「2ミリ以上」超えてはいけないということで、この塩梅とサジ加減はちょうど、「冷静と情熱のあいだ」とも言えるのではないかと思います。ここでいう「冷静」とは「1ミリ以上を超えない判断」であり、「情熱」というのは「1ミリを超えたいという想い」ともいえます。
ウエディングプランナーの介在価値
弊社の考えとしては、この「冷静と情熱のあいだ」の意思決定にこそウエディングプランナーの介在価値があり且つ、どうやって「beyond that=だがしかし、それ以上」「1ミリを超えて型を破ろうか?」といったプランナーごとの介在差が生まれるのではないかと思います。
具体的には、ウエディングプランナーによって生まれる介在差は以下のようなものです。
進行面
- ①ガチガチに狙いやゴールを定めて徹底したつくり込みをする
- ②あえて進行をつくりこまず、余白と当日の空気感を大事にする
たとえばまったく同じ新郎新婦を対象にヒアリングやプロデュースをしたとしても、プランナーがどこに主眼をおくかで、進行一つとっても明確な差がでます。これは「どうやって1ミリを超えるか」という表現方法の違いともいえるゆえ、プランナーの介在価値そのものともいえるのではないでしょうか。
また以下の面でもプランナーによる介在差が生まれやすいと思います。
接客手法
①新郎新婦へのヒアリングの仕方
→今回、グランプリを受賞された井上志織さんのプレゼンのなかで、「まずはじめにゲストのことを聴き、そのなかでお二人のことを知る」という手法が紹介されていました。たくさんゲストのことを聞くなかでゲストの人となりなどを可視化できる「ゲストマップ」を作成し、さらにゲストのカテゴリーごとにも聞いていくという方法です。
そしてそのあとに「二人のことを聞く」という順をたどり、そうすることで結果的に二人とゲストのことをより深く知っていくことができたという方法論が紹介されていました。
またこのように二方向での深いヒアリングをすることで、「新郎新婦二人が伝える言葉・伝えたい言葉」を把握することができ、また逆に「司会やスタッフがゲストの方に伝えるべき言葉」も整理することができたので、言葉と想いのリレーができたというお話もされていました。
→この手法こそが井上さんならではの「介在価値」であり「介在差」が生まれる部分だと思います。
②ゼロを1にする行動力や交渉力
→また八丈島に移住された新郎新婦のプランニングを担当した福岡かほるさんの場合は、離れ小島でのウエディングを実現するために「ゼロから生み出す行動力と交渉力・発想力」こそが重要であるという点が力説されていました。これなんかもまさに、福岡さんだからこそできたプランニングであるといえるので、「介在価値」と「介在差」がある最たる所以ではないでしょうか。
再現性の高さ
この点、弊社が注目した部分は、「再現性の高さ」です。
上の①の例の場合、独創的な接客手法により介在差が生まれる部分ですが、逆に言うと非常にロジカルな手法でもあるため、他の式場やプランナーへの再現性の高さや水平展開力は非常に高いともいえます。
逆に②の場合は、ロジカルというより行動と発想に基づく部分の介在差なので、他への水平展開力や再現性の高さはある意味皆無ともいえるかもしれません。それだけ福岡さんのプロデュース力が高いということです。
今回の審査においては、「いい結婚式を増やす」という意味合いのもと「特異性の高さ」よりも「再現性の高さ」がより重視されたのかな?と弊社なりに感じた部分でもあります。ある意味、今後の業界の接客手法のスタンダードにもなりうる可能性を秘めているぐらい秀逸な接客手法を井上さんはプレゼンされていたと思います。そうした意味でも、日本全国の多くのプランナーが「型を破る1ミリの差」を超えるヒントみたいなものがそのプレゼンのなかには多数散りばめられていたように思います。
結婚式業界全体で俯瞰してみれば、「特異な天才」の存在もとても大事ですが、「全体の底上げ」こそもっとも重要なテーマでもあるのかなと思います。そうした観点からみても、今回のコンテストは、様々なプランナータイプの差と且つプランナーによる介在価値と介在差が明確にわかるとても素晴らしいプレゼンばかりだったと思います。
まとめ
今回、GOOD WEDDNG AWARDというコンテストを最初から最後までとおして見たのがはじめてですが、プレゼンの映像自体のクオリティがまず高く、それにまず驚きました。且つ、とても忙しいなかこのコンテストにかけるプランナーのみなさんの熱意が本当に素晴らしく、弊社でも多くの学びを得ることができました。
すべてのウエディングプランナーが見るべきだし、志す価値のあるコンテストだなと思いました。
一方でもう一つ率直に感想を伝えるならば、「beyond that=だがしかし、それ以上」を追い求めることや「型を破る1ミリの差を超える」こと自体を目的とする必要性はないということです。「感動の総量」を上げていくというのはとても大事なことである一方、この大会の枠組み以外でも感動的な結婚式は日々行われていることもまた事実であり、「だがしかし、それ以上」の先に続く言葉や想いとして、「だがしかし、それ以上はいらない」という言葉や想いが存在することもまた事実だとも思います。新郎新婦の家庭環境や背景によっては、その「1ミリ」は超えてはいけない壁や差かもしれないし、その見極めこそがプランナーの介在価値であるとも思います。
あくまでも冷静と情熱のあいだで、それらを日々判断し、選択していくこともまた、ウエディングプランナーのとても大切な仕事かとも思います。
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